00 開発より一言
この物語の出てくる 個人名 アバター名 団体名 会社名 略称 俗称 伝説の剣の名前 モンスター名 等々の各名称は 思いっきり『架空』の物です。
現実に存在する それらとは、一切関係がありませんので 名前が同じか、似ているなどという事があっても、たまたま、偶然、大宇宙の奇跡、神の気まぐれ、という事ですので、一切気にせず スルーしてください。
まずは、主人公たちが遊ぶゲームを開発した責任者の『ゲームの宣伝』から始まります。
『ハーイ! 皆元気かな? 俺は徹夜続きで、俺の言葉に唆されたヤツがどうなろうと知ったこっちゃない! ってぐらいナチュラルハイだぜ!
あ? 俺が誰か? だって? 自己紹介しただろう? え? してない? おかしいなぁ。俺が入社する時に人事の人にしっかりとしたはずなんだけどな。
まぁ、いい。俺はラージライフライン社、通称スリーエル、俗称メタボ社のゲーム開発局でプログラマー統括をしている者だ。名前? そんなモノは意味はないだろう。プログラマー枠だけで兼任も含めて二十五人も居て、データ管理だけで十六人も居る部署だしな。その他に人数が変動するグラフィック部門や音楽部門、デバックなんか専門と兼任が入り乱れて何人居るか判ったもんじゃない。そんな中の一個人の名前なんか、知った所でまるで意味がないってわけだ。
あ? なんだ? ああ、そうか、そうか。わかったよスティーブ。話を先に進めればいいんだろ? え? スティーブじゃないって? それこそ些末事だな。
で、だな。今日は俺が……。いや、俺たちが作ったVRMMOにようこそ。ってわけだ。
タイトルは『無理ゲーオンライン』だ。どうだ? つまらなそうだろう? 俺もそう思う。
え? 違う? 本当は『マルチレイヤード シード』だと? 『無理ゲーオンライン』でいいじゃないか。開発局の皆もそう言ってるんだし。
実際、敵は強すぎるし、AIで学習して同じ攻略パターンでは倒せなくなるし、パーティーを組んでも、パワーレベリングは出来ないシステムだし、ドロップ品は仲間内でも譲渡も低額販売も出来ない。
つまりは、アイテムはどうやっても一度NPCの店を仲介しなくてはならない、ってわけだ。個人の露店でも、販売には税金がかかって、店売りとそう大差ない金額がかかる様になってる。
まぁ、これだけ聞くと、本気でクソゲーってだけだがな、ゲーム内世界ではそこそこ現実的に効果が現れる様にしてある。
例えば魔法だが、火の魔法を使った場合、周りに可燃物があった時に類焼する可能性があるって事だ。それによって周りの火の影響で敵にダメージを与える事が出来るが、森や林が全焼する可能性もある。まぁ、そうなったら犯罪者として逮捕、懲役と損害賠償がつくって場合もあるからな。
町の中でも魔法を使う事が出来るが、それで火事でも起こした時には、罪も損害賠償も嬉しいくらいに鰻登りさ、ってわけだ。
まぁ、水や氷の魔法で火事を消し止めれば、被害は最小、罪も賠償も最小ですむし、場合によってはお咎め無しって事もあるけどな。
町の中にモンスターが現れた場合は、ギルドの依頼が発生するまで待った方が得だな。ヘタに手を出したら、モンスター被害の全てを肩代わりする事になるぞ。
そんな、世知辛い現実的な世界感なんだが、出来る事も多いぞ。
基本的に職業的なステータスの優遇は無い。
どんな職業でも剣を振れるし、魔法を放てる。まぁ、それによって与えるダメージはステータス依存だけどな。
ステータスがあれば、魔法を撃てて、剣を振れて、ポーションを作れて、剣を鍛えるって事が出来るわけだ。まぁ、職業っていう概念自体がないんだけどな。
しかも、このゲームにはレベルという概念がない。
経験値は行動に対して、その関係するステータスに割り振られる。
つまり、剣を振って攻撃すれば、STRと剣術のスキルにプラスポイントが入る。水魔法ならINIと水魔法、ポーション作りならDEXと薬師、鍛冶ならSTR(小)プラスDEX(小)と鍛冶、という具合だ。実際はもっと細かくて、複雑な配分なせいで、プログラマーが三人も故郷に帰ってしまったという、曰く付きだ。
基本的に他人と連むのが難しい世界だからな。出来そうなら、鍛冶もポーション作りも魔法攻撃も剣も、全部自分でやった方がいいぞぉ。
まぁ、個人では倒せない敵がけっこう居るのが、このゲームなんだけどな。
その場合は、国やギルドから発生するクエストに乗るのが一番良いだろう。
クエストで、鍛冶募集、とか、薬師募集、剣士募集、魔術師募集、などの、役割ごとの募集が有る場合は、それに応募して指示に従えばいい。
まぁ、役割分担ごとの報償が貰えるだけだがな。
そういった、この世界で、どんなプレイスタイルをもって、どんな遊び方をするのかはそれぞれ自由だ。犯罪に走って、逃げ回るのも有りなら、ひたすらポーションを作るだけってのも有りだ。
持てるアバターは一つのみだが、作り直しに制限は無い。自分に合ったアバターになるまでトライアンドエラーを繰り返すのも有り、極振りになる様な感じで突き進むのも有りだ。
さぁ! 冒険者よ! 君は、どんな生き方をする?
さぁ、さぁ、俺が………。いや、俺たちが作ったこのゲームワールドで、人生の貴重な時間を無駄遣いしてくれ!
なお、一切のクレームは受け付けていない。全ては仕様だと思って諦めてくれ。
さぁ! さぁ! さぁ! ゲームスタートだ!』