最高の風呂
「おっさん!おっさん!ぼーっと見てないで早く変われって!」
俺は急かすようにおっさんを叩く
「ああ、すまない。今代わるからもう少し!さっきいた2つのグループ中1グループはもう風呂から上がっちまったが、べっぴんさん達のグループは残ってる!よかったな!」
少し涙目でおっさんは下にある俺に対して小さい声、なおかつ興奮気味に話す。
すると何か肩から気配が……
……うえっ!
「おい!おっさん!それはルール違反だろ男2人で肩車してる時のマナーくらい守れ!」
「すまん、すまん、今降りる。」
「まったく。勘弁してください。」
「わーた、わーたから、ほれっ肩に乗れ」
「じゃ遠慮なく」
柵の上から向こうを見下ろす。
すると視界の霧がまるでスクリーンになり、配役が映し出される。
そこにいたのは目麗しい……
………
……ん?どこ?
「おっさん、おっさん!べっぴんさんはどこにいるんだよ!」
「その手前の濁り湯のところだ」
そこにいたのは月夜に照らされ火照った体で顔を紅く紅潮させたババァ達だった。
「おい!おっさん話が違うぞ!全然べっぴんさんじゃねぇ!熟しすぎだ」
「そのくらいの方が色気があっていいもんだぞ!」
「は?色気が出すぎて色素が抜けて干からびてヨボヨボになってんぞ?」
「それは、使い込まれた色気の証拠だ!」
やばいこのおっさんたぶん30歳くらいだと思うのだが
この女湯にいる女性は確実に50はある、変態だったとは…
「ちなみにもう1つのグループって…」
「あー、たぶん、19歳くらいだったともうぞ、まぁあんな子供に興味はないがな。ロリコンでもない限りな!」
と、言い放ちゲラゲラ笑っている。そのことに俺はかなりのショックを受けていた。
まずロリコンという言葉があること、その次に19歳がロリコン認識ということ。
ということは19歳の人と一緒にお風呂に入れる?などと期待を持ってしまったことを後に後悔することになる。
そこで俺はいいことを1つ思いついた。
「おっさんもっかい見たい?」
「もちろん!まさか俺のエクスカリバーをあんなにも嫌がってたのに、また乗せてくれるのか?」
俺は嫌な顔を内側に留める。
「もちろんだ!男の友情を見くびらないで欲しい!あんたの性癖にどうこういう筋合いもない!あんたに協力するぜ!」
「私は良い家族を持った。」
なんか相棒から家族にランクアップしてるんだが…
*****
「もう少し上の方だ!あと、あと5センチ上!少し木にかぶってるからあと、もー少し左にずれてくれ!」
おっさんは必死に女湯を覗こうと俺に指示をしてくる
「……………」
「あと、1センチ!」
「……………」
「おお!見えた!すごい!」
おっさんは、ぼーっと女湯を眺めている。
「……」
「お前さん!ちょっと行き過ぎだぞ!もう少し下でいいぞ!」
「……………」
「おい!高すぎだ!も少し下でいい!出てる!もう上半身反対側から見えちゃってるぞ!」
「……」
「おい!お前!」
「…」
「ちょっ!」
「……」
「それはヤバっ」
バッシャーン!!!!
「「「キャー」」」
*****
おばさん達が無駄に高い声の悲鳴を上げている。
おっさんは捕獲され、痴漢だの、変態だなと蔑まれている。
その1分後に
バコバコボコボコパーン
この音が温泉中に鳴り響き
5分後には泣き声。
10分後には必死の謝罪の言葉だけが温泉中に鳴り響いた。
俺はその状況を想像し、笑いながら温泉に浸かった。
温泉の入り心地は最後だった。