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王道冒険×推理「LAST DAWN」  作者: d.2026


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第2話「霧の街」






ガンッ!!!!




鉄格子が悲鳴を上げた。


門の向こうから、甲冑の靴が石を踏み砕く音がする。


「開けろ!」


ガン、ガン、と蹴りが続く。


落とし棒が揺れ、かんぬきががちゃがちゃと鳴った。


門と塀は二メートルほど。簡単には越えられない。


――だが、時間の問題だ。


レンはアイの手を握った。


「……クソ。アイ、逃げるぞ!」


廃墟の裏側。塀の一部が崩れている。


二人はそこから身を滑らせ、霧の路地へ飛び出した。


背後で門が唸る。


金属の軋みが、近づいてくる。


「チッ……俺が行く」


追手の一人の身体が、ぼんやりと発光した。


次の瞬間、信じられない高さへ跳び上がる。


塀を軽々と越え、右側の建物の外壁を駆け上がり、屋上から回り込んでくる。


「そこまでだ」


影が落ちた。


屋上から飛び降りた騎士の剣が、冷たく閃く。


レンは腰の古びた剣を引き抜いた。


ギィン――。


正面から受け止めた瞬間、腕が痺れた。


骨まで響く衝撃に、顔が歪む。


「レン!!!!」


アイの叫びが霧に吸われ、遅れて耳に届く。


――力では勝てない。


レンは相手の勢いを借りて剣をいなし、横へ転がる。


すぐに起き上がる暇もない。下段蹴りを放ち、騎士の体勢を崩した。


「こっちだ!」


アイが頷き、二人は路地を抜ける。


霧が一段と濃い広場へ――踏み込んだ、その瞬間。







「……っ、アイ!」



霧の向こう側、アイの死角からもう一人が現れた。


音がしない。剣だけが、白く浮かぶ。


刃が、アイの胸元へ――。


アイは反射的に目を閉じた。


だが、痛みは来ない。


代わりに、乾いた“指先の音”がした。


彼女が恐る恐る目を開けると、


白シャツに黒いスラックスの男が、素手で剣を止めていた。


「お嬢ちゃん、大丈夫か? 危なかったな」


「貴様、何者だ!?」


騎士の怒号。


次の瞬間――ドン、と鈍い音が広場に響いた。


騎士が五メートル先の壁へ叩きつけられたのだ。


「がはっ……!?」


甲冑が歪む。中身まで潰されたみたいに、男が崩れ落ちる。


残る二人の追手が足を止める。


霧の中に立つのは、褐色の肌を持つ黒髪の男。


中性的に整った顔に、薄い笑み。


「なんや。いたいけな子どもいじめてる、悪い大人がおるなぁ」


男は腰の“筆”へ手を添えた。


見えないのに、空気が沈む。


レンもアイも、騎士たちも、全員が本能で理解する。


――こいつは、格が違う。


「悪い子には、お仕置きや」


霧の街で、何かが動き出した。




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