初期設定
「ふぁあ...やはり仮眠は必要ですねー。気だるさが晴れた気はしませんが実にいい気分ですよー。」
目をこすりながら寝る前の表情と変わらないまま気だるそうに言った。
「おう、俺はどうやら今のところ今までにないほどに健康状態みたいだ。だが、初期設定っていう画面を見るのも飽きたんだが、早く適当にコントローラーでボタンとか押してみてくれないか?」
「もう、しょうがないですねー。とりあえず叶多の言ったとおりボタンとか押してみますかねー。」
さっきまでは否定的だったくせにと思ったが叶多は心のなかで収めた。
ボタンをテキトーに音海がボタンを押してみるとピコンピコンおいう音がなり画面が変わった。
ー初期設定ー
名前 入力
性別 •男 •女 •秘密
職業
•剣士 •魔道士 •盗賊 •死霊魔術師
•格闘王 •僧侶 •弓使い •奴隷
画面には選択画面が映し出された。
「おほー!職業選べるのか!やはり俺は小さい頃からのお馴染みの魔道士しかないだろ!」
叶多は高らかに大きく声をあげた。
「うるさいですー。画面越しでも声の音量が変わらないとは私的には絶望ですねー。ま、ちゃちゃっと設定決めてしまいましょうか。」
やれやれという表情でコントローラーで操作し始めた。
「むむ、おかしいですー。名前と性別は決められたんですけど職業を選ぼうとしたら「奴隷」一択になってしまったんですけどどうしましょう...いや...どうでもいいですね。」
心配に思ったのは一瞬で音海はすぐに気にしなくなった。
「いやもっと気にしろし!?奴隷ってなんだよ!絶対マイナーだろ!魔道士になって魔法つかいてぇーよ!な、なんとかならないのか!?」
奴隷という宣告をされた叶多は魔道士になれないことに軽くパニックになりがら言った。
このままではまずい、まずいのだ。奴隷で魔王を倒すというストーリーなんて聞いたことないぞ。
「お気の毒ですが、もう次の画面に移動してるみたいなので無理ですねー。」
ー設定完了ー
名前 イシイ・カナタ
性別 男
職業 奴隷
スキル
・ 絶対回避・・・30秒間だけ打撃攻撃を避ける。
・ フラグ建築・・・未知
アビリティ
・逃走本能・・・ビビると体が勝手に動いて逃げてしまう。
・Mの目覚め・・・「Sの目覚め」のアビリティを持った人物に仕打ちをうける。
・一流フラグ建築士・・・フラグ建築の幅が広がる。
設定完了を見た瞬間、叶多の魔道士の夢が砕け散ったのを心で実感した。
「魔法が....遠のいてい...く。はあ、これ無理だわ。さすがにこれで魔王倒すって舐め腐ってるっしょ。」
叶多は絶望的な顔で設定完了画面の下部分にへばりついた。
「いきなりテンションが切り替りましたねー。この落ち込み度はランキングで言うと4位くらいですかね。」
「まだ4位です。大丈夫だと思いますよー。」
音海なりにランキングをつけて励ましてくれたのだろうか。
叶多はその励ましにのってみることにした。
「まあ、そうだな!奴隷って言っても実際には他の冒険者と扱いが違うわけとかじゃないなよな!」
『ストーリーに写ります。ロード中が長くても電源を切らないでください』
突如、どこからかアナウンスの声が聞こえたあと設定完了画面が渦の画面に変わり叶多だけをその渦へ巻き込まていった。
「ぎぃやぁぁあ!!!」
意識が戻ると叶多の頬には固い地面のような感触を味わった。
「ぺぇっ!おえっ!」
荒く移動されたせいで、起き上がって早々に土埃を吐き出すはめになってしまった。
土埃を吐き出しながら叶多は周りの景色を見た。
そこには、例えるなら地底王国といったところだろうか、そこにいる住人は叶多と同じボロボロの服と手錠をつけられてた。
「は...はは、奴隷ってまさかモロ奴隷っていう扱いなんすか...。」
「フラグ回収乙ですねー。」
叶多の奴隷ファンタジーが始まる(?)
GW中にいっぱい書いてやります。