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王道冒険×推理「LAST DAWN」  作者: d.2026


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第12話「霧の悪意」


温かな紅茶の香りが、ほんの少しだけ緊張をほどく。


だが、ソラがカップを置く音は冷たい現実の合図みたいに響いた。



「シンを助けるために裁判所へ行くのは、筋としては正しいで。」


ソラは淡々と言う。


「やけど、それはあまりに敵の土俵に乗りすぎや」


レンは唇を噛み、拳を握りしめた。


反論したい。


けれど、反論できない怖さもある。


もし今、表立ってシンを救い出そうと動けば、ソラやルタオの助けもあり、裁判所には問題なく行ける。


「アタイも裁判所は反対だね」


ルタオが腕を組んで口を挟む。


「騎士団が動いているということは、誰かが限りなく真実味のある通報をしたということ」


「クリフヘイヴンの聖霧騎士団セイントミストは腐っちゃいない。」


「つまり、裁判所に言っても手続きがスムーズに行かない可能性が大いにある」


「恐らく拘束するに十分な証拠がすでに用意されているんだろうさ。」



ソラが笑う。笑い方が軽いほど、言葉は重い。


「何の罪状か分からんけど、そうなれば敵は更に入念に真実を隠す。」


「そしてその間に証拠はすべて闇に葬られ、シンを陥れた黒幕は霧の向こうへと姿を消える。」


「ようある流れやな。」


ソラは言いながら笑う。


「これは簡単じゃないで。」


裁判所に訴えても、シンの身柄は守れない可能性が高い。


そこも含めて、黒幕は手を打っている。


ソラは窓の外の深い霧へ視線を投げた。


「自分らの友人をハメた奴は、レンとアイ、あんたら二人をも消そうとしとる。」


「 中途半端な介入は、余計に事態を悪化させるで」


冷たい白霧が、背筋を撫でるような錯覚。


入ってくるはずのない霧が、心の中だけに忍び込んでくる。



「要は、相手の方からシッポを出させるってんだろ?」


腕を組んで黙っていたルタオが、不敵な笑みを浮かべて口を開いた。


その瞳には料理人の矜持だけじゃない、猛さが同居している。


レンとアイが驚いたように顔を上げると、ルタオはカウンターを軽く指で叩いた。


「アタイに良い案がある」


「悪党どもを、一気に炙り出してやろうじゃないの」


レンとアイは、思わず息を呑んだ。


――反撃の匂いがした。


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