プロローグ
……北の国さは、人が足りね。田畑ば耕すにせよ、魚ば獲るのも獣ば射るにも。度重なる飢饉や災害で、人は死んでく。
へばだばどうせばいいんず。……人ば他国より呼ばればい。
ばって、決すていいんた人がくるとは限んね。他国でのけ者にされてらような者っこ逃げてきて、慣れた頃さ狼藉ば働ぐ。そうでねくても、地元の習俗さ溶け込まね者もいる。
……こったことがあったはんで、在来の民さ他国者ば毛嫌いする者っこたんげいたんた。さらには "彼らだば虐げてもい" と、たんげ酷使する者もいてら。なすてならここよりほかさ、行くところはねのだはんで。逆らうことはできねえ。
とある秋の日。その年は雨っこ全く降んねで、作物育たねえでら。苦すいのは皆同ず。ばって支配者層は激すい収奪ばすた。そのなけなすの食い物ば、在来の民さ優先すて配った。同ず人間なのに……ひでえ。
…………他国者の怒りは、頂点さ達すた。
相川と西野。一人は宮城野の出身、もう一人は常陸の出という。かつては武門さ仕えてらば、殿さまが敗れてまって一族路頭さ迷った。そうすて北へと逃げてきたんだと。
二人は他国者の民ば集め、支配者であった南部氏ば討たんとすた。まんずは手始めに津軽郡代の津村氏ば破る。がぱっど外ヶ浜全体ば支配下さ置き、後継者争いさ明け暮れてあった南部家中さ衝撃ば与えた。
こいだばまねんでねかと、一族の重鎮である南部高信は制圧ば命ずられた。大軍ばもって、反乱ばつぶす。以降は新たな津軽郡代とすて石川という土地さ腰ば据え、石川高信と名乗った。
南部の者らは、生き残っちゃあ他国者ばとこどん虐めた。誰も止めるべともせず、彼らさとって地獄のようだびょん。
……そった中、口にはださねが、まねく思ってら人物がいてた。大浦為信、のちの津軽為信だ。物語は相川西野の乱が平定された直後から始まる。
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