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第34話 孤児院

 『マヨネー ズ』製造にあたり奴隷を購入して製造することも考えた。

 ただ奴隷だと規模を大きくしたい場合は、奴隷を人数分買わないといけないので初期投資が大きい。


 そこで考えたのが『孤児院』だ。

 親に捨てられた子供たちを雇い、仕事を与える。

 孤児院は15歳までしか居られないと聞いた。

 それを我が家で雇うことで就職先が決まり将来の不安もなくなり、今いる小さい子たちも就職先の目途がたち衣食住も手に入りお互い『Win-Winの関係』になる訳だ。

 

 と、言うことで俺は『孤児院』がある大聖堂に向かっている。


「トンカン、トンカン」

「カン、カン、カン」


 大聖堂に近づくと何やら騒がしい音がする。

 どうやら修繕工事中らしく人夫が何人も働いていた。


 以前来た時には寄付が減り、お金が無いようなことを言っていたが。

 なにかあったのか?


 まずは参拝でもしようかと思い大聖堂に向かった。

 中に入ると何人かの人が参拝をしていた。


 女神ゼクシーの盛ってる女神像にひざまずき、目を閉じた。

 白い靄のようなものに包まれた場所にいた。


「こんにちわ。メガネ女子の盛ってる母さん!」


「誰が、盛ってるや!ボケ!」

 と、ボサボサ頭のスレンダーで黒髪の残念メガネ女子、女神ゼクシーが現れた。


「母さん、寝起きですか?もう陽が出てますよ。夜更かしはお肌の天敵ですよ」


「な、なんの用かしら?あなたは『愛し子』だから、大聖堂で祈ると勝手にここまで来れるのよ」


「これ、ささやかですがお土産です」


「供物ね。何かしら?」

 先日、公爵家で作ったカステラを差し出した。


「まぁ、美味しい!柔らかくてなんて美味しいの。お土産持参ならいつでも歓迎よ」


「気に入って頂けて嬉しいです」


「あれ?見ない間にあなた変わったわね。慈悲の心に満ち溢れているわ」

(この世界に転移してきたときは地球で58年生きてきた人生観があったわ。でもこの世界に転移して、17歳の精神年齢に引っ張られ純真無垢になったのかしら)


「実は今日、ここにきたのは…」


『マヨネーズ』を製造することになったこと。

 奴隷ではなく『孤児院』の子供たちの雇用促進になればと、孤児たちを雇いたいと思っていること。

 それから近況報告を兼ねドゥメルグ公爵が、俺を取り込もうと画策していることなどを話した。


「孤児たちのことを、そこまで考えてくれるなんて嬉しい。言っておくわ」


「言って頂けるんですね。助かります、お願いします」


「また明日、ここに来て。それまでに伝えておくわ」


「分かりました、母さん。明日また来ます。今日はこれで」


  *    *    *    *    *


その夜、200年ぶりにシャルエル教に、女神ゼクシーの神託が降りた。


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