第39話 街の外
俺は考えた。
このまま商売を続けていくのはいいが、この国はあまりにも未開発だ。
産業や食材関連が乏しい。
便利な世界に住んでいた俺としては不便でならない。
では無いなら自分でやればいいじゃないか!と思う。
国から土地を貸り農地を開拓することもできると聞いている。
そして今のままではこの街だけの範囲で小さく商いが終わるだろう。
何かを変えるなら大きく出ないと、短い間では変えることができない。
なり手の少ない、農園や果実園が飛躍のきっかけになるはずだ。
ただ果実は種や苗木が少ない。
街の外を一度、見に行ってみるか?
俺は一度もこの街に来てから外に出ていない。
街の人もそうだろう、商人や冒険者でもない限り城門の外に出ることもない。
魔物もおり命の危険があるからだ。
外に出ると必要になるもの。それは武器と防具だ。
まずは武器を作ろう。
俺は鍛冶ギルドで鉱物を溶かした残りをもらってきた。
その中にはアルミなどを含めた物質がたくさん残っている。
それから何軒か武器屋を周り武器を新しく購入する際に、下取りで引き取ったクズ剣や槍をたくさん買ってきた。店主からは歓迎されたよ。
この世界の炉の温度は低い。
そのため、鉄は不純物が多く巣が入り折れやすいことが多い。
だが俺の『創生魔法』ならストレージ内で鉱物を分離し、純度99.9%の鉄を作ることができる。
おれは『【スキル】世界の予備知識』で武器を調べた。
その中で気に入ったのが巨大な刀『ファルクス』と言う剣だ。
刀身の全長が約120cm。
湾曲した片刃剣で鋭い切先で敵の手足を、簡単に斬り飛ばしてしまう両手持ちの剣だ。
そしてストレージ内で『創生魔法』を使い、鋼を混ぜ折れにくい『ファルクス』を作った。
生活魔法の風を真空状態で剣に纏うようにした。
これで切れ味は良いはずだ。
剣を振ってみたが俺のステータスが高いのか、両手剣のはずなのに片手で振れる。
ならもう少し柄の部分を短めにして片手剣にしておくか。
念のため槍とナイフも作り、ストレージに収容した。
後は防具だな。
自分で作ると鉄製になり、さすがに鉄の鎧とかは動きにくそうで嫌だ。
屋敷と『なごみ亭』の間に丁度、武器屋と防具屋と鍛冶屋があったな。
行ってみるか。
防具屋のドアを開け中に入ると鉄や皮の臭いがした。
「こんちにわ。誰かいませんか?」
奥で物音がし中から小柄で髭もじゃの男が出てきた。
「おう、いらっしゃい。防具かい?防具ならいいものを作るぜ!」
「えぇ、軽くて丈夫で動きやすい防具がいいのですが」
「予算はどれくらいだい?」
「そうですね。普通の冒険者ならいくら掛けるのでしょうか?」
「なんだ、初心者かい。なら皮の鎧、体力があるならその下に鎖帷子を着るのもいいな。それ以外は素材や魔法付与するかによって大きく変わるから。上を見たら切りがないさ」
「ではそれでお願いします。肘・膝・肩当ても付けてください」
「はいよ。丁度、出来合いのがあるからサイズを直すよ。着て見てくれるかい?」
それからサイズを直し60分ほどで終わった。
「少しオマケして10万丁度でいいや!また来てくれよ」
俺はお金を払い防具屋を後にした。
一度外に出て必要があれば、もっと良い防具にすればいい。
次はポーションを扱う薬師ギルドか。
怪我をした場合、回復手段がないからな。
薬師ギルドは商業ギルドの近くにあった。
ドアを開け中に入ると薬品の臭いと、窓を閉め切っており薄暗い。
「いらっしゃ~い」
70歳くらいの老婆がいた。
「なにが欲しいんだい?」
「初めてきたので中を見せてもらってもいいですか?」
「初めてかい。なら仕方ないね。日が当たると薬が劣化するから、薄暗いのは勘弁しておくれ」
俺は近くにあった瓶を手に取った。
【スキル・鑑定】発動
名前:ポーション1級
効果:わずかに傷、体力を回復する
そして他の瓶も見ていく
【スキル・鑑定】発動
名前:ハイポーション3級
効果:傷、体力を回復する
【スキル・鑑定】発動
名前:マジックポーション1級
効果:わずかに魔力を回復する
ポーションとハイポーションを指さし
「値段の違いはなんでしようか?」
「効果の高さによって違うのさ。効果が高いほど値段も上がる、て訳さ」
「ポーションの効き目はどのくらいなんですか?」
「そうだね、刃物で切られて布できつく巻いて、血が止まる範囲の傷なら対応できるかな」
「ハイポーションは?」
「お腹がバックり切られたとして、使うとなんとか傷が塞がるかもね」
「ではハイポーションがないときは、ポーションを何本も飲めば効果が倍増するのでしょうか?」
「2本くらいなら良いが、それ以上は効果は無いね」
「マジックポーションはどうでしょう?」
「魔力が無くなると気を失うからね。そうならないために、マジックポーションを使うのさ」
どうやらポーションとマジックポーションは『無いよりマシ』ということらしい。
俺はハイポーションとマジックポーションを10本づつ買い、ストレージに仕舞い店を後にした。
「おやま~!こんなに買ってくれた上にマジック・バッグ持ちだなんて!お金持ちの坊ちゃんだったのかい?」
と、驚いていたが。
後は街の外を案内してくる人が必要だな。




