体調不良
「ん・・・」
清彦は目を覚ました。
「あ、頭がっ・・・」
清彦は頭を抱え丸くなった。じんじんと頭が痛む。
「・・・うおえっ」
思わず吐きそうになり、慌てて口を手で覆った。
(何だこれ!?)
これはただの寝不足じゃない・・・そんなことくらいは清彦にも分かった。体が熱い。苦しい。
(俺が、風邪だとっ!?そんな馬鹿な・・・)
清彦はこれまででほとんど風邪をひかなかった。たとえ冬に雨にうたれてもインフルエンザになったことはないし、春になっても花粉症に悩まされることなどなかった。
しかし今は高熱が出て、気持ち悪く、頭も痛い。
これは明らかに病気だ。
それもかなり重症の。
「う・・・ぐっ」
(くそっ・・・クリアエネルギーも全然回復していない・・・)
クリアエネルギーの回復には睡眠の質と時間がかなり密接に関わってくる。熱にうなされて睡眠の質が悪くなり、さらに寝不足のせいで眠っていた時間も短い。
(・・・クリアエネルギーって風邪にも効くんだっけ?)
いくら万能のクリアエネルギーでも薬に代用できるのだろうか。やったことないしやる必要もなかったから考えたこともない。まるで分からない。
(つか・・・気持ち悪い・・・風邪って、こんなに辛いものなのか!?)
いつだか猛毒に苦しめられたことがあったが、これに比べればあの苦しみなど可愛いものだ。
居候で、怪我して働けなくて、さらに体調不良とは。
(不味い・・・完全に迷惑がかかってる・・・)
頑張って布団から出ようとするが、体と頭が拒否してくる。
「く・・・ああ・・・」
無理に動こうとしたためさらに辛くなる。目眩がし、視界がぐるぐる回る。
(これ、風邪か!?感染症とかじゃないか)
そうして苦しんでる時に、さらにがくる。
「清兄ー!!朝だよ起きてー!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドン!!
(ぐあああっ!!)
ドアをノックする音が聞こえるたび、頭に反響し痛みが増大する。これじゃあただの拷問だ。
「清兄ーーー!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
(やめろおおおおおおおおおおお!)
清彦は頭から布団をかぶり必死にノックから逃れようとする。
(清彦の体感で)約三十分後、ついにノックが止んだ。
(大丈夫、か?)
清彦は肉食動物に怯える小型動物のように、布団から顔をひょっこりと出し様子を伺う。
コンコン。
「清彦、大丈夫?」
(この声は、ルル!)
このチャンスを逃したら次はない。清彦はありったけの声を絞り出す。
しかし、かすれ声しか出てこない。
「うぐっ・・・」
無理矢理喋ろうとしたため、喉がからからになり、激しく咳き込む。
それが返事となった。
「リル、お母さん呼んできて」
「分かった!」
「・・・小さい声でね」