黄色いサークル
叶多の目の前に広がる地下帝国は大きな地下の空洞にある程度で大きい国1個分にもあたいする大きさだった。
そして中央にそびえ立つ城があるが、それは城というより巨大な工場みたいなものだった。
なんともこの暗い地下にはお似合いな建物だと叶多は思った。
「音海、俺的妄想だったら最初の国とか街は比較的平穏で安全なイメージなのだが、これはどうもこのゲームに裏切られた感ハンパない感じの国なんだが...」
叶多は魔道士になれないことと、この薄暗い最初の国の二連鎖でかなり落ち込み度が高くなっていた。
「まあまあ、新鮮感があっていいと私は思いますけどねー。別に私ではなく叶多が体験するわけなので。」
音海は小さい水晶越しに軽口で答えた。
どうやら冒険しやすいようためなのか大きな画面からなぜかアナログ的な感じになったようだ。
「こいつ他人事だと思いやがって、なんて無慈悲な野郎なんだ!」
音海に対して顔を赤くした叶多は、水晶を蹴ってやろうと思い渾身の蹴りを炸裂しようとしたその時。
「....!!、痛って!」
水晶を蹴ろうと動こうとした叶多の足が見えない壁にぶつかったのだ。
見えない壁に動揺する叶多だったが、叶多はあることに気づいた。
「黄色い...サークル...?」
叶多の周りには黄色に輝くサークルがあった。半径1mぐらいの大きさである。
「?...どうかしたんですか、叶多。」
叶多の動揺に疑問を覚えた音海は心配げに言った。
「音海よ...どうやら俺はサークルから身動きがとれないみたいだ...」
「なるほどー、どうやら私が写ってる水晶には届かないみたいですねー。いいざまですー。」
シリアスみたいに言った叶多に対し、水晶越しに音海はニヤニヤしている。
こういう時だけ笑うのは本当にひねくれ女だという証明だろと叶多は心で実感した。
「そういう訳で、なんか色々と現実世界で試してみてくれないか?例えばコントローラーを動かしてみるとか。」
黄色いサークルから抜け出せずここにずっといるというのは嫌なので音海に叶多は助けを求めた。
「ふむ、それもそうですねー。じゃあ手始めに、コントローラーのスティックを動かしてみましょうかねー。」
音海がコントローラーのスティックを前に倒すと、叶多も前に歩いた。
「おぉっ!?勝手に足が動く!」
叶多の予想通り、コントローラーと叶多の操作は繋がっているようだ。
「なんか納得いかないが、これで動けるようになった...ぅお!!!」
突如、叶多の視界がぐるぐる周り始めたのだ。
だが叶多は、なぜこうなったか少し考えて思いついた。
「や、やめろー!音海!俺で遊ぶのは〜!!」
そう犯人はコントローラーのスティックを全力で回す音海であった。
「あ、すみません。つい出来心でー。」
なんて恐ろしいやつなんだ...だが、なぜ音海が舌をだしてそんな顔しているのだろうか。
「しかも、可愛いではないか!ちくしょう!」
叶多は自分にしか聞こえない声で言った。
「まあ、気を取り直して...と。音海!、この崖の下に見える街に行ってみるぞ。ここからじゃ見えにくい。」
「おっけーですー。じゃあこのまま崖を飛び降りて行きますねー。」
「ちょーっと待てい!崖だぞ!?崖なんだよ!?俺の後ろにある下り道で行けばいいだろうが!」
確かに崖から飛び降りたら手っ取り早いが問題は、この体がどれくらいの硬さなのかである。
とても俺のヒョロい筋肉では耐えられるとは思えない。
なので、 今の自分の体に自信のない叶多は崖を飛び降りることを躊躇った。
「ま、のんびりもいいですねー。じゃあ動かしますよー。」
叶多は音海に動かされ街へ降りていった。
GW終わったらテスト期間なので更新遅くなります。