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第14話 うま味調味料

 昨日のダシの件で俺はいよいよ『ある』ものを作ろうと思った。

 これが出来ればさらに料理はおいしくなる。

 ダシ汁だけであんなに喜んでくれるなら、これができればきっと完璧だろう!


 まずはストレージの中で収容した小麦粉に、生活魔法で水を加えねる。

 ねることで物質の構造変化が起こり、水分と結びついた成分を『創生魔法』でバラして抽出!


 抽出した成分に事前に作っておいた椎茸と鰹節のダシ汁を入れ、合わせたら成分だけ『創生魔法』で抽出し水分を捨てる。

 そして白い粉状になった物を、雑貨屋で蓋付ふたつきの小さい木の入物が売っていたのでそれに入れて出した。


 おぉ、『創生魔法』とストレージは最強の組み合わせなのかも!


 後は実際に試してみるだけだ。


 下に降りビルさんに『試したいことがあるから料理を作ってほしい』、お願いした。前日のダシ汁の件もありビルさんの目が輝いた!!


 ではまずビルさんに野菜スープを作ってもらった。

 そこに今回作った白い粉を入れかき混ぜると、あ~ら不思議!絶品の味に。


「「「「こ、これは!昨日のダシ汁レベルの話ではない!」」」」

 と、ビルさんの後ろから稲妻が出るかと思うくらいに驚いている。


 その声を聞きつけたアンナちゃんとサリーさんがやってきて試食をした。


「美味しいわ、今までこんなに美味しい味は食べた事がないわ」とサリーさん達。


 その後、野菜炒め、肉料理、挙句に茹で野菜など、ビルさんが考えられる限りの料理を作り全てに白い粉をかけた。

 そして料理が信じられないくらい美味しくなった!


〈〈〈〈〈 ビルさん一家は大興奮!! 〉〉〉〉〉


「エリアス君。この白い粉はなんなんだい?」


「これは『うま味調味料』です」


「『うま味調味料』??」


「はい、そうです。先祖代々、我が家に伝わってきたものです」(テヘッ)


「まるで魔法みたいね。こんなに美味しくなるなんて」


「振りかけるだけで、こんなに美味しくなる。調理人の腕は関係なくなるよな」


サリーさんとビルさん二人で褒めてくれた。


「『うま味調味料』はスープや煮物、炒め物の仕上、具などの下味に加えると、味に深みがでます。これならダシを取るような手間がありません。俺はこれを量産して、宿屋やレストランや屋台で使ってもらい、この街に食文化を芽吹かせたいんです!」


 と更に言った。


「「「「「 その評判を聞きつけた人が街に集まり、物の消費が進み、産業が立ち上がり、雇用が促進され、お金が回って住民が豊かになり、結果として国も豊かに力をつけ大きくなるのです! 」」」」」


はあ、はあ、一気に言ったので息切れが…。


「エリアス君。君はそんな壮大な夢を。これからは先生と呼ばせてもらうよ」


「今、歴史の瞬間に私たちは立ち会っているのね~」


 アンナちゃんは黙々と食べ続けている。


 そんな三文芝居も終わり俺は言った。


「と、言う訳で『うま味調味料』を作るために、住居兼作業場を借りようと思うのですが、ビルさんどこで借りられますか?」


「テナント付き賃貸や購入の相談なら商業ギルドだな」



 その晩の食事は午前中に作りすぎた残りだった。

 お客は俺しか泊ってないから、材料を無駄に出来ないんだって。

 ビルさんが『うま味調味料』を売ってほしいと言うから、作ったのをあげたよ。

 鰹節や椎茸のダシより美味しくて、ダシを取る手間がないのがいいそうだ。

 

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