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隣の彼女は幼馴染み!?  作者: 水崎綾人
第3章「部活と悩みと俺の意志」
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第15話「八つ当たりと相談」

「なあ遥斗。お前今日学食行かね?」


 唐突に須藤に声を掛けられた。今日は俺も元々学食にいく予定だったため、須藤と一緒に学食に行くことになった。


 須藤と学食までの道のりを歩いていると、前から大空が歩いてきた。隣には柏崎がいる。何を話しているのか分からないが、楽しそうだ。


「最近あいつら仲よさげだよな」


 須藤が言う。須藤は俺の反応を気にしているようだが、俺はそのまま何も見なかったような素振りで歩き続ける。


「お、おい何処行くんだよ?」

 大空のやつ…。もうどうなったって知るか。助けてくれないも何も助けを求めてこなかったじゃないか…。でも、助け求められても助けられなかったかもしれないけど…。


「おいってば」


「なんだよ?」


 今の俺によっては須藤の言葉一つ一つが癇に障るものであり、大空のことを意識せざるおえないものだからだ。


「お前さ、ガチで何かあったの?あんなに大空さんと仲良かったんだし」


「別に何もないし、仲もよくない…」


 適当にあしらい学食の食券を買いに券売機に向かう。今日は気分的にランチAの大盛りだ。俺は食券を買うとカウンターに持っていき飯が出てくるのを待つ。


 その間も須藤はしつこく

「なあ、遥斗。お前と大空さ―」

 ああ…うるさい。どうでもいいだろ。俺と大空なんて…元々幼馴染みだとかそんなことどうでもいいんだよ。ついのこの前まで忘れてたことだ。


 待つこと数分。俺の注文した飯がようやく俺の前に姿を現した。俺は、モヤモヤしている気持ちをランチAに込め一気に口の中に入れ込む。こうしていると一瞬だけ忘れられる気がしたのだ。須藤は俺のことを凝視していたが、そんなことは関係ない。今の俺に周りに気を使っている余裕はないのだから。


「おいおい、そんな流し込んで大丈夫か?」

 心配そうに訪ねてくれる須藤。自分が注文したラーメンにはあまり口をつけていないようだった。


 須藤はまた言う。

「お前やっぱり大空さんと―」

「うるせーよ!何もねえって言ってんだろ!」


 俺の声が学食中に響き渡る。一瞬にして静まり返る学食内。生徒がこちらを軽蔑の眼差しで見る。耐え切れない状況だった。気が付けば俺は全速力で学食を駆け抜け屋上に来ていた。


 俺の学校の屋上には少しの芝生と二、三台のベンチが置いてある。俺はそのベンチに腰掛け、空を見た。多分、この光景を見た人は中二病患者だと軽蔑視されるだろう。


 爽やかな風が流れる。空がこんなに青いのに俺の心の中は真っ黒。こうしているとちっぽけなことに感じるが、実際そう感じているのは逃げている証拠だ。現実からの逃げでしかない。ちっぽけに感じているのでは無く、ちっぽけに感じようとしているのだ。俺は心の中でまだ大空と壁を作っていたのかも知れない。もしかしたら大空と真正面からぶつかって行くしか方法がないのかも知れない。だが俺にはそんな勇気も技量もない。どうしたらいいのか…



「無力だな…」

 俺の呟いた言葉を、少し強い風が拐っていった。




   ◇

 放課後。俺は一人で萬部へと向かった。

「ういーっす」


 力ない挨拶で部室に入る。前には和服姿に身を包んだ小野の姿があった。今度は何をやってるんだ?


「お前今度は何やってんだ?」

「今日はセクハラくんだけですか?木葉ちゃんは?」


 人差し指を顎に当て聞いてくる。

「質問に質問で返すな。ちなみに俺はセクハラくんじゃない」

 適当な椅子に腰をかけ小野の方に向く。正直、小野と二人になるのは初めてなので若干緊張する。どんな話ができるか興味がある。


 しかし、そんな思考も大空木葉という憎い相手によって簡単に打ち消される。

「今日は和服コスです!昔の女性の気持ちが分かると思いまして。過去を知る者は現代を制すってやつですよ」


「初めて聞いたわ…」


 訳の分からん理屈だ。

「それで、木葉ちゃんの和服も用意したんですけどね…」

「へー…」


 小野はそう言うとピンクの綺麗な着物を教室のロッカーから取り出した。一体どこから用意されているのだろうか?


 用意された緑茶と和菓子を摘み、時間が過ぎていった。その間の俺と小野の会話はとてつもなく少なかった。一言二言発したかどうかのレベルだった。

 時計は午後五時五十分。十月になる季節の今、日は短くなっているため辺りはもう暗い。


 これ以上ここにいる必要は無いと判断した俺はバックを肩にかけ帰る支度をしていると

「あっ、セクハラくん」

 小野雅が俺のことを呼び止める。

 俺は振り返りざまに大空の方へ向き直る動作を開始する。

「だから、セクハラくん言うな」

「あのっ…」

 小野はどこか恥ずかしげに言葉を詰まらせる。そしてまた、彼女の口が静かに開き始める…。

「あの…木葉ちゃんと何かあったんですか?」


 小野から発せられた言葉は、今日、須藤から散々聞かれたことだった。俺にとってこの質問は頭を混乱させる起爆剤とも等しいのだ。「何かあった?」という質問は何も無かったと答えても何かあったように聞こえるし、大人しく悩みを打ち明けると結局何かあったことを認める事になる。俺はこの質問が大嫌いだ…。


「いや…何もない…」

 小野と目を合わせていられず、思わず視線を外してしまった。

「うそ…」

 呟く小野雅。

「んな、嘘じゃないよ…」

「いや、セクハラくんいや、遥斗くんは嘘をついているよ…」


 ダメだ…勝てない。ここで昼休みのように大きな声を出し、教室から駆け出すという選択肢もあるのだが、それは現実からの逃げでしかなかった。


 屋上で風がさらっていくように俺が風のように現実から逃げていく。


 何も変わらない。現実は変わらない。自分自身の考え方が変わっただけで事実は変わらないのだ。

 だとしたら、小野雅に打ち明けてみるのも一つの進歩なんじゃ…。

「ぁ…」

 声にならない声がかすかに漏れる。決めるんだ俺…現実から逃げないために…。

「実は…俺…」




  ◇

 俺は、小野雅に全てを話した。俺と大空が幼馴染みであること、それをこの間まで忘れていたこと、大空に友達がいなくて友達が出来るように協力していること、大空と喧嘩したこと、柏崎のこと全てを話した。

 時計を見ると既に午後七時を回っていた。小野との話だけで一時間以上もかかったのだ。

 俺は下校途中、小野と話したことを何度も思い出す。



―やっぱり最後は自分に素直になることじゃないのかな?やるも、やらないも自分次第なんだしさ―


 自分に素直になるって…それが分かんないから困ってる。

 だが、不思議と心が落ち着く。誰かに相談出来たことも大きいのだろう。


 夜の暗い闇が自分を包んでくれるようなそんな変な安心感の中、自宅を目指して歩き続ける。


 こんにちは水崎綾人です。

最近、忙しすぎてあまり書けてなくてすみません。

文章も拙くてすみません。でも、物語の解決の鍵は遥斗が持っているので、これからもよろしくお願いします!

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