第1章 私の気持ち
第1章 私の気持ち
もう誰にも会いたくない
もう誰の声も聞きたくない
もう誰とも話したくない
何も言わない私に母は何度も話しかける。でも私はそれに答えない。
いろんな人が私の為に手を合わせてくれている。その人達の気持ちに答えなくていいのかと言われた。それでも私は何も感じなかった。私の心はとても冷酷になっていた。
声を発さず一日中沈黙が続いた。
そんな毎日を過ごしている私を見かねた母が病院に連れて行ってくれた。
向かった先は心療内科。
久しぶりに出た外の世界。歩く時はずっと下を向いて歩いていた。誰の顔も見たくなかったから。
私にとって感じるもの全てが嫌だった。
あの明るくて温かい太陽も
青く澄み渡る大空も
冷たさを感じる風も
ただ流れに乗って漂う雲も
1度顔を上げて空を見る。とても綺麗な空が憎らしく思えた。
病院に着くと待合室に通され、チェックシートのような物を渡された。
それをチェックしていくと、
「自分の生き方には意味がある」
「生きがいを感じる」
という質問があった。
自分の生き方・・・。意味などきっと無い。だから「あまりあてはまならない」にチェックした。
生きがいなんて今は何も思いつかない。生きがいなんていう言葉の意味なんて忘れた。だから「まったくあてはまらない」にチェックした。
自分の番号を呼ばれ診察室に行った。
また私は誰とも話したくなかったからずっと下を向いていた。質問には全て母が答えた。
ただ私は無言で頷く事しかできなかった。
そして処方された薬をもらって家に帰った。
その夜、いろんな事を考えていた。なぜ、キモいという言葉があるのだろうとか、なぜ人を傷つける言葉がこの世にはあるのだろうとか・・・。
あの世には人を傷つける言葉は無いのかな・・・?
「もう嫌だ・・・。」
私はベランダのてすりに腰掛けた。
「お母さん、お父さん今まで育ててくれてありがとう。私は人を傷つける言葉の無い世界に逝きます。」
と言って下に飛び降りた。すると、地面が歪んで見えたかと思うと、歪んだ場所が大きな黒い穴となり私はその穴の中に落ちていった。
tobecontinue....