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▼第014話 ヤルマーニの街6 いいえ、自打球です。

 真面目な話、ベルツさんはこのくだらないノーランク問題による

 冒険者ギルドの優先的規約には飽き飽きしているらしく

 ガチで記録した内容が入った魔石を総本部に送りつけた。


「当然です、こんなくだらない理由で商機が失われるなど

 商人の1人として見過ごす事自体がありえないのですから。」


「その分、恨みも多そうだけどね……。」


「ははは、その点はご心配なく。」


 商人が集う商業ギルドとはいえ、冒険者ギルドの在り方に

 疑問を感じて商業ギルドの職員となる人も意外と多いそうで

 ベルツさんも元冒険者であり、流石に冒険者ギルドの役職者程まで

 腕が立つ訳ではないにせよ、それなりの心得がある程には

 自衛出来る程度には戦えるのだとか。


「ふーん……………あれ?でもこれって

 私も間違いなく恨まれてるよね?」

「古くは勇者と聖女とも呼ばれ、一切の魔力を持ち合わせず

 カードなる力を行使する【カード・ハンドラー】と呼ばれる

 セリカさんが今更では無いでしょうかね?」


「……………私そこまで言ったっけ……。」


「いえ、しかし魔力を一切持たない人はこの世界では非常に少なく

 多くが異なる世界からやってきた人なのは確かですし

 今から1年と少し前には世界中に多くの方々が

 現われた事は商業ギルドの連絡網で聞き及んでいます。

 そこから推察すれば自ずと答えは出るものです。」


 そういうものなのかね??


「当然、それによる素材採取能力等が高い事も含めて

 商業ギルドの利益を鑑みた場合に冒険者ギルドがどうであれ

 みすみす引き込まれてしまうだなんて

 引き込まれてしまうだなんて商人として放っておく訳には

 いかないのですから全力でやらせていただいてます。」


「ああ、結局着地点はそこなんだね……解り易くて嫌いじゃないけど。」

「回数を重ねての信用や信頼の確保が出来るのならそれで良いのですが

 お急ぎの様ですので。それに焦りのようなものを感じましたので。」


 焦りね……無くは無いんだけどね……。


「比較的顔に出易い性格をなさっているようなので

 気を付けた方が宜しいですよ?」

「ふぁっ!?」


 私、顔に出るタイプだったんだ……。


「それとハモンさんのご家族からの返事についてですが……。」


 商業ギルドの方が訪ねた結果としてはハモンさんの息子さんが

 対応されたそうで、遺体及び遺骨の受取は拒否。

 そして遺品に関しては全てを商業ギルドにおいて

 換金した後、受取といった何ともな内容だった。


「遺産は受け取るけど遺体や遺骨を受け取らないって

 良くあるんですか?」

「前例的に無い事は無いですが、大抵碌な内容ではありません。

 それとこの場合、商業ギルドで遺品を処分した所で

 受け取れるのはどんなに多くても半分です。」

「へ?」


 ハモンさんには奥様が居て、まだ生きているそうなのだけど

 対応されたのはハモンさんの息子であった事から

 この世界の最も基準となる世界法に照らし合わせた時に

 奥様が半分、残った分を子供で均等割りにするのだとか。


「ハモンさんの息子さん達の人数については把握出来ていない為

 どんなに高くても半分までです。

 残りは奥様ご本人に口から確認が出来ない限りは

 お渡しする訳にはいきませんし、何より遺体や遺骨に関しても

 奥様からの確認が一切取れていないのです。」


 現状では床に臥しているらしいのだけど

 とにかく息子さんが面会を拒否されたそうで

 全てにおいて保留状態になっているのだとか。


「と、言う事で担当の商業ギルドまで行っていただいて

 そこからの対応、でしょうか。

 流石に現状、遺体のままお渡し出来るというのに

 火葬してしまうというのもどうかと思いますし。」


 それとハモンさんが常々仕送りにしようしていた

 口座については本来は商業ギルドが個人的な内容である事から

 口外するものではない、としているものの

 ベルツさんは口外禁止、という前提で教えてくれた。


 その残額は0。

 そして3年以上前から仕送りされるとすぐに

 全額引き出されるようになったとか。


「仕送り用の口座はご家族であれば引き出す事が可能になっていた為

 息子さんが全て引き出しているようです。

 それも口座が0となった時期からであり

 それ以前は奥様が引き出されていたそうですが

 その時はまだ0という事もなかったようです。」


「……………何か凄く嫌な予感がするんだけど……。」

「私もそう思いますが、流石にそこまでとなると

 商業ギルドの業務の範囲を逸脱し過ぎた内容となりますので……。」


「まぁ……ついたら調べてみるよ……。」


 この嫌な予感が当たらなければ良いと思いつつも

 この2日後、駅馬車に乗っての移動をすべく門の前にある

 ロータリー状の駅で始発の駅馬車を待ち

 そこにベルツさんが見送りに来てくれた。


 何故駅馬車かって私、キチンとした馬車乗った事無いし?

 ヤルマーニの街に来る際には幌の付いた荷馬車になら

 乗せて貰った訳だけど、それではなく

 料金的にお高い、屋根から壁からキチンとついた駅馬車の方に

 乗って見たかったのです!


 一応懸架式馬車というのがあり、荷台部分を吊紐や鎖のようなもので

 宙に吊る形で設置したり、板バネ等で支えて車輪からの振動が

 伝わるのを軽減するものらしいのだけど

 それでも絶対お尻は痛くなるだろうと対策として用意したのがこれ!


 私の中では超絶大人気!

 「もちねこサミット」と呼ばれるクッションです!

 「ねこ」と「おもち」を融合させたフォルムで非常に可愛くて

 【ねこねこローブ】しかり、猫派の私も大満足の

 もちもちと伸び、ふかふかと柔らかく、すべすべな肌触りで

 巨大サイズまである為、これをお尻の下に敷けば完璧と言う作戦です!


 私が普段から抱き抱えて寝る程お気に入りである

 「みたらし団子色」の「みたらちさん」クッションを

 抱えているとベルツさんの目の色が真剣になったけど

 売る気は微塵も無いと一蹴するとかなりションボリとしていた。


 日が昇って間もない位に早い朝であり門が開くのもまもなく。

 セリカが乗る駅馬車も到着した頃にそれは起きた。


 何故か空からリンゴが大量に降り注いできたのだった。

 それと共にセリカは駅馬車へと向かっている中

 踵を返すように駆け出し、ベルツに抱き着くように

 押し倒すとほぼ同時、リンゴが一斉に爆発したのだった。


 駅馬車の停留所から駅馬車が待機する一帯

 その全てが一気に阿鼻叫喚の世界へと変わり。

 誰もが多くの血を流し、中には身体を欠損する者。

 爆発の直撃で吹き飛ばされた者や身動き一つしない者も居り

 地面にはその威力を物語るかのように数多くの穴が開いていた。


 【セリカ】【☆40 Md:95】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:05 C:05 M:00】

 ■□□□□□□ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■□□□□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■27863◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


 但しセリカはベルツを押し倒すかのように

 【ねこねこローブ】で無効化させた事で

 共に被害にあわずに済んでいた。


「セリカさん、これは一体……。」

「おのれ……【アップル・グレネード(M67破片手榴弾)】とは

 やってくれるね!審判ジャッジ戦闘申請バトル・リクエスト!!」


  ☆1【カード・ハンドラー】セリカ・ナナホシ

  カードチェック………終了、バトル・アクセプト(戦闘承認)


戦闘開始レッツ・ロール・バトル!私のターン、ドロー!!」


 【セリカ】【☆40 Md:94】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:06 C:06 M:01】

 ■□□□□□□ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■□□□□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■27863◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


「手札から3枚のレア級マギウス(魔法)☆3【アドバンス・ローン(前借り)】を発動!

 さらに手札からFゾーンにレア級テレイン(地形)【熱水線】をセット!」


 【セリカ】【☆40 Md:85】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:15 C:11 M:10】

 ■□□□□□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■□□□□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■23363◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・【アドバンス・ローン】ドロー禁止 後9T

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


 セリカ達の目の前の地面に10人程が入れるか否か程度の穴が開くと共に

 そこから熱水が湧き出てきた。


「ターンを終了。再度私のターン、ドロー!

 Mカードを6枚補充、さらに手札からエピック級マギウス(魔法)

 ☆5【秒速5ターン】のカード効果1と2を発動!」


 【セリカ】【☆40 Md:74】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:25 C:18 M:15】

 ■□□□□□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■□□□□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■66666◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0+11 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


「この瞬間、10ターンが経過した事で各デッキから10枚のカードを

 ドローし、さらに【熱水線】はカード効果によって☆0から0+10!

 ドローターン分も加算される為、合計が☆0+11へと変わる!

 さらに手札からエピック級マギウス(魔法)

 ☆5【エクスクルード(除外)リディスカバリー(再発見)】を発動!

 このカードは直前にゲームから除外されたカード効果を

 全て発動させる事が出来る!

 発動コストは5マギ!さらに再発動コストとして10マギ消費する事で

 この効果を再発動させ、合計2回行う事が出来る!

 私は【秒速5ターン】のカード効果1と2を2回使用する!

 これによって【熱水線】は0+31へと変わる!」


 【セリカ】【☆40 Md:54】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:45 C:37 M:35】

 ■□□□□□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■□□□□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■33333◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0+31 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


「さらに相手がピッチャーならこっちはバッターだよ!

 手札からCカードを3枚セット!そしてレジェンダリー級ユニティを呼び出す!

 おいでませ!☆3【サイクルヒット・ガール】!!」


 【セリカ】【☆40 Md:54】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:45 C:37 M:35】

 ■□□□◇□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■◆◆◆□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■33333◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0+31 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・Cゾーン1-3:【?】

 ・Uゾーン4:【サイクルヒット・ガール】☆3

         レジェンダリー ユニティ

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


「伏せカードの効果が使えるようにターンを終了!

 そしてずっと私のターン、ドロー!Mカードを6枚補充!

 ターン経過によって【熱水線】は☆0+32となる!」




 これで準備は整った……。


「ベルツさん!まだ息があって怪我の酷い人からこのお湯の中に入れていって!」

「え?ここにですか?」

「いいから急いで!但しこのお湯にベルツさんは触れない事!

 あと軽症の人は後回し!命の危険のある人が最優先!」

「わ、解りました!」


 私も手伝いたいけど身長も低い事ながら力も弱いので

 運べるほどの力は無いんだよね……。


 ベルツさんが特に全身が爛れていて、直撃を受けたのか

 足がほぼ失われているとも言えるくらいの人を真っ先に【熱水線】へと入れた。


「これで一体何が……。」

「いいから次々連れてきて!こういう事だから!」


 ベルツさんが【熱水線】へと入れた人の爛れ等全身に負っていた

 怪我がどんどんと元通りの状態へ戻っていった。

 私の予想通りの結果になっていたけど、この後の事は流石に予想外だった。

 全ての怪我が治った途端の事だった。


 【セリカ】【☆40 Md:53】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:46 C:38 M:39】

 ■□□□◇□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■◆◆◆□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■33333◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0+32 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・Cゾーン1-3:【?】

 ・Uゾーン4:【サイクルヒット・ガール】☆3

         レジェンダリー ユニティ

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ


「ぅ熱っ!?あっちぃ――――――――!!」


 嗚呼、一応【熱水線】ってようは温泉の事なんだけど

 源泉だからかね?熱いんだ……と私は半ば他人事のように見ているけど

 それまでの状態から完全に治ってはいたようだし

 何より熱いといっても火傷する程ではないらしく

 多少肌が赤く、ホカホカと身体から暖かそうな湯気が

 立ち上っている程度だった。


「ほら!治ったならそこから上がって!特に怪我の状態が酷い人から

 次々とこの中に入れていって!

 良い?軽症の人は後回し!ここに入れられるのはあと31人までだから!

 あと怪我してない人はお湯に触れないように!」


 レア級テレイン(地形)カード☆0【熱水泉】。

 カードをFゾーンにセットした後、1ターン経過する毎に

 ☆が1づつ上昇するカード効果を持つ。


 そして1以上上昇した後、その☆を1減らす事でBゾーンに存在する

 ユニットカード1枚を所有者の手札へと戻す事が出来る

 かなり変わったカードで、実は出したプレイヤーに限らず

 相手プレイヤーすら扱える使い処が非常に難しいカードなのです。


 さらには☆が1以上上がった後に☆0まで下がった場合

 ゲームから除外しなければならないのです。

 私が【熱水線】をセットしてから経過させたターン数は32。


 【アドバンス・ローン】をも含めてほぼMデッキの半分近くを

 引ける程の恐らく最大効率の手札の増加方法であり

 【秒速5ターン】を合計3回使い回すという最大効率のターン経過で

 32人の人をこれで救う事が出来るものの

 命を落とした人はこれで救う事が出来ないのも事実。


 【ゾディアック・インバース】には死の概念は無い。

 Bゾーンはあくまで休息所、怪我をした人を休ませ癒す場所でしかない。

 Bゾーンから手札に戻れば、再度戦えるという解釈の下

 【熱水線】で元の状態に戻しているだけであって

 決して失われた命が戻ってくる事は無い筈……。


 そんな最中、また空からリンゴが降ってきた。

 【ベースボール・ピッチャー】と呼ばれるユニティユニットが扱う

 カード効果1【アップル・グレネード】を発動した後に扱えるようになる

 リンゴを模した手榴弾による特殊範囲攻撃となった通常攻撃……。


「2度は通じないよ!【サイクルヒット・ガール】!!」


 野球のユニフォーム姿の女性である【サイクルヒット・ガール】が

 ヘルメットを装着し、金属バットを持ったバッターの姿で構える!


「カード効果2【ピッチャー返し】を発動!」


 【サイクルヒット・ガール】は【ピッチャー】と名の付くユニットからの

 攻撃をそのまま打ち返して反射させる事が出来る!


 リンゴは数多降ってくるものの

 【サイクルヒット・ガール】が駆け出し、1つのリンゴだけを一振りで捉えると

 全てのリンゴが一斉に、まるで映像の逆再生でも見ているかのように

 空へと消えた。


 反射なのだから全てのリンゴ【アップル・グレネード】が

 戻っていく訳で、ここと同じような被害が【ベースボール・ピッチャー】が

 今現在いる場所で起こる事になる。


 【ベースボール・ピッチャー】は【遠距離】特性があるから

 遠くから攻撃出来る。

 それを利用して私を殺しにでも来たのか、それともベルツさんを狙ったのか

 全く関係なく、この場所を狙ったのかは解らない。

 だけど飛んでいった方向で大体が察せた。


「冒険者ギルド、ね……。」


 私がそう言い切るかどうか位に街中、それも冒険者ギルドのある辺りで

 先程とは比べ物にならない巨大な爆発が起きた。


 【セリカ】【☆40 Md:53】

 ■□□□□□■ 手札枚数【U:46 C:38 M:39】

 ■□□□◇□◇ ◆:裏向きカード ■:デッキ・ブレイク(休息)

 ■◆◆◆□□□ ◇:表向きカード □:空白マス

 ■33333◇ 数字:マギカードと☆ ×:封鎖マス

 ・Fゾーン:【熱水線】☆0+32 レア 地形

 ・Pゾーン:【ねこねこローブ】☆6 レジェンダリー 装備

 ・Cゾーン1-3:【?】

 ・Uゾーン4:【サイクルヒット・ガール】☆3

         レジェンダリー ユニティ

 ・vs:【ベースボール・ピッチャー】☆3

      レジェンダリー ユニティ 気絶


「気絶状態、つまりピッチャー交代、いや……故障者リスト入りか。」


 反射した攻撃には攻撃☆が+1加算される効果がある為に

 【ベースボール・ピッチャー】が気絶。

 これで私は次は無いと確信したのだった。




「はぁ……最初は熱いと思ったが中々良いな……。

 これが風呂とやらか……。」

「俺なんて古傷まで消えたぜ!」

「儂の曲がった腰まで元通りじゃ!」


 【アップル・グレネード】で重傷を負った人達が

 何か【熱水泉】に感動しているのだけど

 32人入ると消えると知り、そのまま入り続けたい派は

 誰も入ってこないように【熱水泉】を守っていたり

 軽傷の人達も入りたいと思うも人数に制限がある為

 軽い小競り合い状態になっていたりと

 何か違う問題が発生し始めていた。


「全く……都合の良い方々ですね……。」

「そうだね。それでベルツさん?」

「はい、何でしょうか。」

「何でこんな事したの?」


 この時点で私はベルツさんが犯人であり

 【ベースボール・ピッチャー】を扱った

 【シングル・カード・ハンドラー】だと睨んでいた。


「……何の事でしょうか?」


「私が商業ギルドに素材を持ち込んでカードから戻す時。

 驚いていなかったのが少し変な引っ掛かっていたんだけどさ。

 決定的なのが【アップル・グレネード】が落ちてきた時だね。

 私はベルツさんを庇うように押し倒したけど

 この【ねこねこローブ】で無効化出来る爆風ってのは

 私の身長ぴったりの分だけで、それ以外は防げないんだよ。

 あの近距離での爆発で見た目全く負傷した形跡もなければ

 重傷者を【熱水線】へと連れてくる際の姿を見る限り

 全く影響を受けてなかったのはね……。」


「なるほど、しかしそれは偶然ですよ。」


「そうかな?何しろいくら実体を伴ってもあの攻撃は

 決してプレイヤーには届かない仕様で

 デュエル(決闘)では無い以上、影響を受けないプレイヤーは

 【ベースボール・ピッチャー】を扱った本人だけって事になるからね。

 他にもいつ【ベースボール・ピッチャー】をセットしたのかとか

 私が敵意を感じなかった理由も含めて立証しないと

 ならない事はいくつもあるんだけどさ。

 今ここでベルツさんに私が挑むのが最も簡単な証明方法だよね?」


「その辺りに関して私は知識がありませんので

 何と答えて良いのやら。もし私だったとして。

 何故このような事をしようと思うのでしょうか?」


「ああ、動機?そんなもの知らないよ。」

「え?」

「私がもし犯人の立場に立って物を考えようとした時。

 そもそもこんな事をしようだなんて思いもしないから

 動機なんて恐らくどう考えても思い至る事は無いよ。

 そもそも犠牲が出る前提でやっている事と

 カードを悪用した事だけで事実としては十分だし

 今から審判ジャッジに申請すればすぐにでも解る事でしょ。」


「私もそう言われてしまえば無実の証明に

 そうしてみてください、としか言いようがありませんね……。」

「そう……なら審判ジャッジ模擬戦エキシビジョン・決闘申請デュエル・リクエスト。」


  ☆1【カード・ハンドラー】セリカ・ナナホシ

 【シングル・カード・ハンドラー】ベルツ

  カードチェック………終了、エキシビジョン(模擬戦)デュエル・アクセプト(決闘承認)


「成程……これは参りましたね。

 まさかここまで読まれていたとは思いませんでしたよ。」


「読んでいたかどうか、と言われると微妙だね。

 カーボとハモンさんの事件じゃないけどさ。

 今回も【ベースボール・ピッチャー】は凶器って事になる。

 もしこれで普通にデュエル(決闘)を申請した場合

 サレンダー(降参)という手を使う事が出来るし

 それによって凶器を押し付け、証拠隠滅が図れるなってね。

 なら賭けを伴わないエキシビジョン(模擬戦)で挑めば

 問題なく確認出来るって所だね。」


「なるほど、犯人の考えが思いつかないというのも

 ブラフ(嘘)の類でしたか。」


「いいや、何一つ私は嘘はついていないよ。

 私は動機については知らない、といっただけであって

 それと証拠隠滅は別問題だからね。

 真面目にどうしてこんな事をしたのかは全くもって解らないね。

 それとこのカードを扱う際に相手に対して説明を省く事は

 許されているけど、嘘をついてはならないんだよ。

 私は説明しなかっただけで、なんら嘘はついていないよ。

 で、なんでこんな事したのかね?」


 それは正直、私には理解に苦しむ内容でしかなかった。

 これは駅馬車の停留所に居る冒険者へと向けた敵意を使い

 【ベースボール・ピッチャー】を冒険者ギルドの屋上に配し

 それを攻撃すると共に、自らもその犠牲となる無差別テロだった。


 それも冒険者ギルドと諍いの真っ只中に居る

 ベルツさんが亡くなれば、疑いの目は

 間違いなく冒険者ギルドに向き、支部のギルドマスターが

 亡くなれば必ず大きな問題として取り上げられるだろう。


 【ベースボール・ピッチャー】に対して思った程

 理解していなかった為、自らに影響が無いというミスが無ければ

 【ベースボール・ピッチャー】のカードが実はデュプリ(複製)品で

 過去にこのヤルマーニ支部で買い取ったものだったとか。

 その辺りは目利きの情報として商業ギルドで共有されている内容で

 自らが巻き込まれて死ぬ事で、証拠隠滅も同時に図れる筈だった。


 しかしルール上の倒される、というのは

 あくまでBゾーンに送られるかゲームから除外された場合だけで

 気絶した状態だけでは条件が満たせていなかった事で

 私の決闘申請(デュエル・リクエスト)を受ける要因となった。

 そして私の表示上にベルツさんが出てこなかった理由は

 ベルツさんには私に対する敵意が無く、【ベースボール・ピッチャー】の

 攻撃範囲内に収まった事で反応したものだった事も

 プレイヤーとしてのベルツさんの認識が出来なかったものでもあり

 今後、その辺りを私は考慮していかなければならないと

 むしろ今後の課題を与えられた気すらしたのです。


 そんな私にベルツさんにはどこの刑事ドラマかと

 カードと共に両手を前に出されたもののそのまま突き返した。


 一応事情聴取等も受けたけど、私の目の前で起こった事を

 伝えただけの被害者であり、既にヤルマーニの街から旅立った。

 ベルツさんに関して何も言わなかっただけで……。


 私の短い期間で知るベルツさんは根っからの悪人とも思えない。

 だから自首するかもしれないし、そうでないかもしれない。


 ベルツさんのやり方が間違っている、とは思ってはいるけど

 立ち位置等によって簡単に変わる正義なんてものを

 振りかざして味方を気取るつもりも無ければ

 犯罪を取り締まる側の人間でも無い。


 むしろ冒険者ギルドにとってのプラスとなる為の

 行動をしたいと微塵にも思わない。


 甘いと言われればそれまで。

 だけどそれがカードを悪用させるに至った冒険者ギルドの

 風潮たるものが起こしたものだと思うし

 その証拠たる【ベースボール・ピッチャー】を私が破いたりすれば

 それこそ証拠隠滅という犯罪の片棒を担ぐ事になってしまう。


「しかしよく考えられてたね……。

 正義の味方だなんて烏滸がましい事をしようとも言おうとも思わないけど

 手の出しようがないってのはこの事かね……。」


 この件がどうなるかなんて解らないし

 今の私に出来る事なんて無いと思い知らされ

 ヤルマーニの街を後にしたのだった。


 ■新規登場カード■


 ・☆5エピック

  ・【エクスクルード(除外)・リディスカバリー(再発見)】

   マギウス(魔法)/制限カード/発動コスト:5 再発動コスト10

          このマギウスカードは手札・Cゾーンどちらからでも

          発動出来る。

   ・カード効果:直前にゲームから除外されたカード効果を全て

          発動させる事が出来る。

          このカードは使用後、ゲームから除外される。


 ・☆0レア

  ・【熱水泉】テレイン(地形)/制限カード

   ・カード効果:このカードをセットした後、1ターン経過する毎に

          ☆が1づつ上昇する。Bゾーンに存在するユニット

          1枚につき☆を1減少させる事でそのユニットを

          所有者の手札へと戻す事が出来る。但し基本☆

          +☆が一度1以上となった後に0となった瞬間

          このカードはゲームから除外しなければならない。


 ・☆3レジェンダリー

  ・【サイクルヒット・ガール】

   特性:【ユニティ】【陸ユニット】

   ・カード効果1:【サイクルヒッター】

            このカード効果によってこのユニットは

            Uゾーン・Cゾーン・Mゾーン・Fゾーン・Pゾーンを

            通常攻撃によって攻撃する事が出来る。

            この際バーティカル(縦)ラインルールを無視し

            指定ゾーン上のどのマスを攻撃しても構わないが

            必ずカードが存在するマスでなければならない。

            但しプレイヤーへの攻撃を行う事が出来ない。

   ・カード効果2:【ピッチャー返し】

            このカード効果により【ピッチャー】と名の付く

            ユニットからの攻撃を【ピッチャー】と名の付く

            ユニットに打ち返し、反射させる事が出来る。

            その際の攻撃☆に+1する。

   ・カード効果3:【盗塁ストールン・ベイス

            1ターンに1度、このカード効果を発動させる事が

            出来る。発動と共に【盗塁】カウンターが1上昇する。

            【盗塁】カウンターは4単位で消費する事が出来て

            相手プレイヤーのLP☆に対してこのユニットの

            その時の基本☆+☆分のダメージを与える事が

            出来る。このカード効果は無効化・反射する

            事が出来ない。


 ・☆3レジェンダリー

  ・【ベースボール・ピッチャー】

   特性:【ユニティ】【陸ユニット】【遠距離】

   ・カード効果1:【アップル・グレネード】

            このカード効果を発動させた時

            このユニットの攻撃は特殊範囲攻撃へと変わる。

            但し範囲は指定マスから2マスとなり

            その攻撃はR・U・C・Mゾーンへと影響する。

            このカード効果を使用した際、このユニットは

            カード効果2、3を使用する事が出来ない。

   ・カード効果2:【ヒット・バイ・ピッチ(死球)】

            このカード効果を発動させた時、通常攻撃は

            ユニット以外攻撃する事が出来なくなる。

            またこのカード効果によってユニットに攻撃を行った際

            相手の防御☆を0として扱う事が出来る。

            攻撃されたユニットはBゾーン送り、ゲームから除外

            デッキに戻しシャッフルの順で処理しなければならず

            Rユニットには適用する事が出来ない。

            このカード効果を使用した際、このユニットは

            カード効果1、3を使用する事が出来ない。

   ・カード効果3:【消える魔球】

            このカード効果を発動させた時、攻撃対象に対し

            戦闘計算を一切行わず、Bゾーン送り、ゲームから除外

            デッキに戻しシャッフルの順で処理を行わせる事が

            出来る。このカード効果はUユニットとプレイヤー

            以外に適用出来る。

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