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外敵の蹂躙

 常に『外敵発見』をオンにしといて正解だったな・・・。

 廊下を駆け抜けながら、清彦はそんなことを考えていた。

 クリアエネルギーの残量は・・・あんまりないな。まぁなんとかなるかな。

 なんて軽い見立てで、知らない相手に挑もうとする。

「清彦さん!?」

 すごい勢いで走る清彦に驚くララ。

「ダメだよ!外には・・・」

 清彦はリルの台詞の続きを聞かずに外へとびだす。

「・・・結構多いな・・・」

 目の前には、背丈は清彦の腰あたりで、ボロボロの剣を持ち、豚のような顔をした人型の生物がいた。

 これも魔物の一種なのだろうかと、清彦は豚人間(仮称)をまじまじと観察する。

「プギッ!人間だ!人間が出てきたぞ!コイツか!?」

 豚人間が耳障りな声で叫ぶ。

「違う!ぷぎぎっ!女だ!女を探せぇ!」

「女・・・?」

 豚人間が喋ったことに素直に驚きながら、清彦は豚人間の言ったことを考えてみる。

 ここで自分の知っている女は三人・・・ララ、ルル、ラルだけ。

 そのなかでターゲットになりそうなのは・・・

「ルルだよなぁ・・・」

 ひとまず今のは黙っておこう。

「それ以外は殺せえええええ!プギイイイイイイ!!」

「プギィって言わなきゃだめなのか?」

 平和な疑問を呟きつつ、清彦は右手を突き出す。

【使用意志を確認――――召喚システム発動】

【召喚対象を確認――――確認完了】

【スペックの確認――――確認完了】

【システム異常————無し】

【クリアエネルギーの放出・変換————完了】

 瞬間、清彦の右手に剣が現れる。

「プギッ!?」

 驚く豚人間を頭から股間にかけて真っ二つに切断し、どす黒い血が周囲に飛び散る。

 それは当然清彦にもかかり、ベッタリと付く。

 しかしまるで動揺しない。もう慣れているかのように・・・。

「プッギイイイイ!あいつを!あの人間を殺せええええ!」

「やってみろ」

 豚人間たちは怒号を上げ、清彦一人に殺到する。

「結局、こうなるのか・・・」

 清彦は小さく呟き、迫ってくる豚人間を見据える。

 と・・・その先頭が大きくのけぞった。

「!?」

 戦闘中には絶対やってはいけないと知っていても、清彦は振り返らずにはいられなかった。

 そこには、ここにいてはいけない人がいた。

「清彦、私も・・・」

「駄目だ!家に戻れ!早くしろ!」

 必死に叫ぶが間に合わない。

 豚人間がルルを見た。

「・・・やめろ」

 豚人間が騒ぎ出す。

「やめろおおおおおおおおおおおお!!」

 それだけは、絶対に避けなければならない。

 豚人間の一匹が、ルルを指差した。

「あいつだ!あの女・・・」

「わああああああああああああああああ!!」

 その声をかき消すために、清彦は叫びながら一気に豚人間との距離を詰め、ルルを指差した豚人間を腰から切断する。

「プッギャアアアアアア!」

 悲鳴を上げる豚人間たちを、清彦は怒りの形相で殺し続ける。

 それは戦いではなく、蹂躙だった。





「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 全ての豚人間を殺した頃には、清彦は真っ赤に染まっていた。

「・・・くぁ」

 左足に鈍い痛みが走り・・・確認すると太ももに傷があった。

 いつの間に斬られていたのか・・・清彦はまるで気がつかなかった。

「・・・ルル・・・」

 清彦は足の痛みなど気にかけずにルルを探した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ルルは先程と同じ場所にいた。

 それどころか、まったく動いていない。

「ルル」

 もう一度呼びかけると、ルルはビクリと体を震わせ顔をあげた。

 その、あまりに虚ろな目を見て・・・清彦は言葉を失った。

「・・・ルル」

「私・・・」

 ルルは清彦を見ていない。

「・・・私?私の・・・私のせい?」

「ルル」

 清彦の呼びかけにも答えない。

「私が・・・あはは・・・」

「ルル?」

 ルルの表情・・・

「まずい」

 あの顔は、

「あはははは・・・みんな・・・私の・・・あはは・・・」

 ルルはフラフラと立ち上がり、どこかへ歩きだしてしまう。

「待て・・・」

 追いかけようとして、清彦はその場に倒れこんだ。

「くっそ・・・」

 足の傷は意外と深いのか・・・動かすと芯まで響く痛みが走る。

「待て・・・ルル!このっ・・・」

 俺はなにをやってんだ?

 こんな痛み・・・いくらでも経験しただろう!

「待て!ルル!」

 清彦は力を込めるたび血が吹き出す左足を引きずりながら、ルルを追いかける。

 間に合え、間に合えと強く祈りながら・・・。

 いやー・・・とってもスプラッタ・・・。

 この小説は基本こんな感じです。苦手な方は読むのをお控えください。

 さて今回も変身しませんでした。

 仕方ないんですよねー、クリアエネルギーの残量が・・・。

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