起床
「お客様、お客様。起きてください。」
高く透き通った声が俺の耳を通り抜け俺は風呂の中で起床した。
「すっ、すす見ません!」
ついテンパって噛んでしまった、目の前に青髪のスラッと細い着物を着た美少女が俺を呼び覚ます。
すごく迷惑そうな顔をしていなければ、惚れそうになるレベルである。
「お客様。お風呂の営業時間は終了しました。お上りください。」
「わ、わかりました。すぐ出ますので、お姉さんが脱衣所に行ったら…」
「営業時間は終わりましたので、お上りください。」
ん?
話し終えた今も、俺が風呂に入っているのをじっと見つめている。お姉さんがでて行ってくれない。
「すみません。お姉さん出ていってくれると嬉しいのですが。」
「なぜでしょう?」
首をコテッと傾けながら不思議そうにしている…が、
この子は天然なのか?普通女性の人がいる前で全裸で立ち上がったりはしないだろう。だから、お姉さんが出ていってくれるのを待っているのだが…
「恥ずかしいので。お姉さんが出ていった後に僕も出ます。」
彼女はため息を1つ
「私はそんなものは見慣れていますのでお気になさらず。」
んんん?!?!
論点はそこじゃないんだよ!てか、そんなものって…見慣れてんの?ビッチなのか…そうなのか…清楚そうなのに…
「そういう問題じゃないので、やっぱり出ていってくれます?」
「はい。すみません、謝りますがあなたにも罪はあります。このような夜になるまで温泉に入ってる人はだいたい夜まで待ってお金を払わずに塀を登って逃げようとする人がたまにいるのです。だから出てはいけません。」
うん、この人、頑なに俺のそばを離れない。確かに俺も寝てしまったという点は認めよう。けど、俺はお金を払うべき所で払わずに逃げるような男ではないと自覚している。そんなクソ野郎にはなりたくない、人としてどうかと思う。
…………………。
あれっ?そいえば俺ってお金持ってきた?
answer
そいえば全裸でした。=所持金ゼロだし、お金持ってても、たぶんこっちのお金は違う。
マジか。うん。俺はお姉さんが警戒してる側の人間だった。情けない。
この状況どうしよう…うーん。
「お姉さん、すみません。ちょっと今見せられない状態なので、ほんとお願いします。」
と、下を見ながらもじもじすると
「変態」
とだけ残し、しぶしぶ脱衣所に向かった。
よし!そーっと音を立てずに温泉から上がり柵を登る。
柵の外、そこには古い西洋の街が並んでいた。
一つ一つの光が生命の輝きのように眩し光を放ちその存在を主張していた、入ってはいけないような神秘的な空間である。
元いた世界でも写真では見たことあったが実際に見ると言葉に言い表せない震えが襲ってくる。
俺はその景色に見惚れていた、
だからだろうか…
その時俺の足についていた温泉のぬるぬる成分が働き足を滑らせた。
ドンッ
「失礼します。開けます」
ヤバい、待っていましたとばかりに、さっきのお姉さんが追いかけてくるが、落下してから体勢を整えて登り逃げる俺の方が若干早い。
「バインド!」
えっ?お姉さんが叫んだ後、お姉さんの手からトイレットペーパーみたいなやつが100枚くらい飛んでくる。
一枚俺に絡まりついたくらいならまだ切って逃げ出せるが100枚になるとそうはいかない。
柵の頂点にいた俺は100枚のトイレットペーパーによってミイラのようになり、柵から再び落ちた。
その後トドメと言わんばかりの蹴りを体に数発くらい腹に入れられた。
「グズが」
トドメのトドメに罵倒された。だか、少し俺はキタッ!この瞬間が!と内心興奮していた。
俺はこのミイラのような外見の時にしか言えない、人生に一度は言いたいランキングトップテンに入る言葉を放つ
「所詮…獣の戯言」
「はぁ?きも」
その後、もう一発蹴りを入れられて
そこからの記憶が落ちた。
改めて魔法が使える世界に来たのだと身を犠牲にする事で実感できました。
ネタがわかる人がいたら嬉しい。