041 意味がわからない
それは、49階層最後の広場の中央にありました。
ダンジョンに似つかわしくない邸宅。
「これはなんなのですか!?」
私は思わず声を上げてしまいましたが、それも仕方の無いこと。
他のメンバーも我を忘れて、口をポッカリ開けています。
私達は艱難辛苦を乗り越えて、ようやくここまで辿り着きました
30階層から39階層までの倒したエリアボスは以下のとおりです。
30階層 : ミノタウロス
31階層 : ワイバーン
32階層 : ファイアーベア
33階層 : ケルベロス
34階層 : ステルススパイダー
35階層 : モンスターバイパー
36階層 : バジリスク
37階層 : サイクロプス
38階層 : レッサードラゴン
39階層 : ベヒーモス
どれも強敵で倒すのに苦労しました。
私達が王国最強の《S》ランクパーティーだからできたことです。他の《S》ランクパーティーなら全滅していてもおかしくない相手ばかり。
そうして、40階層に辿り着いた私達は、それ以降、1体の魔物にすら出会うことなくここまで来ました。つまり、40階層から49階層までを、白銀の翼の2人だけで踏破したということなのです。
ダンジョンは深い階層にいけば行く程、魔物も強くなっていきます。
その法則を鑑みるなら、白銀の翼は私達十字星が相手したよりも強い魔物を倒してきたことを意味するのです。
そして、目の前には邸宅。
すると、邸宅の扉が開いて、イツキさんと白亜ちゃんが出て来ました。
「お疲れ様です。大変だったでしょう。とりあえず中へ」
イツキさんが邸宅の中に招き入れてくれました。
「左側にリビングがあるので、そこで休んで下さい」
そう言うと、イツキさんは右側の部屋に消えていきました。
イツキさんについて行こうとする白亜ちゃんを呼び止めます。
「白亜ちゃん」
「? なんじゃ? ナナミ」
「白亜ちゃんに訊きたい事があるのです」
「? 妾でよければ答えるが。なんじゃ? 言うてみよ」
「このお家は最初からここにあったのですか?」
すると、白亜ちゃんが溜息をつきながら、
「いや、兄者が建てたものじゃよ」
「建てたぁ!?」
トアが驚きの声を上げます。
「いつ建てたんだよ、こんなの!」
「6日前じゃよ」
「イヤイヤイヤ。こんな邸宅、すぐには建たんだろう!?」
「うん。妾もそう思うが、実際、30分くらいで建ててしもうたよ」
もう本当に意味がわからない。
普通なら半年は掛かる物件です。
「ねえ、白亜ちゃん。あなたのお兄さんて一体…………」
サリナさんの疑問に、白亜ちゃんも、
「驚くのはわかるぞ。妾も呆れておる」
すると、イツキさんが右の部屋から顔を出して、
「晩御飯の用意ができたんで、食堂に来て下さい。こっちですよ」
いい匂いが漂って来ました。
食堂に行くと、茶色いドロッとしたスープが入ったスープ皿と見たことのない平ぺったいパンが置かれています。
「これは?」
席に就いたリーダーの問い掛けに、
「ああ、初めて見る料理でしたか? これはカレーというスープとナンというパンです。俺の居たところの郷土料理ですよ」
どうやって食べるのでしょう。
それに気付いたイツキさんが、
「こうしてナンを千切ってカレーに浸して食べるんですよ。スプーンもあるから、カレーを掬って食べてもいいですよ」
ナンを千切ってカレーに付けてそれを口に運び、それからスプーンを掲げて見せます。
銀色だが鏡のように磨き上げられたスプーン。
「なにこれ! めっちゃ美味しいわねえ!」
「う~む。これは絶品だ。イツキ君、おかわりはあるかな?」
「ええ、まだまだありますよ」
カレーを口にしたサリナさんがお皿に気を取られ、ガゼルさんの皿はもう空です。
「手が止まらんな、これは。」
トアも一心不乱に食べています。
イツキさんがみんなの食べっぷりを嬉しそうに眺めています。
でも、私が気になるのはスプーンの方です。
「これは銀のスプーンなのですか?」
「銀じゃありませんよ。鉄を主体にニッケルとクロムを配合した錆びない鉄の合金、ステンレスです。錬金術師のナナミさんなら作れるはずですよ」
そんな合金、訊いたこともありません。
「それにこの家もイツキさんが建てたと訊いたのですが?」
「ああ、俺の錬金術師のスキルで建てました。ナナミさんにもできるでしょう?」
「それは…………ちょっと…………無理です。」
「そうですか? 簡単なのに。」
イツキさんはこともなげに言いますが、簡単なはずがないのです。
この人、何をさも当たり前のように言ってるんでしょう。
できないのです。
私にはこんな邸宅を30分で建てるなんてできないのです。
できるはずないのです!
「ところで、イツキ君達も大変だったんじゃないのかな?」
リーダーの問いに、イツキさんが、
「う~ん。面倒くさくはあるましたねぇ」
散らかった部屋を掃除し終わった後の感想みたいな返事。
イツキさん達が倒した魔物は、
40階層 : 牙狼、オークロード、ミノタウロス、グリフォン
41階層 : ミノタウロス、黒い粘液の魔物
42階層 : オルトロス、ヘルハウンド
43階層 : 骸骨兵、スカルドラゴン
44階層 : サーベルタイガー、ヤマビル、大猿、巨大ヤマビル
45階層 : リザードマン、ダルマザメ、巨大ザメ、水中肉食恐竜みたいなもの
46階層 : 巨大ロボみたいなミスリルゴーレム
47階層 : ワイバーン、フレイムライオン、巨大イナゴ、アースドラゴン
48階層 : -
49階層 : ゾンビ、亡霊、レイス、死霊騎士、レイス、デュラハン
「ミノタウロスって、30階層で俺達が総掛かりで倒したエリアボス…………それが40階層以降はエリアボスじゃない、だと?」
「グリフォンやスカルドラゴンなんて、《S》ランクパーティーが2組以上共闘しないと普通は倒せないぞ」
「ミスリルゴーレムが8体なんて、撤退案件よ」
トア、ガゼルさん、サリナさんが唖然としているのです。
「水中肉食恐竜みたいなものってなんだったの?」
「さあ、よく見てなかったから。まあ、巨大ザメを駆除するついでにやられたから、たいした魔物じゃなかったんじゃないですかねえ?」
サリナさんの問いにイツキさんが興味無さげに答えます。
すると、それまで夢中にカレーを食べていた白亜ちゃんが、
「あれはウロボロスじゃったよ。本当に気付いておらんかったのかぇ?」
「だって、一瞬で消えちゃったし」
意味がわからないのです。
王国の軍が総力を結集しなければならないくらいの魔物を雑魚扱い。
「兄者はほんとに『常識』について学習した方がよいぞ」
「なんだよ。俺ばっかり異常者扱いしやがって。おまえだって、巨大ヤマビルと半分以上のミスリルゴーレムを倒したじゃないか」
白亜ちゃんも普通じゃなかったのです。
「こいつはね。アンデッドに怖がらせられた腹癒せにデュラハンを超強力な浄化魔法で抵抗できなくしたうえに、いたぶり倒したんですよ」
イツキさんがとんでもないことを言いました。
「ちょっと待ってくれ、イツキ君っ! デュラハンって魔族じゃないか!」
「魔物じゃなくて魔族だったんですか。凄いな、白亜。」
「兄者が魔力パスを繋いでくれたおかげじゃ。どんどんスキルが上がっておる」
リーダーが思わず立ち上がったが、イツキさんは『そうだったんですか』程度の反応です。
が、白亜ちゃんの発言が更なる驚愕を呼びました。
「魔力パスって、いったいどういうこと!?」
イツキさんに掴み掛かりそうな勢いで訊くサリナさんに、
「ああ、超級神聖協調魔法と特級無属性協調魔法を付与した指輪を作ったんですよ」
「ちょっと見せてっ!」
イツキさんの左手薬指に嵌められた指輪。
サリナさんがその指輪を穴が空くほど見詰めていました。
「嵌めた術者同士が魔法属性と魔力を共有するソーサリィシェアっていう合成魔法です。プロパティズシェアとMPシェアの機能を組み合わせた俺オリジナルですね。指輪自体には強奪防止の為に、マッチングとアブソリュートオースと強化+++を合成した魔法エンゲージも付与してあります」
「プロパティズシェア!? 幻の超級神聖魔法じゃないですか!? そんな魔法を使える人を見たのは初めてなのですっ! どこで覚えたのですかっ!?」
私も思わずイツキさんに詰め寄りました。興奮が収まらないのです。
イツキさんは頭を掻きながら、
「魔法大全に載ってたんですよ。それを読んで覚えました」
「魔法大全!? 本物は存在しないと噂される伝説の書物じゃないですか! 私が見たことのある偽物にはプロパティズシェアなんか載ってませんでしたよっ! それが載ってるってことは本物ってことじゃないですか!? どこで手に入れたんですか!?」
「う~ん、出所は言えないんですよ。でも、見せることなら――――」
「ぜひ! お願いします!」
食い気味にお願いしました。
「じゃあ…………これです。」
イツキさんが何もない空間から1冊の厚い本を取り出しました。
魔法大全!
震える手でページを捲ります。
偽物には載っていなかった魔法がたくさん載っているのです。
第9章に、[プロパティズシェア]はありました。
術者と非術者の前提条件を合わせる為の同時多重詠唱を何度も行わなければならない複雑な術式。最大で4重詠唱。
「私には無理です。こんな術式の詠唱はできません」
「そんなことないですよ。頭の中に自分を4人思い描いて、それぞれに違った詠唱をさせてやればいいんですよ。簡単でしょ?」
「そんな真似ができるのはイツキさんだけです!!」
もう頭がおかしくなりそうです。
リーダーが話を戻しました。
「イツキ君。話を戻すが、普通はダンジョンに魔族は現れないんだよ。だから、これは異常なことなんだ」
都市近郊に現れたダンジョンの中に魔族が居たのです。
とすれば、このダンジョンは自然に発生したものではなく、魔族が作り出したものだということです。必然、意味が変わってきます。
「ちなみに、兄者はデュラハンを使い魔にしてしまったのじゃ」
白亜ちゃんの爆弾発言。
「はぁ!?」
「ちょっと待ってくれ!」
「マジかよっ!」
「さすが、白亜様のお兄様」
「!!」
サリナさんとリーダーとトアが驚きの声を上げました。
ガゼルさんだけ反応が違いました。
私も絶句してしまいました。
「まあ、成り行きで使い魔にしちゃいました」
つい、やっちゃいました的に言われても…………
「とりあえず、デュラハン呼びます?」
そんな、喫茶店でウェイターでも呼ぶみたいに言われても。
「ロダ~ン」
「何用かな。王よ」
食堂のテーブルの上、空中に現れた首だけのデュラハン。
「この人達が、いろいろ訊きたいそうだ。答えてやってくれるかい?」
「まあ、王が言うのであれば」
「だそうですが?」
イツキさんがこちらに振って来ました。
「俺はデュークだ。あなたに尋ねたいことがある」
「デューク殿か。我の名はロダンと申す。何なりと訊くがよい」
「では、早速だが――――」
リーダーの質問に応じて、デュラハンは次にようなことを話してくれたのでした。
名前はロダンさん。魔族領の騎士爵。
仕えている魔侯爵家の招請に応じて戦いに参加したこと。
49階層でアンデッドを指揮する為に配された将であること。
このダンジョンが人工物であること。
「人工物!?」
「そうだ」
魔王亡き後の魔族領は五公主と呼ばれる5つの公爵家により共同統治されている。
五公主は、人間との共存を目指す和平派と人間の制圧・殲滅を唱える主戦派に分かれていがみ合っているが、現在は和平派が3:2で優勢であり、魔族領の主導権も和平派が掌握している。
このため主戦派は、和平派が人間界との間に交わした休戦協定を表立って破る訳にはいかなくなり、魔族軍を動かしての大規模な戦闘行為ができなくなった。
そこで思い付いたのが非正規戦。人工的に作り出したダンジョンを転移魔法で人間界の都市近郊に送り込み、スタンピードを発生させて都市を殲滅する作戦を立案した。
ダンジョン自体はダンジョンマスターにより生成され、五公主の一人で主戦派筆頭の魔公爵アスタロトによって目標地点に転送される。
ダンジョンマスターについては秘匿されている為、誰なのかは不明。
「ダンジョンにはあなたのような魔族が配置されているのか?」
「そうとも限らん」
魔族が配置されるダンジョンは稀。
人間を滅ぼすだけなら、狂暴な魔物や魔獣を多く配するだけで充分。
「魔族が配置される条件は何だ?」
「それについては、我には知らされておらん。おらんが凡その見当はついておるがな」
「それは何だ?」
「我は憶測では語らん。確証を得ぬ限りな」
考え込むリーダー達。
一方のロダンさんはイツキさんをまじまじと見詰めると、
「王には見当がついておるのではないか?」
「買いかぶり過ぎだよ~。俺にわかる訳ないだろ~?」
否定するイツキさんを見たロダンさんが溜息をついて、
「まあよい。いずれ、このことについては王と話し合うことになるであろう」
「まあ、…………いずれね」
その時でした。
私は見逃しませんでした。
イツキさんが一瞬、目を細めたのを。
「あのっ」
仲間達が考え込んでいる中、私が何か言い掛けようとすると、イツキさんが私の方を向いて、人差指を口の前に立てたのです。
そして、話を変えるように、
「ところで、おまえも首だけじゃ不便だろう?」
「確かに。体が無いといろいろ不便ではあるな」
「そんなロダンに体を用意してみようと思います!」
と、イツキさんがまた何もない空間から何かを取り出しました。
「じゃ~ん。甲冑の破片~~」
床に積み上がった、かつて甲冑だったと思われるバラバラの金属片。
「あ-っ! それは妾の甲冑っ!」
白亜ちゃんが叫びました。
そして、バラバラの金属片を指差しながら、
「まさか…………それをロダンに…………」
「うん。これを元にロダンの体を作ろうと思うんだけど」
「それは妾の…………妾の…………アーティファクト…………」
「の残骸だね。廃物利用。リサイクルだよ。残骸も有効活用できるし、ロダンも体を取り戻せるし。一石二鳥だねっ」
「りさいくる、はよくわからんが、納得いかん! 何でこんなヤツの為に…………」
「心の狭い小娘だな。そんなことではいずれ王に見捨てられるぞ」
「!」
白亜ちゃんが不安そうにイツキさんを見た。
「見捨てないよ。でも、白亜にも同意して欲しいかな」
「じゃが…………」
「甲冑なんか無い方が白亜の魅力が引き立つよ。だって、白亜はこんなに綺麗でかわいいんだから」
「兄者…………」
うっとりとイツキさんを見詰める白亜ちゃん。
二人だけの世界を作らないで欲しいのです。
目のやり場に困るのです。
どうなっているのですか、この兄妹は。
「そろそろよいか、王よ? みな困っておる」
「そうだね。じゃあ、早速、甲冑を作ろうか」
バラバラの金属片に両手を翳して甲冑製作を始めるイツキさん。
「水を差しおって、この死に損ないめっ」
小声で毒づく白亜ちゃんの呟きが聴こえました。
甲冑製作は2分で終わってしまいました。
アダマンタイトとミスリル銀の合金でできた銀色に輝く見事な騎士の甲冑。
イツキさんが、その頭を取り外して何もないはずの空間にポイッと放り投げると、放り投げられた頭が消えました。そして、代わりにロダンさんの頭を甲冑の頭のあった位置に据えると、
「どうだい? 首もきっちり固定したよ」
身体を得たロダンさんが手足と首を動かして、
「良い出来だな。かたじけない、王よ」
「これで、普段から堂々と同行できるはずだよ。これからは重装騎士ロダンでどうだい?」
「うむ。これで堂々と王に助力できるな」
「今まで通り、異界に引っ込むこともできるよ」
「では、我は夜だけ異界に引っ込むことにしよう」
「別に無理に引っ込まなくてもいいんだけど…………」
「夜となれば、いろいろあるだろう?」
「?」
「これからできるであろう恋人とか妻とかと…………」
「そんなことにはならないから安心せよ! この下劣騎士がっ!」
ロダンさんの背後から白亜ちゃんがトマホークを振りかぶっていました。
「我はもう退散することにしよう」
「ああ、それから、王は止めてくれ。イツキでいい」
「わかった、イツキ殿。では」
ロダンさんが消えた一瞬後、トマホークがブンとロダンさんの居た場所を掠めた。
「ちっ! 逃したか」
白亜ちゃんの舌打ちする声が聞こえました。
邸宅の建築、美味しい御飯、デュラハンからの情報、デュラハン用の甲冑製作。
予想の遥か上を行く出来事に困惑するしかないリーダーとサリナさんとガゼルさんは案内されるがまま、2階の部屋で休むのでした。
どうしてもイツキさんが気になった私が呼び止めようとした正にその時、白亜ちゃんに肩を叩かれました。そして、耳元で囁かれました。
「ナナミよ。あまり詮索せんでくれぬかのぉ」
「イツキさんは何者なのです?」
「それは妾の口からは言えぬ」
「あの人は万能ではないのですか? であれば、もっとギラギラした野望を抱くものです。その力を振るって国や富や世界を手に入れようとするのです。なのにあの人からはそれが全く感じられません。それがよくわからないのです」
「兄者にも野望はあるぞ」
「何ですか?」
「兄者の野望は『すろーらいふ』とやらを送ることじゃ。それだけが望みだと言うてもよい。兄者の刃は『すろーらいふ』に立ちはだかる者にのみ向けられる。だから、兄者の願いを踏み躙らん限り、何も怖れることはないのじゃ」
イツキさんが厨房に何かを取りに行くようです。
トアがそれについて行くのも見えました。
戻って来たイツキさんとトアが持ってきたのは4皿のイチゴショートケーキでした。
トアが自分以外のケーキの上のイチゴを取ろうとするのを、華麗に避けるイツキさんは終始笑顔でした。イツキさんは、私と白亜ちゃんの分も持ってきてくれたのでした。
「早いもん勝ち~」
「妾のイチゴを返すのじゃ。意地汚いぞ、トア!」
イツキさんから受け取ったケーキからイチゴを奪われた白亜ちゃんが奪ったトアを追い掛けています。
これだけ見れば、平和な日常の光景。
でも、これは魔族が生成したダンジョンの49階層に建てられた邸宅内での出来事。
私は確信したのです。
イツキさんが只者ではないのだということを。そして、白亜ちゃんも。
この人達は、《S》ランクなど軽く凌駕しているんだということを。
そして、アインズさんが言っていた言葉が思い出されます。
『お前らなんかよりよほど強い。《S》ランクパーティー3組合わせたよりな。王国最強、いや、そうだな、世界最強かもしれん』
でも、それすら甘い見積もりだったのだと、見せつけられることになるとは…………
その時は思いもしなかったのでした。




