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銀河戦争?こちとら中世剣と魔法の世界ですが何か?  作者: 窓際の憂鬱
第二章 幼少期
45/71

第43話 ラクレッド冒険国

いつもご愛読ありがとうございます。

大変申し訳ありません。

庭仕事で体力的に疲れて更新が遅くなりました。

ブックマークありがとうございます。

今後ともよろしくお願いいたします。



 食堂に向かう道中は左にローザ、右にオーサが手を繋ぎ、

傍から見たら仲の良い幼子兄弟に見えた事だろう。


 片や40過ぎのおっさんメンタル、片や年齢不詳の数百

歳だが。。。



 食堂に入ると昼過ぎだけあって、徐々に人が減り席が

空き始めたところのようだ。皆には好きな物を頼むように

言うと自分ではカニ御膳を頼む。甘味処の試作品なのか、

ちょっとお高い御膳系にはプリンがデザートについている。

ちょっと楽しみだ。

 結局、みんな悩んだ挙句に俺と同じカニ御膳にしていた

ので、店員に何かアルコール以外の飲み物が無いかを聞い

たら紅茶や果実水に加えてブドウジュースが有ったので

人数分それを頼む。キースクのワイン造りの残りかな?


 よく冷えたブドウジュースは果汁100%ジュースのよう

に濃厚で酸味が強めで甘ったるく無く、すっきり飲みやす

い。人によっては濃すぎるかな?

 コンコードの濃縮ジュースのようだ。

 


カニに関しては想像通りの美味さで一人一杯の量もぺろり

と食べきってしまった。


「やはり、人族の食べ物は美味いのう。もう二度と竜化で

 飯を食べとう無いわ」


ローザが涙を流す勢いで感激している。


 最後のデザートでプリンが出て来た。昔懐かしの固い

プリンである。俺はどちらか言うとまろやか系より固焼き

の焼きプリンが好みなので大満足だった。

 ほろ苦いカラメルソースが懐かしい味を出している。


 美味しい食事を平らげると一旦領主館に戻って、全員で

川の字となって御昼寝をした後、もう一度鉄鋼工場に向か

った。




 丁度、オオワシは遅い昼飯に干物をおかずに粥を掻き込

んでいた。



「オオワシ、飯中だったかすまんな。

 言い忘れた事を思い出してな。戦闘艦の前に鋼鉄の

 商船を建造して欲しい。7隻は欲しい。

  全長は200mで幅は25m、速力は25ノットも出れば

 良い。喫水を10m位に抑えて20000t位のコンテナ船を

 4隻、同サイズのタンカーを3隻だ。タンカーは舷側

 のみ二重構造としたミッドデッキ構造としてくれ。

 二重構造の舷側壁の中にバラストタンクを設置する事

 油槽用のポンプはメイン2台と残油用1台として、当然

 バラスト水用のポンプは左右舷側に1台づつとバックア

 ップ1台必要だな。」


「wikiで勉強したから大体わかるぞ。巡洋艦船体の

 設計を先行させる。コンテナの規格はどうする?

 後、コンテナの荷役運搬手段だな。」


「コンテナサイズは長さ12m幅2.5m高さ2.5mで統一

 する。妻壁二面は観音開き、天井は片開きとする。

 底板は150mmの鋳鉄フレームに12mmの鋼板貼りとして

 中央線2箇所にパレットを組み込む。

  小コンテナは長さ5.2m幅2.2m高さ2.1mとする。

 これはコンテナ内に小コンテナを2つ収納する事で

 運搬を行うので、コンテナ内には上部からガイドレ

 ールに沿って入れられるように考えてくれ。

 こちらもパレットを組み込む。」



「なるほどな。船側は通常コンテナの積載だけを考えて

 ガイドレールを立てればいいんだな。船倉内には5段、

 デッキ上に3段ってところか。

 10x8x8で640コンテナ載貨、コンテナ20000t+自燃料

 6000tの26000t、総トン数で28000t位になるぞ?」


「なるほど、それは任せる。肝は一種類しか規格を作ら

 ない事とガントリークレーン等が無くても船積みと積み

 下ろしが出来るようにパレットを仕込む事だな。」


「ふむ。とりあえず標準コンテナを一隻640コンテナの

 4隻分で2560、倍で5120ってとこか?」


「いや、更にその倍で10240コンテナだな。小コンテナは

 ハーフコンテナと呼ぶが、ハーフも同数だ。

 最終的にもっと増えるだろうな。鉄道やトラックにその

 まま使う。例えば麦をそのまま上から流し落として脱穀

 所からトラックで鉄道へ。鉄道から船へって流れだな。

  今回は構造強度的に強化版とスタンダードを半々で作

 ってくれ。穀物や綿花などの農作物、加工食品用の無印

 と、鉱石や石炭、粗鋼や鉄材用の強化版。

 コンテナの総重量は30tなので載荷重量は25t、ハーフ 

 は総重量12.5tで載荷が9tとして、強化の載荷は20t、

 6tでどうだ?強化コンテナは一律で青色、スタンダード

 は赤色で区別しよう。」


「数が多いからな。新区画に専用工場を設けよう。だが、

 魔石は大丈夫なのか?15tとは言っても30720セットの

 パレットが必要だぞ?それと機密が漏れて真似される

 ぞ?」


「魔石は最重要案件としてラシールとリシールに研究さ

 せているので、初期の10倍近い効率化が出来ている。

 それと、キースクの魔獣牧畜が軌道に乗って来て、Eラ

 ンク魔石5000個、Dランク魔石1000個、Bランク魔石

 500個が毎年安定的に採取できるようになった。

 現状、キースクの魔獣はワイルドバッファロー2000頭、

 スリーピングシープ4000頭、角ウサギ15000匹位なの

 で拡張しても3倍が限度だろう。

  タイールの放牧場でもキースクの3倍を今後牧畜する。

 マイム村で農地改良と同時に同規模を牧畜する。

 タイールの外海でBランクのフライフィッシュと

 Aランクのシーサーペントの養殖を考えている。

  規模的には4500匹と2400匹がせいぜいでB魔石が

 1500個とA魔石が800個位だがな。

 水辺に近いリンド村で大規模なDランクのログフロッグ

 とCランクのデッドアリゲーターの養殖も考えている。

  こちらも、養殖数で30000匹と16000頭、魔石生産で

 E魔石25000個とC魔石4000個を生産する予定。

 あとは各公爵領への農業指導時の牧畜の半分を比較的

 安全なBランクのワイルドバッファロー、Dランクのス

 リーピングシープ、Eランクの角ウサギの魔獣を導入さ

 せる。現状のキースクの20倍は魔石が取れる。

  バグリドとダムド獣王国にも公爵領同様にすれば各

 20倍は固い。5年後には少なくともEが36万個、Dが

 7万2千個、Bが3万6千個は生産できるよ。


 ちなみに15tを1時間15m持ち上げるにはB魔石なら

 1個、C魔石で2個、D魔石で4個、E魔石で8個で可能

 になっている。今年の畜産魔石と今までの分で3500ユ

 ニット分しか無いから、冒険者ギルドからの買い取り

 と大規模依頼でも出すか。」



・・・サナエ、今すぐ買い取れるBランク以下で

   Eランク以上の魔石はどの位ある?・・・


・・・我が君、お約束はお忘れでは無いですよね?・・・


あ。。。。


・・・もちろん。忘れてないっすよ・・・


・・・そうなら良いです。王国内の最新集計ですが

   Bランク324、Cランク821、Dランク2219、

   Eランクが12517個ございます。・・・


・・・よし、全部買い取る。白金貨3枚で良いか?・・・


・・・はい、お届けはキースクのラシールですね。・・・


・・・タイールのギルドに入金するが、その他に白金貨

   100枚を預けるからBランク以下の魔石を買える

   だけ依頼してくれ、以上だ・・・


・・・かしこまりました。お誘いお待ちしております・・・


「ギルドの魔石を買い占めてラシールに送るが、併せても

 6350ユニット分だ。追っかけ冒険者ギルドでかき集めて

 送って来るからどんどん作らせてくれ。

  それと、偽造対策でユニットを鋼板で囲ってくれ。

 ハーフコンテナの販売価格は金貨1枚コンテナが2枚

 だな。魔力充填サービスはタイールと4大貴族領都と

 マノルで行う。ハーフ一回銀貨1枚だ。コンテナで2枚

 だが、魔力充填不足は輸送商会で罰金としてコンテナの

 中身毎没収とする。

  また、ユニットの解体及びリバースエンジニアリング

 は認めない。発覚した場合は白金貨100枚の罰金を科す。

 支払いが無い場合は武力で白金貨200枚分の資産を押収

 する。この文言と載荷荷重はコンテナの4面に記載して

 くれ。」


「御意!ラシール嬢ちゃん達が死なないと良いな。。。。」


だ、大丈夫だよ。。。きっと。。。



「それと戦艦の外観イメージだ。参考にしてくれ。」


挿絵(By みてみん)



「じゃあ、そういう事で!」


「いやいや。。。主様よう。。。。このイメージは何だ?

 説明してくれなきゃ駄目だろう。」


 ちっ。。。皆逞しくなりやがって。。。


「え?見てのとおり、前4門後2門の41cmⅢ連装砲が

 主砲だよ?副砲も午前中の話通り、155mm3連装砲を

 左右に2門づつ。」


「いや、そこじゃない。。シルエットがおかしいだろ?」


「ああ、基本的にもったいないから、船体は長く使いた

 いでしょう?将来的にレーダー反射が少なめなシルエ

 ットにしときました。」


「ああ、なるほどな。ステルスとかって奴だっけな。」


「そうそう、左右の小さい膨らみは救難ボートね。

 船尾の第二甲板は飛竜が着陸できるように3方向を

 開けている。

  真ん中の構築物は艦橋、真ん中の黒い2つが排気煙突

 で真ん中が吸気口、最後尾が予備艦橋だね。

 そっくり同じにはしなくて良いよ。参考図だから。」


「わかったわかった。何を参考にすれば良いんだ?」


「汎用護衛艦とか沿海域戦闘艦とかかな?」


「承知した。」



趣味に走ったので、これ以上突っ込まれる前に逃亡した。

その足で冒険者ギルドに寄り、白金貨103枚を預ける。

後は、サナエが手配してくれるはずだ。



「ツクヨミ、ラクレッド冒険国の国主の居場所は見つか

 ったか?」


「いえ。。。残念ながら。。。」


「よし、明日早朝からラクレッド冒険国に行く。いつまで

 も待ってられんだろう。」


「御意!」



「メンバーはこのメンバーで行く。皆忙しいからな。」


「かしこまりました。」


「面倒だが、領都の領主館に戻るよ?タイールからよりも

 近いからね。空いた時間は自由にしてくれ。竜族4人は

 屋敷の中に部屋を用意してやってくれ。」


「かしこまりました。」


 マニエットが返事をする。


 タイールの領主館中庭で竜化した4頭に乗って領都へ

 向かった。



 ま、自分はせっせとマジックバッグ作りなんだけどね。

せめて、50袋は渡しておかないとシノブに怒られそう

だからな。。。


 ちなみに夕食時に竜族4人娘を連れて行ったら案の定、

3人とも可愛がっておもちゃにしていた。ローザなどは

起こりそうだが、レイとリンも一緒になってちやほやさ

れているので毒気を抜かれたようだ。



最近は朝起きるとキョウコ達がぐったりしている。開き

直ったせいもあるが、恐るべし。。。〇倫。。。。

 

 

 今日は遠出になるのでみんなを叩き起こすと、朝食は

バスケットに入れて貰って出発する。レイムまで行ったら

草原ででも食べよう。

その後は、ユニエール公爵領の北都ユニルで昼食、その

ままラクレッド冒険国のリスリッド王国との境界の町で

あるフラグに向かう。

 後は成り行き任せかな?

戦況が酷ければクリル森林の森林内都市センブに退避して

いるかもしれないし、首都のラクレドに帰還しているかも

知れない。



 レイムでピクニックをした後は、ランデッシュ子爵領と

グリムアール伯爵領の上空を超えて、北都を望む上空に

差し掛かって初めて思い出した。


 あっ!? 俺、北都の周り焼き尽くしてた。。。


 遠くに見える北都の様子が異彩を放っていた。防壁の

外側30kmに渡り、まるでドーナッツのように灰茶色の

大地が広がっていたのだ。



 う~ん。。。素通りしちゃダメかな?



北都上空に差し掛かるとそんな不穏な事を考えながら

ちらっと北都の方を見ると、とても爽やかな笑顔でこちら

に向かって手招きをする。

ユニエール公爵その人が防壁の上に佇んでいた。



 見つかってたか。。。残念。。。



 仕方が無いので防壁上に着陸をする。

カラードラゴンが4体も佇む姿は、皆の恐怖心を煽るだろう

が、ワザとです。。。威嚇しています。ごめんなさい。



「よく来た(来れた)な。ラフィー坊。あの後北都に戻っ

 てみたら、この有様じゃよ?

 世の中には酷い奴も居たもんじゃと思わんか?

 キュール侯爵の領都の有様を見て、まさかとは思ったん

 じゃがのう。」


「あ、僕今日は昼食を食べに寄っただけなので、

 難しい話は10歳なんで判りません。てへっ。。。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 めっちゃ怖い目で見られた。大人げ無いな。

 視線で人が殺せる感じだったよ?


「はあ、わかりましたよ。でも私にちょっかいを掛けたの

 はそちらの皆さんですよ?私は敵には容赦しませんよ?

 頼もしいと思って頂きたいくらいですよ。」


「ああ、戻って来て今日までの2週間ほどはずっと後悔し

 ておるよ。それこそ、毎日ここに登って辺りを見回して

 はため息ばかり吐いておる。

  十分反省したから、この哀れな年寄りを助けると思っ 

 て何とかならんかのう?」


「いや、そりゃすぐに緑一面になんて出来ませんよ?土が

 高温でガラス化していますもん。

  ただ、まあ整地ぐらいは昼食のお代代わりにしましょ

 うか?ああ、もちろんまだ燻っている木もちゃんと鎮火

 させますよ。」


「うむ。それで良いので頼む。作業中は我が屋敷に逗留

 すれば最高のもてなしを約束しよう。」


「ふっ。公爵閣下はまだ判っておられないようですね。」


「ツクヨミ、不遜ですよ。止めておきなさい。」


「はっ!」


「マニエット、マジックバッグ持ってる?」


「はい。承知しましたよ。坊ちゃんは甘すぎると思います

 けれどもね。」


 マニエットはそう言い残して、ヘムザに乗り西の山林地

帯へ向かった。


「キョウコは西側、ツクヨミは東側、俺は南側を担当する。

 オーサ達はそのまま騎乗させてね。」


「「「御意!」」」



 俺は手慣れた魔術である土魔術のアースウォールを唱え

て点在する窪地の中央を盛り上げる。この魔術の良い所は

盛り上がる時に同心円状の周囲の土を均等に引っ張り寄せ

て、盛り上がる所である。

 この盛り上がった土をアースプレスで上部から圧縮する

と踏み固められて広がり、整地が出来る。

 慣れて来ると、どの位の高さまで引張寄せるのが最適か

判るようになり、わずかな時間でウォールとプレスを連発

して、一発仕上げで端から決めて行けるため効率が上がる。

 まあ、街道の精度ならグレーダーに軍配が上がるのだが。


粗方の整地が完了すると、マニエットが上空から腐葉土

や森林の落ち葉を撒き散らしてくれる。俺は纏めて水魔術

のアローレインで全体を湿らせた後に、魔力を絞った風魔

術のハリケーンを数個詠唱して満遍なく攪拌する。


まあ、こんなものかな?小一時間後には灰と腐葉土の

混ざり合った土が平らに均されて整地が終わっていた。


なんだかんだ言って、ずっと防壁上から監視をしていた

ユニエール公爵の横に降り立つと


「ユニエール公爵閣下、終わりましたよ。全体に栄養素を

 混ぜ込んだので、次回の収穫は期待できますよ?

 草が伸びるのも早いですが。」


「お、おう。たまげた。。。主の配下は皆あんな魔術を連続

 で無詠唱で放てるのか。。。確かにまだ見くびっておった。」


 まあ、ほとんどの人間は出来るな。今学校に行っている

連中以外は。。。


「そ、そうじゃ飯じゃな。すぐ用意させよう。」


「いえ、やっぱり結構です。こちらも予定が有るので、

 のんびり昼食の支度は待って居られませんので。」



「そ、そんな事言うなよ。。。まだ怒っておるのか?」


「えっ?少ししか怒っていませんよ?」


 にっこり♪


「では、また西方諸侯会議で会いましょう」




 そう言い捨てて北都を後にした。


・・・すまん。皆、余計な時間を取った。

   携帯食で我慢してくれ・・・


・・・仕方ないですね。あのまま寄っていたら、

   今日はもう出発できなかったでしょうから・・・


 ツクヨミがフォローしてくれた。



・・・竜族の4人には、今度甘いお菓子を沢山

   食べさせるから今日は我慢して飛んでくれ・・・


・・・それなら良いぞ、皆速度を上げよう・・・


 ローザは甘い物が大好きだからな。。。。




 さて、急いでくれたおかげで日暮れ前にフラグの上空に

到達できた。


 フラグは四角い石を積んだ城壁都市のようだ。

四角く都市を囲うように積み上げられた城壁は天端が幅

10mほどで外面は盾に使うのか、規則正しく凸凹とした

段差が設けられている。


 フラグはまだ落ちておらず、リスリッドの兵が盛んに攻

め立てている真っ最中で長はしごが何本か立て掛けられて

いる。フラグの防衛は弓兵が主体で、正確無比な射撃でリ

スリッド側の勢いを削いでいた。

 弓兵の背後には雑多な装備を身に付けた冒険者らしき

人々が控えている。見た感じ今までは弓兵だけで凌げてい

て、今初めて取り付かれそうになっているように見える。


 少し高度と速度を落として旋回してもらい、もう少し詳

しく観察してみると、主攻正面の南側には5000人ほど、北

と東面には2000人ほどが攻め寄せている。

 弓兵は南に50人、北と東に30人づつ位が配備され、そ

の半数以上がエルフで、南面に重点的に配置されているよ

うだが、距離200mで狙って討ってほぼ100発100中で的

中している。

まあ、多勢に無勢だし矢にも限りがあると思うが。。。

南面の中央に他を上回る速さで矢を射るエルフが居た。

他のエルフより耳が長く、若草色の雅な革鎧を身に付けて

いる。

 あれが、国主なのかな?



・・・ツクヨミ?あの南城壁中央の若草色の革鎧が

   国主か?・・・


・・・お待ちください。。。そうです。

   最前線にいらっしゃったのですね。

   国主ショーン・リンデンバング様です。・・・


 なるほどな。ラクレッド冒険国はエルフが国主なのか。


・・・主、西です。・・・


 キョウコが念話を寄越す。



 西側に目をやると、クリル森林の外縁部からリスリッド

の伏兵が2000ほど出て来て、あっという間に長はしごを

10本ほど立て掛けて、駆け上がっていた。


 まずいな。西には門が無いから完全に無警戒だったよう

だ。たぶん、リスリッドも周到に隠して完全に無警戒にな

るこの時を待っていたのだろう。ちょうど日も暮れ始めて

篝火は点いていないが、薄暗くなり始める絶妙なタイミン

グだ。



・・・キョウコ、ツクヨミ西城壁に飛び降りるぞ!

   白兵戦の用意!マニエットは竜族と上空待機だ。

   更なる伏兵などを警戒して報告をくれ・・・


・・・御意!・・・



 俺は城壁西上空に来ると高さ200mで、降下用パレット

を出して飛び移る。ギムレット謹製の日本刀を左右の腰に

差して準備を終えると、ファイアボールを適当に唱えて防

壁上の篝火に火を着ける。

 まだ暗いか?と思ったら、クリル森林外縁部にファイア

ウォールが立ち昇った。


 マニエットかな?




*********************************

ショーン・リンデンバウム視点

*********************************


「しまった。。。」


 西城壁に異変が感じられた。魔術が使われた感覚と火

魔術の明るさで一目瞭然だ。

警戒していなかった訳ではない。

今回の攻勢が始まった一週間前までは、まだ巡回する

余裕が有ったし我も全体を見る事が出来た。

 奴らはフレイの防備が固いと見ると、フレイの帝国側で

軍事演習を始めたため、我の親衛隊はすべてフレイの防衛

に回してしまった。リスリッドの兵数も5000人程で国力

的にもそれが限界だと思ったからだ。

 だが、どうやら傭兵を投入したらしい。10000人に膨れ

上がり攻勢に出て来た。

1週間前からは我も息子のウェンと共にフラグに入って

自身で矢を射ていたがそろそろ矢も尽きる。西に一番近

いのはウェンが率いる小隊だが、無茶をするなよ。。。

娘たちに合わせる顔が無くなってしまう。




*******************

ラファエル視点

*******************



 城壁上空3mで降下パレットをアイテムボックスに収納

して城壁上に飛び降りた。そこはすでに白兵戦の真っ只中

で、リスリッドとラクレッド双方が入り混じって戦ってい

た。雑多な装備の兵が多く敵味方の区別が付かない。

いや、どうやら防衛のラクレッド側は白い布を右上腕に

縛り付けているようだ。



 その時、15mほど先で先程上空から見た若草色の革鎧と

同じ装備を身に着けた若い弓兵がリスリッド側の傭兵たち

に嬲られているのを発見した。

 負けん気が強いのか、必死なのか短刀で戦おうとしてい

るが、すでに刃物傷を多数負って手負いの様だ。



 俺は東方独特の摺り足で気配を消しつつ、傭兵の背後に

回ると、左腰の日本刀を抜刀して一人、二人と混乱してい

る内に4人迄を切り捨てた。



「君、大丈夫かい?」


「ま、まだ、だいじょうぶ。だ。」


 若草色革鎧の若者が歯を食いしばって答える。


「それは重畳。この者に癒しをエクスヒール」


 若者の緑色の光が溢れ出ると、傷が全快して体力もある

程度戻ったようで、目に光が輝く。


「どなたか判りませんが、感謝します。これでまだ戦える。」


 若者は短刀を握りしめて駆け出しそうになる。


「まあ、待ってね。私はマキシアム王国のロンドベル辺境

 伯嫡子のラファエル・ロンドベルだ。そんな得物では死

 んじゃうよ?」


そう言って俺は右腰に差していた日本刀を鞘ごと抜いて

手渡す。


「マキシアム王国?あの引き籠り王国の?」


 そう言いつつ。渡した日本刀を抜いて見る


「な、これは。。。東方の刀では無いか。凄みがあるな。

 何より美しい」


「では、会話は後ほどという事で、今はご助成しますよ」


 そう言って、目に付いた長はしご周辺の敵兵を切り捨て

て行く。流石の日本刀、傭兵の硬い革鎧なんで何の抵抗

も無く切れる。時々居る鉄製の胸当てや肩当とて抵抗は

感じるものの綺麗に切れる。



・・・主様、少数ですが南門の内側閂に数人が

取り付きました・・・


・・・こちらは間に合わない速やかに排除してくれ・・・


・・・御意!・・・



マニエットは容赦無く、ヘムザを城壁の高さ近辺まで

降下させて通過中に直接飛び降りて来て刀を振るった。



そんな事もありながら、俺は順調に長はしごを地上側に

蹴り倒して、ファイヤーアローで周辺の兵ごと燃やしてい

った。すでに城壁上に上がっていた敵兵はキョウコ達に撫

で斬りにされて、すでに残り少ない敵兵は武器を放り出し

て命乞いをしていた。



・・・主、暇じゃ。一回だけブレス吐いて良いかのう?・・・


 ローザが念話を入れて来る。

 少し、ご機嫌も取っておかないとな。。。


・・・ローザとオーサは南側、ヘムザとイーサは東側に

一発だけだぞ?なるべく下降して火線は遠くに。

近場に大穴開けると町の人が迷惑する。・・・


・・・承知した・・・



そう言ったかと思うとローザは南門正面に急降下して

来てブレスを吐いた。いや。。。首振るのは狡く無いか?

薙ぎ払っちゃっているやん。そりゃ一回は一回だけどね。


 東側でも光と咆哮が響き渡り、ヘムザとイーサがブレス

を吐いたのを感じた。どうやら薙ぎ払ったりはしなかった

ようだ。



・・・オーサごめんな。敵居なくなっちゃったよ・・・


・・・主、気にしない。美味しい食事の方が好き・・・



オーサ。。。ええ子に育ったな~。育ててないけど。。。



 しばらく経って、あちこちから歓声が上がった。

まあ、どう見ても終わり掛けていたからな。



 キョウコとツクヨミが納刀して集まって来た。

マニエットは現在竜族4娘を人化させて南門広場に待機

しているようだ。



 すると、先程の若者が日本刀を大事そうに抱えてこちら

に駆け寄って来た。良く見るとこの若者も耳が通常のエル

フより長い。やはり国主の血縁かな?


「御助力、感謝いたします。

 先程は失礼しましたが、私はウェン・リンデンバウム

 これより、父上に御引き合わせいたしますので、ご一緒

 頂けますか?それと、この日本刀ありがとうございまし

 た。手入れをしてご返却したいのですが、生憎手入れを

 できる者が居りませんので、このままで失礼します。」


そう言って日本刀を両手で差し出してくる。


「気にしなくて良いですよ。」


そう言って受け取ると右腰に差す。



「では、ご案内いたします。」


 

エルフってもっと傲慢だってイメージが有ったのだが、

命を救ったとは言え、ウェンは好印象だな。




城壁から街中に降りて、町長屋敷?らしき所まで案内

される。マニエット達は途中で合流して拾って来た。

ウェンは民や兵に慕われているようで、通りすがりにも

「若」「王子」「王太子」と気さくに声を掛けられていた。



「父上はこの都市長屋敷に居る。すでに伝令を送って有る

 のでこのまま付いて来てくれ。」


「わかったよ」



 都市長屋敷には謁見の間もあるようで、そちらに通され

た。両脇には左右それぞれに10名程の貴族というよりも

族長や団長らしき雰囲気の者達が並んでいた。

後で確認したら、エルフの氏族長、獣人族長、冒険者クラ

ンのリーダーや傭兵団団長と雑多だったようだ。

 この国はまだ建国100年ほどの若い国で、その彼らが貴

族となれば王国や帝国となるし、今のままなら連合国や

連邦国になるのだろう。



 中央の赤絨毯を進んでいると、キョウコとツキヨミが俺

の前に間を開けて先導するように位置を変えた。竜族4人

娘は俺の横に縦に2人づつ、最後尾にマニエットという並

びだ。


 玉座の手前5mほどでキョウコとツクヨミが左右に開い

て立ち止まる。跪かない。

 

 なるほど、本来は警護用の隊列を取ったのは俺がラクレ

ッドの国主に跪かせないためか。。。




 国主が先に口を開く


「私はラクレッド冒険国の国主、ショーン・リンデンバウ

 ムである。この度は危機的状況の中での助力に深く感謝

 する。また私の長子ウェンを救って下さって感謝する。」


「私はマキシアム王国のロンドベル辺境伯の嫡子、ラファ

 エル・ロンドベルです。偶然とはいえ間に合って良かっ

 たです。」


本来、直答はどうなんだろう?と思うが、別に構わない

だろう。恩人だし、他国だしね。


「しかし、まさか天から<殺戮姫キョウコ殿>と<漆黒姫

 ツクヨミ殿>が舞い降りるとは思いもしませんでした。

 後におられるのは<真意聖女マニエット様>では無いで

 すかな?」


 国主は少年のような眼をして確認をした。


「ご慧眼、さすがですね。ちなみに4人の竜人族は先程の

 竜が人化しています。右からローザ、ヘムザ、イーサ、

 オーサです。」



周囲がざわつく。。。キョウコ、ツクヨミ、マニエットも

そうだが、人化した竜を見るのは初めてだろう。


「あ、一応言っておきますが、竜族の機嫌を損ねるとその

 日のうちに国が廃墟になりますのであしからず。」


皆、先程のブレスを思い出したのだろう。青白い顔色に

なっている。


「大丈夫ですよ。そのような阿呆はこの国にはおりません。」


ウェンが請け負ってくれる。




「ところで、助力は助かったのだが元々は何用でこの地

 に?確かロンドベル辺境伯領は王国でも西の端だった

 はず。

 マキシアム王国は時々思い出したように食料や武器を

 送って来るだけの付き合いだが。。。」


「そうですね。

 端的に言って国主との会談を望んでおりました。

 用件は3つ、

  一つは聖国のアルテイシア正教が腐敗しきっていたの 

 で、関係を断ち切り真意教会を立ち上げましたので、そ

 の報告と同調のお誘い。これはイースト国、バグリド獣

 王国、ダムド獣王国が同調してすでに既存協会はすべて

 真意教会に移行しております。

 

  二つ目はマキシアム王国に新しい学園都市を立ち上げ 

 て、この世界に無い新しい知識を広げる事になりました。

 留学の受け入れを行いますので、そのお誘いです。

 一人当たり年間金貨1枚で受け入れます。

 幼年教育として真意教会の孤児院で幼年教育が7歳か

 ら6年、学園都市で高等学園を6年、大学校が3年の学

 習期間になります。


  三つ目は私個人の配下へのお誘いです。臣下を2~3人

 生殺与奪の権利と共に出してください。

 特典として、今から7年後までの学習費用として、年

 間5万t分の穀物の提供を6年間実施、7年後から年間

 4万人の留学生の受け入れ、これは毎年4万人づつ増や

 すと言う意味で、13年後には24万人が高等学院を修了

 できます。その食費、学費、旅費の全費用を私が負担し

 ます。

 同時に国土防衛の直接戦力の提供ですね。実際、私が

 少なくとも後10年は準備が整わないので、ラクレッド

 冒険国を盾にする事も事実です。

  しかし、例えばラクレッドの上空に常に10頭以上の

 竜又は飛竜を派遣して、部分的に強力に援護する事は

 造作もありません。

  必要なら帝国国境線に高さ30mの防壁でも建てまし

 ょうか?戦力を集中できますよ?」


 一気にまくし立ててしまった。


「ふむ、どれも魅力的な話だ。私の考えは既に決まってい

 るが、正式な決定は首都で協議しなければならんだろう。

 悪いが今夜は祝宴に参加して貰って、首都迄同行して

 くれんか?悪いようにはせん。少なくとも1点目の真意

 教会の件は問題なく同調出来るだろう。」


「ところで、主が使徒である事は言わんのか?」


「使徒である事を示して従わせるのでは正教と五十歩百歩

 になるので控えています。」


 そう回答すると国主は笑っていた。

 周囲はドン引きのままだったが。。。



 まあ、空気が凍ったまま祝宴でもないだろうと思い、

その場でウィスキー50本、ビール200樽、日本酒5本を

取り出して説明する。


「これらは我らの領で作った酒類です。

 この琥珀色の蒸留酒がウィスキー卸値で銀貨2枚、

 金属樽がビールで卸値が銀貨4枚、こちらの透明の醸造

 酒が大銀貨5枚ですが、今回の祝宴に提供します。

 良かったら今後の交易時に買って下さいね。」


商売の話をしたせいで余計ドン引きになったのは言う

までも無い。幸い祝宴での評判は上々で日本酒以外は売れ

そうだ。



(白金貨188111大金貨1金貨9大銀貨9銀貨7大銅貨2銅貨2)


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