第33話 個人携行火器
いつもお読みいただきありがとうございます。
この作品の裏テーマとして「内政チートってそんなに
簡単じゃない。近代技術なめんな!」が有るのは皆さん
とっくにお気づきだと思います。
ええ。。私が勉強しても付いていけません。。。
今回は難しい内容で間違い等もあると思いますが、
生暖かい目でスルーしてくだされば幸いです。
疲れました。。。
ブックマーク、評価が増えたモチベーションで頑張り
ました。宜しかったらまだの方はよろしくお願いいたします。
今日も領都の領主館の自室で目が覚める。
最近はすっかり肉食女子の餌食になっていたので、
チョコ達モフッ娘達が抗議の声を上げてくれたので、
残念ながら、色っぽい光景の広がる朝ではない。
今朝はキョウコの代わりに、チェルとミュウが両隣
から抱き着いて寝ていた。頬をプニプニしてもどちらも
起き出す気配は無い。
チョコはどこ行ったかと思ったら。。。
俺の足を枕にして丸くなって寝ていた。チョコのお尻で
揺れ動く狐尾のモフモフ具合に我慢できずにモフッてしまう。
「お、、おはようれす」
「おはよう!チョコは咄嗟でも挨拶出来てえらいな。」
「ご褒美にもっとモフッてあげよう!」
「も、、、もういいのです。。。変な気持ちになるです。」
「Yes!ロリータNo!タッチ」
気持ちの良い目覚めだな。良い一日になりそうだ。
朝食を済ませて本日の予定を決める。今日はお母様達に
モフッ娘3人を預けて、昨日残したタイールの視察を片付
けよう。その前にニムルを呼んでデザートの開発を指示し
なきゃだな。
「キョウコ、ニムルを呼んでくれ。どうせ商業ギルドに
居るだろう?」
「はい、かしこまりました。」
「おはようございます!ラフィー様」
数分でニムルがやって来た。
えらい早いな~。。。
「私、その。。。死んだ旦那しか知らないのでそんなに
技とか無いですが宜しいんでしょうか?」
は?技? ??
意味不明な質問にフリーズしているとマニエットが
顔を背けて笑っている。。。犯人発見!
「いやいや、今日はそういった用件じゃないんだよ。」
「あら。。。残念です。。。」
いい大人の女がシュンとしてるのも。。。
いえ、何でも無いです。キョウコさん。。。
「昨日、タイールの飲食店に行ったんだが、申し分の無い
味と品揃えで大盛況だったぞ?」
「ありがとうございます。
ですが、ほとんどはマナミの手柄です。私はもう少し
違った方向にしたかったのですが、労働者の食堂って
感じで薄利多売でやっています。」
「うん、そうだろうね。あれはあれで成功と言えるけど、
労働者の日々の糧って感じが強いよね。
だから、ニムルにはもう少し違った業態にもチャレンジ
して欲しいいと思って、今日は呼んだんだ。」
「違った業態ですか?」
「うん。ターゲット層は貴族の子女や奥方、比較的裕福な
市民だね。イメージとして貴族が屋敷で嗜むお茶会を
お店で楽しむって感じかな?」
「なるほど。ですが、売りが無いと厳しいと思います。
やはり専属メイドさの接客の様にはいきませんので。」
「うん、今回ニムルに担当して貰うのは(カフェ)だね。
売りの一点は、多種多様なお茶を取り扱う。そして茶器
等は聖国から仕入れた白磁器とタイール製のガラス茶器
に限定する。これで2点目。
3点目、メイド服は我が配下のデザインを採用して
萌黄色で統一する。デザインイメージはパステルカラー
だ。Wikiで確認してくれ。
4点目、これが最大の売りだが、甘味を多種揃える。
まずは、クレープ、プリン、シュークリーム、シフォン
ケーキ、アイスクリームだな。レシピはこれだ。
主に必要なのは、卵、小麦、牛乳、生クリーム、砂糖、
バター、バニラエッセンスだ。
砂糖とバニラは獣王国に農園を作ってしまって良い。
砂糖はサトウキビから精製する。バニラエッセンスはバ
ニラの木の種子を漬け込んで香料を抽出する。どちらも
暑い地方の原産だから獣王国で見つかるだろう。
生クリームは牛の乳からも作れるが、効率が悪いので
水牛を畜産して乳を加熱して上澄みを遠心分離するので
工房に相談しろ。バターは生クリームを攪拌して脂肪分
を固めた物だから生クリームが出来れば難しくない。
それぞれ、wikiを参照して参考にしてくれ。」
「甘味ですか。。。お団子しか知りませんでした。。。」
「甘い物でしたら、富裕層に受けますね。」
興味があるのか、マニエットも期待した目で口を挟んだ。
「うん、徐々に人口が増えて貨幣経済が回り始めているの
で消費に回るように、嗜好品の販売を今後伸ばして行か
なければいけないからな。
そして、富裕層向けなので利幅が大きく取れる。
生物の輸送や保存が必要だが、まだ高価な冷蔵冷凍庫も
必須だからな。利幅が多いに越したことは無い。」
「一号店はタイール、二号店は王都、三号店は学園都市と
して、同時オープンさせる。その後は需要を見極めて
出店して行くので、半年を目途に準備を整えてくれ。」
「ああ、タイール~王都便の商隊に冷蔵冷凍便の馬車を
1台づつ設けてくれ。同時にマナミのやっている食堂も
王都と学園都市に出店させる。当面の費用として白金貨
80枚を渡す。」
「かしこまりました!」
「それと、ニムル。今期の売上時に3年分の精算をするの
で帳簿をチェックしておいてくれ。開発資金も心許なく
なってきたのでよろしく。」
「かしこまりました。出店時期と重なりますので出店後
でも宜しいでしょうか?」
「構わないよ。悪いな。」
「御意!」
ニムルが張り切って立ち去ると、キョウコが小声で
囁いて来た。
「ラフィー様、資金がご入用でしたらお申し付け下されば
ご用意いたしますが?
配下個人でも白金貨の10や20出せますし、イースト
からも100枚や200枚出せますが?」
「ああ、そんなに困ってる訳じゃないよ?みんなも渡して
いるお金は使って経済を回してね!」
「御意!」
まあ、配下給金は3年前から一人当たり、白金貨換算で
0.3枚(3000万)、衣食住すべて面倒を見ているので溜まる
だけなんだろうけどもね。。。
「さて、3人でタイールの視察を終わらせよう」
最初は意味が分からなかったが、オーサ一頭に3人で
騎乗してタイールに到着した。サンドイッチにされて
キョウコのお胸様の成長を実感いたしました。。。
良いんだけど。。。肉食系女子全開で自重が息していない。
今日は発電所の様子から視察する。オーサには直接発電所
に着陸して貰った。
発電所の敷地内には500mx500mで高さ20mの建屋が
建っている。内部は1階が天井高5mと大型なサイズに
なっており、南側約半分の350mx500mは吹き抜け構造
の巨大な格納庫に見える。
通用口は北面にあり玄関口には受付、執務室や応接室が
あり、プライベートエリアも1Fである。エレベータで
運用指令室や送電システムの有る2~3階に上がって行け
る。
昨日も思ったが、産業スパイを警戒してないとはいえ
防衛体制が皆無で誰でも簡単に進入出来てしまうのは安全
上宜しく無いな。フェンスと守衛所を設けさせよう。
現在は3Fに500kWディーゼル発電機を3台づつ設置
した部屋が3部屋存在して、送電切替室が1室ある。
配管とポンプを使用して軽油を供給して駆動している。
実は2Fにも同様のディーゼル発電室が3部屋あるが、
最初期の製造品ですでに廃止され撤去を待っている。
今回は吹き抜けフロアに建造中のガスタービン施設の
視察だ。フロアに踏み込むと、広大な区画が仮設的に区切
られていて、その内の一区画に向かう。
一区画は50mx250m(50mは搬入通路)の大きさがあ
り、、その中央に軸受けが設置され、長さ200mほどのコン
バインドサイクル設備が横たわっている。
通路側には蒸気タービンと復水器が設置されて軸が奥に
伸びている。ちょうど全長の中央部分に発電機があり、吸
気装置、ガスタービンエンジンが同じ軸に設置されている。
最後はガスタービンの1000℃に及ぶ高圧排気によるボ
イラーで高圧蒸気を精製して、急遽設置された排気煙突か
ら建屋の外に廃棄されている。
ちなみにこれはすでにセットで5セット目。。。
バラバラに作り直している部分も入れると軽く10セット
は作り直している。
構造と考え方は簡単と言えば簡単なのだが、軸強度と精
度(高温時のゆがみを含む)が第一関門、軸受けの潤滑装
置が第二関門、蒸気タービンとガスタービンの羽根の精度
が第三関門、始動用の装置(結局ガスタービン排気以外で
の高圧蒸気精製装置を追加した)が第4関門として立ちは
だかった。
金属工房の最高頭脳も交えて工作機械の製造開発も行っ
て数十台の工作機械も開発した。
コンバインドサイクルやガスタービンのハードルが高い
のは重々承知していたがゴリ押ししたのは、船舶、航空機
のエンジンに転用が可能な事。ジェットエンジンの定置式
は軽量化の必要が無いので開発順序としてはハードルが低
くなる事。
天然ガスの有効利用と発電効率が21世紀の地球でも
ダントツに良い事があげられる。
このサイズでも10MW以上の発電が可能なので一気に
西部諸侯の領地に電力を販売できる。(現代日本の東京都に
おける産業用電力消費が500MWh位である。)
必要は発明の母とはよく言った物だし、wikiによる技術
進化を効率良く辿っているが、3年経ってようやく形にな
って来た。あと2~3年の内に実用化できれば上出来だと
思っている。
などと思って暑い中見学して要ると怒鳴り声が聞こえた。
「御曹司~!起動するんで退避してください!」
「わかった!運用指令室に行く!」
と怒鳴り返す。
2Fの運用指令室に行くと、幾つもの指示灯やバルブ、
スイッチが並んだ制御卓と区画を見下ろすガラス張りの
展望部があった。
「いつの間に御曹司来ていたんですか?」
発電所を任されているドワーフ族の青年リーダー格の
ハミールが声を掛けて来る。
「いや、昨日もタイールには視察に来ていたんだけど、
こっちには寄れなかったから朝から来たんだよ」
「御曹司は若いのにしっかり自己管理が出来ていますね~
うちの年寄りの深酒連中にも言ってやってください。」
「あはは、彼らは酒が命だからね。。
ところで、今回のはどんな感じだい?」
「前回は軸がブレて短時間で壊れたので、軸受けをボール
ベアリングに変更した上で、高温に強いグリスをポンプ
で強制循環させています。一つ一つ潰して行くしかない
ですね~」
そう言ってのんびりしているが、実際には軸は動き始め
ている。蒸気タービン自体はそこそこ動くのを前回実証
している。ガスタービンは始動に十分な空気の圧縮が必
要なので、軸の回転が一定以上に成らないと始動できな
いのだ。1時間以上は始動に掛かる。
「今何回転くらいだろう?100位かな?」
「ちょっと待ってください。300回転くらいですね~」
分当たり1500回転位で始動する筈だ。常用は3000回転
程度となるはずだ。なにせ20段近い空気圧縮タービンを
始動させて大気圧の数十倍として使用するものだからな。
「ようやく1500です。始動してみます。爆発は無いと思
いますが、破損したタービンブレードの飛散が怖いので
注意してください。」
数名の作業員が燃焼室に天然ガスを流入させるために
バルブを操作していた。
キーンと言った甲高い金属音と共にゴーと言った燃焼音
が響き渡る。少なくともここまで聞こえるようなガタツキ
音などは無い。
「今のところ順調だな」
「ええ、前回は細かい振動がここまで聞こえましたから」
「もう自立している?」
「はい、ボイラーもガスタービンのみで動いでいますが、
ちょっと水量が不安ですね。思ったよりも蒸気の復水器
での損失が大きい感じです。」
「少し蒸気漏れしているのかもな。高圧600℃だから配管
の確認をした方が良いな。ステンレスか?」
「いえ、製鉄所に頼んでSTPT(高温配管用炭素鋼鋼管)を
作って貰いました。これだとJIS規格なので肉厚の担保
がしやすいので。」
「ふむ、なるほどな。いずれにしろ焦らずに進めてくれ。
10分、30分、1時間、6時間、12時間、24時間、72時間
って具合で止めてチェック、改良を進めるように。
3ヵ月の連続運転が可能の時点で2基目を設置して半年
可能になったら本格稼働と同時に3基目の設置だ。
送配電や変電設備の開発もそのスケジュールに合う
ように開発させてくれ」
「承知いたしました。」
ハミールとの会話を切り上げると発電所を後にした。
続いて発電所の北側に位置する化学工場に向かった。
実は化学工場には苦い思い出がある。3年前に敷地を
造成した際、今後を見据えて幾つかの建屋を建設してい
たが、実はすべて解体している。
この主因は粗製ガソリンでは十分なオクタン価が得られ
なかった事に由来する。正直に言うと一般高校卒業程度の
化学知識では難しかった。
まあ、言っていても仕方が無いので2年前に建屋を解体
して、まずはエチレンプラントを建設した。原油精製プラ
ントと合わせて石油化学コンビナート計画である。
エチレンプラントは粗製ガソリン(ナフサ)を原料とし、
熱分解工程で800℃まで加熱した後に、熱交換器で350℃ま
で急速冷却してガソリン精留塔に送り、36℃以上で液化す
る重質油を分離する。その後のクエンチタワーで-0.5℃以
下で液化するペンタンを分離する。
ここまでが熱分解工程で高さ50mの熱分解炉とガソリン
精留塔、クエンチタワー、熱交換施設及び各貯蔵タンクが
必要になる。
その後、苛性ソーダ塔にて水酸化ナトリウム水溶液と
接触させて、硫黄分など酸性ガスの不純物を分離した後、
ガス圧縮機に送られて37気圧まで圧縮、深冷分離器-161℃
まで冷却されて液体水素が分離される。
その後は20気圧程度で、各クエンチタワーにて液化温度
上昇毎に分離される。液化温度はメタン-104℃以上、エチ
レン-89℃以上、エタン-47℃以上、プロピレン-42℃以上、
プロパン-0.5℃以上、ブタン36℃以上で、必要に応じ
てアセチレン水素などが添加される。
この工程では高さ60~90mのクエンチタワーが6塔、全
長100m以上の圧縮機と建屋、苛性ソーダ塔が建設されて
各種用液化ガスタンクが7つ、不純物用タンクなども建設
された。
これが分離精製工程である。各主配管パイプが地を這い
塔を登るといった如何にも化学プラントである。
話がそれたが、ガソリンはこの分離した中ではペンタン
であり、分離ガソリンが生成される。
そもそもガソリンとは、沸点が30℃~220℃の石油製品
の総称で、環境性能とオクタン価で決定され、現代日本で
はオクタン価89以上がレギュラー、96以上がハイオクであ
り、混合添加調整で俗に言う自動車用ガソリンとなる。
こんなハードルの高い施設を早くも建設したのは、ガソ
リンや軽油等の調整と添加物の取得、エチレンを主体とし
た炭素系化合物を原料としたプラスチック(ポリエチレン)
の製造のためである。
まあ、すでに化学に付いていけないので集中して石油化
学を研究している工房のドワーフをはじめとした技術者に
請われたのが主因である。
おかげでガソリンエンジンの実用研究が遅れてしまった
理由が分かったので、今後は彼らに任せるつもりだ。
ちなみに、初期のJISガソリン規格はオクタン価60以上
だった事からも、粗製ガソリンがあったので、初歩的な
エンジン開発自体は停止していた訳ではない。
このプラントで実に敷地面積の2/3を使用してしまった。
化学工場敷地にはその他に、塩酸、硫酸、アセチレン、
バナジウムの精製工場と天然ゴムの加硫工場が立ち並んで
いる。
塩酸は海水の電気文化から塩素と水素を得て、燃焼後
塩化水素ガスを得る。これに水を吸収させて塩酸とする。
アセチレンは生石灰とコークスの混合物を2000℃で加熱
して炭化カルシウムを得て水を加えてアセチレンとする。
バナジウムは褐鉛鉱を塩化ナトリウムと共に850℃で
熱してバナジン酸ナトリウムとし、水溶液に塩化アンモ
ニウムを加えてメタバジン酸アンモニウムを沈殿させる。
これを水に溶かすと五酸化バナジウム、カルシウムで
還元するとバナジウムが得られる。
硫酸は二酸化硫黄ガスを五酸化バナジウムを触媒として
参加させると三酸化硫黄(無水硫酸)が得られる。これを
水と反応させると硫酸が得られる。
天然ゴムの加硫工場は主にゴムシートの製造に使用され
るラインとタイヤを製造するラインに別れる。
ゴム自体は天然ゴムをミキサーで寝る素練り後、カーボン
ブラック(煤)、炭酸カルシウムを練り混ぜる混練りを経て
成型、加圧加熱を行い加硫して形状を一体化させて固める。
タイヤの場合はインナーライナー(チューブ代わりの最
内部ゴム層)、設置面のトレッド部、タイヤコードを織り
込んでタイヤ断面形状を形作るカーカス部、ピアノ線を
束ねてホイールリム部でカーカスの引っ張りを受け止める
輪っか状のビート部、これらを別々に整形した後、
トレッド面保護のブレーカーベルトと共に組み立てて、
金型に入れて加熱・加圧、加硫を行って完成となる。
ちなみに、いきなりラジアルのチューブレスタイヤです。
ホイールとタイヤメーカーが商会のみなので、貫通スポー
クホイールは製造せず。鋼材のプレス及び削り出しのみで
ホイールを製造して煩雑な移行を阻止した。
タイヤは昨日のマナミの要望に応えて別工場を別の場所
に建設して移管する予定である。
正直、ある程度把握できているのはこんな処である。
現在、原油精製工場と化学工場では510人が従事及び研究
開発を行っている。タイール工業学部で勉強中の550人も
順次投入されるが、領都とキースクの学生1000名が投入
されても他分野への従事と合わせて全く人が足りない。
いっその事、学園都市に10,000人規模の学園を建設する
か?衣食住+給金の給金が無ければいけるんだよな~
(ちなみに学習中も含めた工房所属9,230人の年間給金は
370億に上っている。)
と考えていると後ろから呼び掛けられる。
「我が主、視察でしょうか?」
製紙・紡績部と化学工業部を任せているセイヤである。
「ああ、化学工場はもはや付いていけない内容になって
来たなと思ってね。
わかっている。化学知識のある人員が足らんのだろう?
根本的な解決を考えるよ。」
「ご慧眼。恐れ入ります。」
そもそも、現代日本の教育は間違ってたよな~
タイヤやガソリンを精製するための知識として、興味
先行で教育してくれれば化学も楽しく覚えただろうに。
お受験用で詰め込みの為にいきなり、モノマーだのポリ
マーだの、終いには判らないのを小馬鹿にしているような
尊大な教員。。。欠片も興味沸かなかったね!
「キースクの製紙と紡績工場は順調かな?」
「そうですね。概ね予定通り、木材パルプからの植物紙の
増産には成功しました。金属加工部が蒸解窯の製造、化
学工業部が炭酸カルシウムとラテックスを製造できたので
製紙部ではデンプンを抽出するだけで済みました。
早めに価格を下げて植物紙を広めてしまいたいと思います。
紡績は機械化が完了してますので、綿、ウール、麻、絹
の製糸及び布の製造が格段に増えました。
今後は化学工場の化繊(ナイロン、ポリエステル、レー
ヨン)待ちですね。」
「化繊工場もこちらに必要だな。リンド辺りに機械織工場
と既製服工場を建設するか。。。お財布の中身次第だけど
早めに対応するよ。」
「よろしくお願いします。」
頭の痛い出費の話だかりだな。。。
昨日のうちにカツアゲして行ったマナミは
実はすごい奴なんじゃないか?
セイヤと別れて、鉄鋼、金属加工、ガラスを統括して
いるオオワシの所に向かう。どうせ鉄鋼工場だろう。
化学工場から防壁内に入り、念のためオオワシ工房にも
寄ったが、やはりオオワシは鉄鋼工場のようだ。
そのまま官庁街抜けて飲食店街に寄って、軽く昼食を摂
った。この飲食店街は俺の資本が一切入っていない他商会
や地元の人間によって経営されているので、視察がてら寄
ってみたのだ。
普通に美味しいのだが、やはり焼くだけか煮るだけのメ
ニューであり、香辛料控え目で出汁の概念が薄い感じだ。
この辺は洗練されてくれば変わって来るだろう。
まあ、キョウコとミナミはあからさまに二度と来ないっ
て顔をしていたが。。。
ゆっくりお茶を飲んで、そろそろ昼休憩も終わった
だろう時間を見計らって鉄鋼工場に向かう。
1ブロック前からすでに暑くなって来ている気がする。
これ健康にもよく無いな。。。
鉄鋼工場は製鉄工場で製造された鋼材を加工したりする
工場で、三角形の敷地の北側半分に東西800m、南北500m、
高さ50mの巨大な建屋があり、南側半分はドッグ向けの通
路兼加工場になっている。
建屋の中は北側の50mが6階層のビル形状だが、1Fは
天井高10mの倉庫及び研究開発棟で、会議室や指揮室、食
堂や休憩場等は2F~6Fに配置されている。
俺は6Fの指揮室に向かい、手近な人間にオオワシを
呼んでもらう。
この工場はかなり広いので最上階に指揮所を設けている。
工場内の全体状況を把握して指示をするためである。
鋼鉄工場は基本的に東の製鉄工場から原材料を入れて
西から出荷される。内部は幅50mのレーンがA~Fの
6レーンありそれぞれのレーン間には20mの通路がある。
レーン自体は4分割のエリアに別れており、A-1→A-2→
A-3→A-4で完成の流れを取っている。
現在460名が所属しているので、あちこちで溶接や溶断
の火花が散っており、パレットを用いた鋼材の移動も頻繁
に成されている。
一部特殊なパレットも見受けられてH鋼がパレット化さ
れてフックにより吊り下げて長い鋼材を移動している姿も
見受けられる。
特に指示した覚えは無いので自分たちで必要性から開発
したのだろう。非常に良い傾向だ。
「御曹司。呼んだかい?」
キョウコが氷の視線を向けた。
「指令、勘弁してくださいよ~」
と言いつつも意外とこれだけの付き合いになると
オオワシも慣れて来たようだ。
「キョウコ、ここはオオワシの専門フィールドだ。
口調くらいは大目に見てやれ。」
「御意!あとでアヤメと雑談はしますが。。。」
オオワシが青い顔になった。。。。
尻に敷かれている。。。そこは変わらないのね。。。
「オオワシ。今日は金属加工全般に関する視察だ。昨日は
ドッグの方も見て来たが、溶接や溶断の技術が取得出来
てかなり動きが良くなったな。」
「はい、化学工場に頑張って貰った甲斐があります。
もちろん、付与魔術のパレットの存在無しには考えられ
ませんが。
ただ、いずれにしろ現在の人員と設備だと一杯です。
ワイヤー、網、ボルトナット、螺子や釘は専用の工場が
欲しいです。また規格鋼材扱いで鋼管を製鉄側で管理し
てくれているので助かっていますが。ボルトナットとワ
イヤーとスプリングは工房の方で作ってこちらに戻して
いる状態です。
それらの専用工場を作った上で、車両工場を別に
作って開発込みで分離して貰わないと、4~500人では
研究までは手が回りません。結果、時間をロスするか
と思いますよ?」
「うん。その辺は考えてはいる。将来的に現在のタイール
は化学関連と造船用の鉄鋼に絞って、大河沿いのリンド
に車両工場と関連工場を移したいと思っている。
ちょうどセイヤとも織物工場と既製品服工場をリンド
辺りに建設する案を相談していたしね。」
「大河沿いに船舶が使えるのは良いですね。生粋浅めの船
を開発しなきゃならんですが、陸路より大量に運べます
から。」
「まあ、結局お財布の中身に依存するんだけど、すぐには
難しい。発電所量産の目途が立ってからと思ってくれ。」
「この近代工業ってのは電気が主体だし、色々な要素が複
雑に絡まってるから難しいのは判っていますよ。製鉄所
だって、化学工場から添加物開発して貰わないとステン
レス だって製造できなかったしな。」
「ああ、そうだった。。将来的に軽量金属の需要が増え
るからアルミニウムに手を付けたい。電気を大量に使う
のは気が引けるから、焼成して炭化アルミニウムから作る
からボーキサイトが欲しいな。」
「火薬の製造や硫黄の精製もあるからリングウッド近郊の
河川沿いで開拓村のリムダ当たりを開発したらどうだ?
リングウッドの鉱山も産出物を見直さないとだめだろ
う?まあ、ボーキサイトの産出場所によるか。。。
国外ならリンドの方だな。ちょっと調査しといてくれ」
「アヤメに頑張ってもらいます。」
「ああ、依然言われた刀拳銃は出来ています。約100丁で
紋章とナンバー入りが2丁づつに、ホルダーと弾薬が
各1000発ですが、どうしましょう?」
「キョウコ、受け取っておいてくれ。領都で試射して配布
しよう。」
「御意!」
「オオワシ、お代だ。白金貨10枚で足りるか?」
「御曹司、1枚で十分だよ。残りは兵器開発資金にさせて
貰う。」
「ああ、じゃあ小銃作ってくれ。個人携行火器を徐々に
揃えたいからな。あとでデザインを渡すが、イスラエル
のTAR-21の7.62x51mmバージョンだな。
面倒だから弾薬は7.62mmNATO弾で統一する。5.56mm
だと軽くて狙撃や分隊支援火器には使えないだろう。
パレットの開発で運搬重量は軽減できる目途が立って
いるしな。」
「ちょっと待ってくれ。これブルパップか。。。
斜め上に来たな。了解した。」
まあ、後装式の自動小銃研究してたのは知ってたけどね。
ブルパックは予想外だろう?全長短くなるから取り回し
が良いんだよね。
「艦船系の後装式連装砲も開発しているんだろ?」
「よく判ったな。。。下の秘密区画でやってるよ。鉄鋼船に
前装砲って訳にはいくまいよ。それまでには何とかする
よ。」
「あはは、頑張ってくれ!」
こうして、重工業都市としてのタイールの視察を終えて
帰路についた。。。
(白金貨3大金貨2金貨5大銀貨7銀貨7大銅貨2銅貨2)




