065 辺境での穏やかな一日
辺境の朝は早い。
朝日が地平線から顔を出す前に、洗濯機に洗濯物を放り込み洗濯を始める。
洗濯機が回り始めたら、次は朝飯の仕込み。
白亜はその間に白夜の散歩。
朝日が昇り、白亜が戻ってきたら朝飯だ。
朝飯を終えると、白亜が転移装置でホバートの冒険者ギルドに出勤する。
ここのところ毎日だ。
俺は洗濯が終わった衣類を洗濯機から取り出すと、物干しに干していく。
それが終わると、畑に行って野菜の収穫と水撒きと雑草除去に精を出す。
結局、午前中一杯掛かってしまった。
家に戻ると、居間でロダンが魔剣の手入れをしていた。
その横のソファで隊長さんが昼寝していた。
魔素が魔剣ダーインスレイヴから漏れ出して、隊長さんの方に流れ出している。
「うう~ん…………」
隊長さんが魔素に中てられて魘されている。
悪夢でも見せられてるのかね。
最近、隊長さんは毎日うちに入り浸っているが、仕事、大丈夫か?
昼飯の時間になったら、隊長さんが目を覚ました。
隊長さんを交えて昼飯を食べる。
昼飯が終わった頃、警備兵が隊長さんを迎えに来た。
「昼飯、ごちそうになった」
そう言って去っていった隊長さんはこれから仕事らしい。
午後から仕事とは優雅な身分だね。
隊長さんを見送った俺はテラスの椅子に身を任せて昼寝だ。
空は真っ青、今日もいい天気だ。
かくゆう俺も優雅な身分。
隊長さんのことを言えないね。
暫し昼寝した後は、最近、家の横に建てた工房に籠る。
今日は何の研究をしようか?
それともどんな魔道具を作ろうか?
工房での時間経過はアッという間だ。
そろそろ、晩飯の支度だ。
晩飯の支度をしていたら、白亜が帰って来た。
「ただいま帰ったのじゃ」
「おかえり。晩飯にはまだ時間がある。先に風呂に入っておいで」
「うむ。ではお先にお湯を頂くのじゃ」
白亜がバスルームに直行する。
白亜が風呂から出た頃合いが晩飯の時間だ。
晩飯が終わった頃、めいめいが居間で寛いでいる間に、洗い物を終える。
居間で白亜から今日一日の報告を受け、白亜が自室に引っ込んだ頃、俺はテラスに出て空を見上げる。
空は一面夥しい星。
これを眺める度に実感するんだよね。
俺は異世界でスローライフを満喫しているんだって。
さて、のんびり湯船に浸かるとしますか。
その後はベッドで寝るだけ。
今日も辺境での穏やかな一日が終わる。
う――ん、最高だ。




