Sの目覚めとMの目覚め
「えっと...皆さん初めましてセシルと申します...今日は数少ない読者様のためにも前書きを頑張らせていただきます...。」
「では...この世界の基本的なことを説明しようと思うのでご清聴よろしくお願いいたします...」
時は中世、力や魔法で争い、奪い、落としあいを繰り返してきた日々が続いていた。国には活気がなく、まさに廃墟寸前だった。
だが奇跡は起きた。この世界にある女性が君臨した。彼女は自分を「ゲームマスター」と名乗り世界の争いを安らぎで抑えたという。そして彼女は世界の人々に一人ずつ職業を与え、平和な世界を作ったのだった。
しかし平和は続かず、争いが生まれ始めた。だがこの世界が争いを起こしたわけではなく別の世界からの争いにこの世界は巻き込まれたのだ。
この争いはある6人の異世界転生者によって起こったものである。この6人はゲームマスターになるために200年が経ちそして現在でも戦い続けているのだった。生前、ゲームマスターはこう述べていた。
「7人目の転生者が現れた時、私の代わりになるだろう」
彼女はそう言葉を残し命を落とした。
果たして争いは続くのだろうか。
「えっと...こんなシリアスになってごめんなさい...ご清聴ありがとうございました...。」
「俺が...7人目...?」
彼女のおかげで叶多のこの世界の知識量はそれなりに膨らんだ。だが色々と気になるところがあるが詳しい話は音海が復帰してからセシルに聞いてみよう。
「え...なんか言いましたか?」
「いや、なんでもないんだ!長い長ーい前書きでの説明お疲れっす、セシルちゃん!」
「はい...、いちを基本的なことは教えたと思います...。」
長い説明を前書きで終えた叶多とセシルは賑やかな街道を歩いていた。だが、一つ気になったことがあった。
「ここの国って男性の数異常じゃね?女性もいないっていうわけじゃないんだが。」
今叶多がざっと見たところ、男9女1という数である。
「はい...そうなんです。カナタさんのお察しの通り、この国の男は欲にまみれた獣なのです...。」
「俺そこまで察してないんですけど!?早とちり過ぎではないでしょうか!」
セシルは男性に対する敵意が若干強いようだ。過去になにかあったのだろうか、だが聞くなんていう野暮なことはできないと思い断念した。
「じゃあこの世界のことはわかったけど職業とかって何種類ぐらいあるんだ?」
叶多に引っかかっていた疑問は他にもあった。異世界系で初期設定時の職業では少なすぎるという疑問だ。
「ざっと言いますと...1000種類はあると思います。」
数の多さに驚いた叶多だったが、これくらいあったほうが面白みがある、と心が弾む気持ちもあった。
「じゃあセシルは何の職業なんだ?」
彼女の可愛さは結構高いほうだ(叶多的にはドストライク)、きっと彼女に似合った職業なのだろう。
「調教師です。」
叶多と彼女の会話に数十秒ほど間があいた。
「.....ンは?」
どうやら聞き間違えたらしい、うん、そうだ、そうに違いない。
「あ、調理師ね、いいね!」
「?...調教師ですよ...?」
叶多の願いもはかなく現実を突きつけられた。
余りにもギャップがあり過ぎる、いや、夜だと肉食的なあれか、なぜそんな職業なのだろうか。
「もともと生まれた時からアビリティというのが決まっています。だからそのアビリティに合った職業が選ばれるんです...。」
「え、じゃあセシルちゃんは、なんかこの職業に適正なアビリティを持ってるってこと?」
「はい...私は『Sの目覚め』を持っているのでこの職業になりました...。」
彼女はなにも表情を変えずすんなりと答えた... いや、そこが問題ではない。なんかそのアビリティの名前どこかで聞いたことあるぞ...
・Mの目覚め・・・「Sの目覚め」のアビリティを持った人物に仕打ちをうける。
叶多のステータスに書いてあった説明だ。
「Oh....」
叶多は嫌な予感を感じた気がした。
一週間に一回と言っておりましたが今回は例外です。ちょうど自習があったので予想より早く終わったので投稿しました。