第14話「倉庫街のハイエナ」
潮の香りに混じって、焦げたオイルと安酒の匂いが鼻腔をくすぐった。
ジュダヴェルニ
霧の街の華やかさとは無縁の、剥き出しの裏社会。
古い石造りの倉庫が立ち並び、街灯の光は平たく、地面に落ちる影を薄くしている。
「そういやシンはどこに買い物行っとったんや?」
ソラが軽く問う。
「ロワー・クリフの中心街です。」
アイが答える。
「ここから少し離れているんですが、飲食店が多くて、そこで食料と、香辛料も切らしてたからその補充に行っていたようです。」
「なるほどな」
レンが前方の薄暗い桟橋を指差した。
「ソラさん、あそこですか?ザガンとの待ち合わせ場所って」
その時。
背後、霧の向こうから。
三人の男が音もなく姿を現した。
中心に立つのは、使い古されたナイフを弄ぶ狂気じみた男――リク。
瞳には獲物をいたぶる嗜虐の光が宿っている。
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所属:ソルジャーズ
リク・ファウル
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「おやおや、見つけたぜ。」
「騎士団から逃げやがった、お尋ね者のガキどもだ」
嘲笑に合わせ、両脇の屈強な男たちも武器を抜き、距離を詰める。
「ソラさん、俺らがやるよ。 」
「ここで逃げたら、一生シンを助けられない気がする。」
レンが腰の古びた長剣 ”リベリオン”を引き抜き、切っ先を地面に向けて構えた。
ソラは筆〈雲断〉を回しながら一歩下がる。
背後にあった木箱に腰をかけた。
木箱は複数積み上げられており、Eと半円の紋章が刻まれている。
「ええ心意気や。 実戦こそ、一番の修行になるからな。 アイ、レン。後ろは俺が守ったる。思う存分、暴れてきい」
空気が一瞬で熱を帯びる。
戦いの火蓋が切って落とされた。
――リクの舌が、獲物を味わうように唇を舐めた。
「泣かせてやるよ。孤児院のガキ共」




