現在地
「ナラカ熱ですね」
「は?」
動けない清彦の
ララが言った聞き覚えのないワードに、清彦は首をかしげた。
「ナラカ熱は高熱と頭痛が起きる病気です。一度かかると二度とかからない病気なんですが・・・」
「・・・それ、たぶん今回が初めてだと思います・・・」
水疱瘡やおたふく風邪と似たようなものだろうが、清彦はナラカ熱にかかったことがない。
というか、聞いたことすらない。
「そうですか。でも安心してください。この病気はちゃんと休めばすぐによくなりますよ」
「はぁ・・・」
清彦にとって、ナラカ熱の症状よりもナラカ熱になった事が問題だった。
いままでどれほど悪い環境にいても、体調を崩すどころか腹を下した事すらなかったからだ。
「しばらく仕事の手伝いはしなくてもいいですよ」
「ありがとうございます・・・」
居候の身でありながら病人とは、清彦は自分が情けなくなった。
「ごはん、食べれそうですか?」
「いや・・・」
まるで食欲を感じない。それどころか、今食べ物が喉を通るのを想像したくない。
「分かりました。無理はよくありませんから・・・」
ということで、寝ることになった。
クリアエネルギーの回復には睡眠が一番なので、これで早くクリアエネルギーが回復すればよりたくさんララたちに貢献できる・・・清彦はそうポジティブに考えることにした。
そして一眠りしたあと。
【身体状況を把握━━━異常を確認】
【調査開始━━━疾病による体調不良】
【抗体の生成━━━エラー・クリアエネルギーが不足しています】
「抗体作れるのかよ・・・」
本来はシステムの異常がないか確認する機能なのだが、試してみたら自身の体調も調べられるようだ。
清彦の体には様々な細菌やウイルスに対する抗体ができており、メジャーな病気にならまずならない。
そこまでは清彦も知っていたが、新たに抗体を生成できるのは知らなかった。
「・・・でもクリアエネルギーがなぁ・・・」
立て続けの戦闘と睡眠不足により思うように回復してくれない。これからのためにも温存しておきたいので、治癒は素の免疫力に任せるしかなさそうだ。
やることはやったので一度ベッドに横になった時、ドアが控えめにノックされた。
「清彦」
「どうした?」
ドアが開き、ルルが部屋に入ってくる。
「ご飯、どうする?」
「あー・・・」
そういえばそろそろお昼時だ。眠ったからか体もだいぶ楽になっている。
「食べるよ」
「じゃあ、持ってくる」
「ああ、ありがとな」
ルルが部屋から去っていって、再び静かになる。
「・・・・・・」
自分の体に抗体がない病気に、様々な文化の違い。見たことがない風景。にも関わらず通じる日本語。
一人になって状況を整理してみたら、やはりこの疑問に行き着く。
「・・・ここは、どこなんだ?」
答えは、勿論なかった。
この主人公複雑すぎて続き書きにくい・・・。