第39話 イースト国
いつもご愛読ありがとうございます。
ここの所評価ポイントが増えてPVもそろそろ
10000に届きそうです。
非常にモチベーションが上がり嬉しい限りです。
今後ともによろしくお願いいたします。
翌朝、司令室で目が覚めるといつもの纏わりつく
腕が無い。何かあったのだろうか?
手早く身支度を済ませて甲板に出てみると、キョウコ
が舷側で蹲っていた。
船酔いか。。。無理もないか。この大きさだしね。
「キョウコ、大丈夫か?」
他の船の連中にも確認してみる。
・・・ツクヨミ、ミナミ?・・・
・・・マリアムが船酔いです・・・
・・・ミリアムが船酔いです・・・
・・・わかった。飛竜で先行しろ、
しばらく経ったらこちらも向かう・・・
・・・御意!・・・
・・・御意!・・・
キョウコが青白い顔をして立ち上がる。
「申し訳ございません。もう大丈夫です。」
そんな急に治らないから。。。
「オーサと一緒に空中待機してくれ。俺は朝食を
食べて準備が出来たら念話する。」
「は、はい。ありがとうございます」
船内に入り司令を捕まえて朝食を摂る。
「従者5人中3人が船酔いですよ」
「あはは、最初は結構皆なりますよ?
でも、あの<殺戮姫のキョウコ>様もですか、
意外と可愛い処もあるもんですね。」
キョウコ、<殺戮姫のキョウコ>なんて
徒名が付いているんだ?
可愛い処もいっぱいあるのにね。。。
・・・ラフィー様、首都アタゴの近海にイースト国
所属ではない軍艦を複数発見しました。・・・・
キョウコから念話が入った。
・・・ほう。わかった。一旦こちらに戻ってくれ・・・
・・・御意!・・・
「司令、悪いが首都アタゴの周辺海域に所属不明艦が複数
航海しているらしい。このまま進んで殲滅してくれ。」
「戦闘が終わって問題が無ければ予定通りの航海を始める
ように。」
「了解しました。」
「総員、戦闘配備だ!進路そのまま全速航行へ」
「戦闘配備!進路そのまま全速航行!」
良く通る声で伝声管に怒鳴るとすかさず復唱が帰り、
わずかに加速度が付いたのが判る。
「では、俺は空から行くので海は任せた!」
そう言って俺は後部甲板に上がる。
しばらくして戻って来たオーサの背に乗って空を駆って
アタゴへと向かう。
「キョウコ、敵は何処だ?」
「カットリル帝国では?以前から関係は良くありません
し、複数の軍船を持つ国力は周囲に他にありません。」
「何か聞いていたか?ツクヨミは最近挙動不審だったが?」
「私は聞いておりませんが、第一姫のツクヨミには連絡が
有ったのでしょう。ラフィー様に余計な負担を掛けたく
無くて黙っていたのだと思います。」
「なるほどな。。。」
会話していると眼下に軍船が30隻ほど見えて来た。
さすがに、ガレー船では無くキャラックかな?大砲は軽砲
があるはずだが見当たら無い。長さ50m弱の1000tクラ
スが10隻で、残りは30mの500tクラスかな。
前装砲は基本的に射程350mまでだが、こちらは大砲の
精度が違うので、日頃から500mで攻撃する訓練をしてい
たはずだ。
木造船相手なら運動エネルギーで木っ端微塵なので
ミスだけしないように頑張って欲しい。
アタゴ上空に到着したが、やはり西洋式の城塞都市
では無く、簡易な木柵で仕切られただけの街並みの中央
に塀と堀に囲まれた和式の城が鎮座していた。
海沿いの家屋は艦船からの砲撃を受けた後に陸兵の襲撃
を受けたようで、破壊された家屋に火を点けようとしてい
る敵兵が複数確認できた。
ウォーターレインを横向きに極少量の魔力で放って、
雨を降らせる。一気に濡れた家屋に火は点かないだろう。
キョウコに勧められるままに、またもや城の中庭に
着陸して降り立つ。3重5層式の城壁には白壁に黒い
漆喰を使った美しい城である。
有無を言わさず、城内に向かうが天守一階で城内の兵に
案内をされる。大広間らしき場所に到着するとこちらに
向かって30人ほどの人間が平伏している。
「カトウ殿はどなたかな?」
「はっ!私がイースト国の国主を名乗っております。
ジュウゾウ・カトウでございます。」
「何故知らせを寄越さなかったのかを問い質している時間
は無いな。現状を説明してくれ。
それとワイバーンでもワイバーンロードでも何でも
良いから、飛竜を3頭供出してくれ。」
「かしこまりました。」
「ケイジ、竜を準備しておけ。」
「はっ!」
「状況としましては、昨今カットリル帝国からの従属圧力
が強まっていたのですが、半年ほど前からかなり強硬に
なり、1月ほど前に突然進攻をして来ました。
現在、西側の玄関口の港町サカイが敵の手に落ちて
陸兵15000ほどが上陸、イズモとハルナに向けてそのうち
5000人づつが進軍して、ハルナはすでに落ちました。
そちらの対応をしている間にアタゴを海から奇襲され
た次第でございます。」
「こちらの兵力は?」
「イズモに陸兵10000、このアタゴの北方に陸兵が5000人
展開しております。アタゴ自身はほぼ空で500名程の守
兵が残っているだけにございます。」
「ほう、戦力的に負ける要素がわからんが、何か違いが
あるのか?」
「はい。こちらは実際一人一人の練度や戦闘力では圧倒し
ておりますが近接戦闘を得意としており、帝国軍は大砲
と鉄砲などを装備しているため、接近して近接戦闘に持ち
込む事が難しく劣勢を強いられています。」
「飛竜は?」
「飛竜はあくまで騎乗獣であって、移動が速く多少の事
では怯えたりしませんが、積極的に戦闘に参加して
攻撃してくれる訳ではございません。
このような近郊の戦いでは無用の長物で、アタゴにも
まだ50頭ほど伝令のために残っております。
言い伝えによりますと竜を屈服させて臣従させた場合
は強力な戦力になるとありますが。。。」
なるほどな。飛竜は使い熟せる人間が居らず、敵は銃
や大砲を導入して強気なのね。
「状況は判った。港町には防壁を気付いた方が良いぞ?
制圧された後は逆に敵を街中に閉じ込められるからな。
とりあえず、準備が整うまでアタゴを綺麗にしよう。
沖合の敵船は我が艦艇が戦端を開いたから、そのうち
片付くだろう。少なくとも陸に目を向ける余裕は無い
はずだ。
守兵は100人づつ4班をこちらに預けてくれ。装備は
これを使え。敵の盾や鎧は撃ち抜けるだろう。」
俺はその場でクロスボウの改良版のコンパウンドクロ
スボウの連弩が500入ったマジックバッグを放りだして、
中から一つを取り出し使い方を教える。
「全部で500張と専用の金属矢が、各200本づつ入ってい
る。一度に10本をセットして10回まで矢を装填せずに、
このレバーを引くだけで発射できる。こんな感じだな。」
城の20cmほどの柱に向けて3回ほど発射する。
ボルトは柱を突き抜けて末尾の金属製安定翼が引っかか
ってようやく止まっていた。
ギムレット。すげえな。。。
複合弓の連弩ってこの威力なのに、
こんなに軽くセットできるんだ。。。
「では、中庭で待っている。」
「は、はい。」
そういって歩み去るとしばらく経って、背後から盛大な
歓声が響いて来た。
「我が君、ありがとうございます。申し訳ありませんで
した。」
ツクヨミが歩きながら謝罪して来た。
「ダメ!ツクヨミは今晩お仕置きだからな」
「はい!よろこんで!」
居酒屋のお姉さんですか?
中庭でしばらく待機していると、4個班400人の守兵が
集合して来た。人数が足りないのか老人や子供も混ざって
いるが、仕方が無いのだろう。
「キョウコは東、ツクヨミは西、ミナミは南へ、それぞれ
100名を連れて掃討しろ。北には抜けられていないよう
だから、俺はマリアムとミリアムと残りの100人を連れ
て、南側から北側まで土の防壁と空堀を作成して行く。
防衛ラインがはっきりしなくていかん。」
「「「「御意!」」」
3人は特に考えずに手近な部隊を纏めると掃討戦に向か
った。
「オーサ、3頭の飛竜が来るのを待って町の北側に待機だ。
新顔には命令を聞くように教育しておけよ?」
咆哮で返事をしてくれる。
「では行くか。守兵の皆は見かけた敵兵は容赦なく殲滅
して貰って結構だが、絶対に民間人や味方を誤射しない
ように。2人一組となって2人共に確認して初めて攻撃
をするように。」
「「「了解しました。」」」
ミナミの部隊とは少し逸れた海沿いに寄るルートで南下
する。存亡の危機だけあって皆良く付いて来る。すでに3
~40人を殲滅したが、人数が多いのでオーバーキルである。
敵兵は勝利気分で略奪をしていて突然撃たれて驚いたまま
次々倒れて逝った。きっと守攻が変わったのと鎧を貫通さ
れた両方に驚いたのだろう。
南の海沿いに到着すると部隊を停止させて警戒させる。
「みんな気を緩めないように。」
「マリアムとミリアムは良く見とけよ。次から手伝って
貰うからな。」
「「はっ!」」
俺は二人がイメージしやすいように「アースウォール
高さ15mで上面幅10m下面幅30m」と呟いて土魔術を
発動する。端っこなので海上から連続して造成する。
長さ300m程で造成を止めると「アースプレス」で天端
を踏み固めて高さを10mまで圧縮する。
その後「アースホール深さ10m幅30m」と呟いて空堀を
作成する。
完成した防壁の内側に上りスロープ設けて、引き連れた
守兵に命令をする。
「この感じでアタゴを完全に取り囲むように防壁を築いて
行くので皆は防壁の上に上って警戒してくれ。延長され
たら適度に分散して全体を防護するようにね。
下の部隊も追っかけ徐々に上って配置に着くと思う。」
「「「了解しました。」」」
上に上った先から
「すげえ。高くて良く見渡せるな。」
「これ結構固いぞ?」
「いや、それより最後の圧縮の時に段差があるな
と思ったら、これ外側に向けて防護用の壁を作って
有るんだ。」
「本当だ。1m半位だから隠れ易いな。」
「よし、失敗しても良いからマリアムとミリアムは続きを
作ってくれ。最初はMP持たないから10mづつで良いよ。」
「「御意!!」
2時間後には手の空いた順にツクヨミたちも手伝って
くれたので昼頃にはすべて完成して北門に集まっていた。
門はとりあえずは南北と西に1か所づつ完成した防壁を
内側から吹き飛ばして空堀を埋めて出入り可能にした。
あとはイースト側で考えるだろう。
北門に集合して驚いたのはオーサ達が待ち草臥れて寝て
いた事では無く、増援の飛竜が普通にドラゴンだった事だ。
キョウコ曰く、オーサの兄弟でローザ、ヘムザ、イーサだ
そうだ。正式名は長くて覚えられん。。。
「ミナミ、ヘムザに乗って海軍に伝令を。敵艦殲滅後は
サカイに転戦。別名あるまでイースト国防衛の任に付け。
と伝達後、イズモ、サカイ間の戦場に合流してくれ。」
「御意!」
「キョウコはローザ、ツクヨミはイーサを受領して、飛竜
はマリアムとミリアムが騎乗しろ、飛竜は良く慣れてい
るから細かな指示は必要ない。
戦闘指示はオーサから伝達するから落ちないようにだ
け気を付けてくれ。」
「「「御意!」」」
「では、アタゴから向かって来る軍勢を殲滅してミナミと
の合流地点に向かうぞ。」
「「「御意!」」」
その後の戦闘は一方的だった。2か所の平地の戦場では
空中から容赦なくドラゴンのブレスと範囲魔法で殲滅して
灰も残らなかった。
街道がめちゃくちゃになったから、マニアルとミリアル
に土魔術の訓練がてら整地させた。
サカイに残った敵兵5000は我々が接近すると艦船に
引き上げて撤退して行った。
正直助かった。この人数で市街戦で5000人はきつい。
撤退を確認後に港の一部を改良して、うちの海軍が岩壁
に着岸できるように改造して、アタゴ同様に外壁と空堀を
建設する。
その間、キョウコとツクヨミはイズモに向かい、残敵の
掃討と防護壁の建設を行って戻って来た。
「マリアム、ミリアム。うちのスタンダードな戦闘には
もう慣れただろう?まあ、戦闘半分土方工事半分だけど
ね。」
「「全く慣れません。」」
よし、ダムドにも行かなければならないし、一旦アタゴ
に戻って一泊、早朝にカトウ殿と会談を済ませて飛び立とう。
アタゴの城に戻ると再びカトウ殿を筆頭に皆が平伏して
出迎えてくれた。そのまま夕食となり、美味しい刺身や魚
の煮付けに舌鼓を打った。
やはり、出汁の聞いたお吸い物も懐かしくて美味しいな。
味わいながら必要最低限の連絡事項だけ伝えて行く。
「カトウ殿、基本的に敵はすべて殲滅できたはずだ。
勝手ながら、アタゴ、ハルナ、サカイは城壁を設けて
要塞化しておいたので、細かい仕上げは任せます。
お貸しした連弩は譲渡しますので、そのまま使用して
貰って構いません。
矢に付いてはこちらから購入して頂いた方が確実
ですが無理強いはしません。
それと、うちの海軍の1/3をサカイを拠点として
防衛に当たらせます。燃料以外の負担をお願いしても
よろしいか?」
「感謝いたします。すべてラファエル様のご意向通りと
させて頂きます。」
「本日は少し疲れましたので、これで就寝させて頂きます。
明日の朝、会談をお願いします。」
「承知いたしました。」
その後、警戒しつつも浴室に向かったが、キョウコに
弄ばれた程度で済み、無防備に与えられた客室に戻ると。。
ここは何処の吉原?のような妖艶な赤い空間に様変わり
してツクヨミとミナミが待ち構えていた。
ええ。しっかりとお仕置きして。。。
貰いました。。。
何かがおかしい。。。
翌朝、布団の周りは見ないふりをしてお風呂に向かって
身を清めて身支度を整える。
マリアル、ミリアル。。。
赤い顔でひそひそ話はやめてください。。。
朝食は昭和の古き良き日本のメニューで、焼き海苔、
アジの開き、アサリの味噌汁、海苔の佃煮、卵焼きに漬物
と言った感じで、日本茶が付いて来た。
もちろんご飯は3杯お替りしましたよ!
お茶を飲みながらの食休みを挟んで会談を行った。内容
はこれまでの全面的な協力への感謝とアルテイシア様の労
いを伝えて、現在のマキシアム王国の状況と今後の予定を
伝達する。
教育に関してはバグリドと同じ条件で人口に合わせて
5万人ほどの提案をしたが、資金的余裕はあるので援助は
断られた。すでに教会学校というシステムが有るので、
年齢を合わせて小学校として、留学の受け入れだけを要請
されたので了承した。
そう、イーストは基本的にアルテイシア様の使徒が興した
国のため、特異な物産や技術があり意外と資金は豊富なのだ。
帝国が狙ったのはその辺もあるのかもしれない。
どこの大陸も帝国は野心が強い覇王の国なのでこういった
事は起こり得るのだろう。
最後に手土産として、タイール産の日本酒の味見をして
もらい、喜んで貰えそうだったので20本ほどを手渡して、
会談を終えた。
さて、海軍を転用してしまったので、一気に2000kmほど
飛ぶ事が必要になった。
カトウ殿が3頭の竜はそのまま連れて行って構わないと
言ってくれたので、ミナミにマリアムとミリアムを引き連れ
て先にタイールに戻って貰う事にする。
竜3頭で3人で向かう場合は、一人づつの騎乗で負担が軽く、
速度も段違いに上げられるので到着も早いそうだ。
では、出発しますか。。。
(白金貨11973大金貨2金貨5大銀貨7銀貨7大銅貨2銅貨2)




