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HIPHOP AREA   作者: W
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1話

「じゃ、ホームルーム始めるぞー」


朝8時30分、担任の一言でクラスの面々が徐々に席に着きホームルームが始まる。席に着いた後も会話を続ける奴、真面目に前を向いてる奴、課題をしてる奴、ゲームをしてる奴など、色んな奴がいるが、先生は気に止めない様子で淡々と連絡事項などを述べていく。


自分はというと、今日提出の課題になんとか取り組んでいる。


「今日欠席の奴はいるか?」


先生が生徒に問うが特に誰も答える様子は無い。しかし数人は教室の左後ろの席をチラチラと見ていた。


「居ないのは、アカザワ、っと…」


アカザワって奴は今学期になって1度も学校に来ていない。それまでは来ていたらしいのだが、関わりもなかったためイマイチ顔がピンと来ない。


「えー期末まで1週間切ってるからな。しっかりテスト勉強に取り組んで、いい気持ちで冬季休み迎えような。それじゃホームルーム以上」


担任の話が終わり、ホームルーム前の騒ぎを取り戻しつつ、クラスの各々が次の授業の教室へと移動を始めだす。


「ネイ〜、課題答え見せてー」

「わりぃ全然やってない、てかわかんない」

「まじかよ〜」


前の席から振り返って話しかけてくる、コイツはサガミ。一応1番仲良い友達だ。成績は最下位争いをしているレベルなのだが、こうやって毎日課題の事を気にしている。


「あとネイ、アカザワいるじゃん。アイツなんか捕まってるらしいよ」

「はっ?捕まってる?どういうこと?」

「だから、えーっと夏休み辺りから少年院?に居るらしい」

「え、がちか」

「で、なんでも人をやったみたいな…」


最初は同クラスの奴が捕まるなんて考えもしなかったから驚いたけど、話したこともなければ顔もピンと来てなかったからなのか、テレビのニュースを聞いてるくらいの感覚の話だった。


でも、その日の学校が終わった後でも、自分の頭の片隅には、『アカザワは人を殺して捕まった』という印象が確かに残っていた。



学校が終わって下校の途中までは友達と一緒なのだが、最終的にはいつも1人になる。家の近くにあるコンビニに寄り、たまにそこで何か食べ物を買ってかえるのだが…


「いらっしゃいませー」


カップラーメンやらポテチやらを手に取ってレジに向かうと、何やらレジで客と店員が言い合っているようだった。


「年齢確認出来るものを…」

「は!?だから出してるじゃんこれ免許証」

「ですがちょっと明らかにお顔の方が違いますので…」

「知らねえよそんなの、顔が成長しただけじゃねえの!?」


どうやら年確でモメているようだった。客側の顔はよく見えないのだが、後ろから見る限り自分と同じくらいの身長、しかしそれ以外は全くと言っていいほどかけ離れていた。縄の様に編まれた髪を下ろし、黒のパーカーにダメージの入ったスキニーパンツ、そして何やらゴツいスニーカー。柄が悪い上に怖そうだ。普通に年確はされなそうな風貌なのだが…


「もういいわ、だりぃし、タバコも他で買うよ」


客はそう言って立ち去ろうと振り返った。


目が合ってしまった。

見ないようにしていたが、ついどんな顔してるのか気になっていたらガッツリ目が合ってしまった。すると何か話しかけできそうな様子でこちらに寄ってきた。


「…お前」

「……なんですか」

「同じクラスじゃね??」

「…?…え?…」


そんなわけないともう一度しっかりと顔を見てみるが全く見覚えがない。


「多分違います」

「なんだっけ、名前……ネイ、そう多分ネイだ」

「え!?」


間違いなくこの人の事を知らないし、絶対に関わることは無いタイプの人だ。

そう、こんなタイプの人間は…。


「俺だよ、アカザワ。聞いた事あるっしょ?どうせ変 な噂流れてるんだろうけどさ」

「………!?」


アカザワの顔は覚えてないしこいつがアカザワである可能性は高い。でもなんで自分の事を覚えて…


「とりあえず行こうぜ、この店ヤバいからさ、行かない方がいいよ」

「えっ、ちょっと…」


アカザワはコンビニの出口で振り返り、来いよ来いよという顔で手招きした。流石に無視出来ず、何より不要な好奇心が湧いてしまい自分も商品を買うことなくそのコンビニを出た。

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