1話:プロローグ
伊賀俊二は、神奈川のに西北部の端、藤野町で1967年に生まれ、小中学校時代は、近所の仲間4人と野山を駆け巡って育った。中学の休みの日には、相模湖へ行き、伊賀俊二は、飛騨妙子をボートの乗せ、友人の山下輝男と、彼の彼女の正木歩美の乗ったボートで競争をしたものだ。飛騨妙子がボートに乗り、スタートと合図をすした。
ところが、変わり者の先生が多く、なかなか一筋縄では、行かず、苦労の連続。入社3年目に、倉木虎三という、かなり変わった高齢の医者の所に住み込んで小説をまとめる仕事を仰せつかった。先生が、長年、書き続けた日記を編集して「満州時代の話」、「帝銀事件」「下山事件」の3つを小説として完成させろと言うのだ。
住み込んでみて、日記を読ませてもらう許可をもらい、小説に組み立てる仕事を夜遅くまでした。また、先生の日課の早朝の散歩、病院、新聞社、その他の場所への運転手など身の回りの世話をした。もちろん、お手伝いさんもやっとっているが、近くの家からの通いだった。下宿代は、会社持ちになったが、長い休暇はなく、大変な生活だった。
住み込んで数年後、先生は、事故で、突然亡くなった。その頃には、小説のあらすじと、大方のデザインはできていたので、それらをまとめる仕事にとりかかった。しかし、小説が完成し終えると、伊賀は、悪夢を見るようになり、あるはずのない光景が目に浮かんだりした。精神科を受診しても原因と治療もなく、ただ、マイナートランキライザーを処方されただけ。
気分転換に出かけた、有名な神社、お寺、霊験あらたかと言われる場所へ行くと、その何とも言えない重苦しさから解放される。そこで、出版社の先輩の知り合いの霊能力者に話を聞いてもらうと非常に霊気の強い人の気が君の心に覆いかぶさっていると言われた。簡単に言えば、憑依されていると答えた。その後、憑依してくる恐ろしい気を振り払うための旅行を始めた。