戦闘開始
「はぁ・・・」
清彦は誰もいない部屋で小さくため息をついた。
「魔物、ねぇ・・・」
にわかに信じがたい話だが、この村・・・というか世界には魔物なるものが存在し、様々な被害をおこしているのだという。
清彦は「魔物に襲われ怪我をしたかわいそうな青年」としてこの家にしばらくやっかいになることになったのだが。
正直魔物とか意味が分からない。そう思い、
「まったくそんな・・・」
いいかけたところで清彦は自嘲ぎみに笑った。
゛非科学的な゛と言おうとしたのだ。自分が何より非科学な存在だと言うのに。
「はぁ・・・。」
清彦は、またため息をつき、もう寝ようかと横になったとき・・・
「・・・」
なにか嫌な予感を感じた。
「まったく・・・」
非科学なのは自分自身だ・・・そう呟いて清彦は窓から外を見た。
「ん・・・。」
清彦の視線の先には、狼のような生物が三匹いた。何故のようななのかというと、
「なんだ・・・あれ、目が光ってんのか?」
狼たちの目は赤く輝いていて、いかにも危ない感じをかもしだしていたからだ。あきらかにただの動物ではないなと清彦は結論づけ、そしてその狼たちが魔物の一種であると予想した。
「あいつらが魔物なのか?っていうか、こっちきてる?」
狼たちはなにかを確かめるように地面のにおいを嗅ぎ、確実にこの家に近付いてきている。
「参ったな、どうしよう・・・」
もしも狼たちのターゲットがこの家の住人なら、清彦は無視することができない。自分が襲われるのももちろんあるが、それ以前に清彦はこの家の住人に恩があるからだ。
「ま、しょうがないな・・・」
やりたくないが、しかたない。清彦は小さく呟き、家をとび出した。