終幕は突然に
どのくらいの時間が経ったのか。そもそもこの世界に時間という概念があるのか。何もかも記憶が曖昧だ。最後に覚えているのは彼女の瞳-----青く澄んだ瞳だ。
「ごめんなさい」
なぜかそんな言葉を口にしていた。なぜかはわからない。ただ誰か一人個人に向けたものではなく、さらに漠然とした”何か”に向けた言葉だと自然に理解していた。
目から溢れ出るのは涙でも水でもない、青い感情の吐露が目脂になったものだ。この目脂が原因で視界が狭まっている。僕は必死に右手で目を擦り目の前を見ようとする。やっと視界が、
「あ」
結局見えなかった。僕は多分自ら命を吹き込んだ作品を自らで壊してしまったのだと思う。取り返しはつかないかもしれない。だが、ここに終止符を打とう。
『 GAMECLEAR 』
石井叶多 ここに眠る
エンドラインを超え その先を見てきます それまでさようなら