第26話 港湾都市タイール
カトリナ姉様が学園に行ってから2年が経った。
今年はアルス兄様とレイコ、来年はネイト姉様とミズキが
入学する。まるで娘を嫁にやる気分だ。。。
現在の開発状況はと言うと、オオワシ工房とドワーフは
1年ほどで常圧蒸留装置を開発して、エチレン、ガソリン、
灯油、軽油を生産する事に成功していた。
しかしながら、原油は精製すると、天然ガス、エチレン、
ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルトが満遍なく
精製される。
現状、天然ガスは風魔術で大気放出、アスファルトと
重油の混合物は常圧蒸留装置では分離できず、
溜まってしまう一方である。
このため、概ね10000Lの軽油を生産した後に一旦、
精製を停止させた。天然ガスの分離貯蔵装置、減圧蒸留
装置の製作とプラスチック、ディーゼル機関の開発を
行っている。
尚、ドラム缶はドワーフが当面の分を作ってくれた。
この研究開発は約束通りに遺跡基地を稼働させて行って
いる。
キースクではコンクリート工場が稼働して、金属工房
製作の鉄筋と合わせて、鉄筋コンクリートの製造が可能に
なった。
逸早く、鉄筋コンクリートの土木建築技術を習得した
シェルム商会の建設部隊が現在、キースクの外周+4km
地点に鉄筋コンクリート製の防壁を建設中である。
厚さ1mの逆T型壁を10mの高さで、2列に建設した後、
最後に壁の間を土砂で埋めて、コンクリートで蓋をする
工法で現在外周の3/4が完成している。
今回拡張した部分には近々、4圃式農法を導入する
予定である。また、領都近郊の植物紙工場の手作業が
現界に達して来ているので、キースクの領主館予定地に
木材原料の動力式植物工場を新設する予定だ。
詳細は
こんな感じ。。。
金属工房は耐火煉瓦の製作に成功すると、転炉を開発
して、再拡張した区画の新たな金属工房に設置した。
ドワーフと共に転炉を運用、炭素鋼の製造、調整を可能
にして量産を開始している。
規格品の規格は出来る限りJISに合わせるようだ。
コンクリートの製造が可能になり、土管が作れるように
なったのと、ドワーフの鉄管製作技術により、キースクは
上下水道が完備された。父上には領都にも設置を依頼されて
いるが現状は手が回らない。
ちなみに、産めよ増やせよの方針でキースクは出産
ラッシュに沸いている。人口が12200人で年4000人もの
出生は脅威だ。大きな学校を作って置いて良かった。
どこぞの伯爵領から救出した女性奴隷も現在は立派に
社会復帰してシェルム商会の戦力だ。
シェルム商会に関しては。。。。
すまん。。。としか言いようがない。
2年前に旧カシム商会の店舗、人員を吸収した段階で
150名でしかなかった人員が現在928人になっている。
これは、天然ゴムの仕入れの為の獣王国支店の設置
行ったこと。天然ゴムや鉱石の調達のための資源開発部
の設立と、主要都市に服飾部門と外商部(貴族・王族専門
の御用聞き部署)を設置した事。
それら伴う各種輸送部門の増強による。商隊・輸送隊が
27商隊405台・名の荷馬車と人員を擁している。
仕方が無いので、メイド部隊(旧奴隷106名)は商会に
移籍させた。また(生還の理)に学校部門と孤児院の教員
を任せて商会は本業に集中させた。
でも、やっとだ。。。
徐々に近代化の下地が育って来ている。
たった2年だけどね。。。
ディーゼル機関の目途が付いて来た以上、
今後は大量輸送や海運の模索といよいよ兵器開発ですな。
ちなみに、ざっくりした2年間の商会収益は
リバーシ(普)5,000台 利益 0.25億
リバーシ(高) 200台 利益 1.00億
井戸ポンプ3,000セット 利益 0.90億
ブラ(普) 200,000着 利益 20.00億
ブラ(高) 2,000着 利益 40.00億
既製服(低)200,000着 利益 20.00億
既製服(中) 50,000着 利益 25.00億
既製服(高) 10,000着 利益 30.00億
既製服(特) 300着 利益 6.00億
馬車改良(荷)2,000台 利益 5.00億
馬車改良(箱) 50台 利益 20.00億
租鋼 1,000t 利益 0.50億
輸送転売 17商隊分 利益170.00億
植物紙 100,000枚 利益 10.00億
売上高 368.65 億
粗利益 165.09 億
税 36.865億
ギルド上納 0.8 億
最終利益 127.825億
白金貨127枚 大金貨4枚 金貨2枚 大銀貨5枚の
利益で言うほど儲かっていない上、輸送転売利益が
一番でかい。
何故かって?
荷馬車15台の商隊を17商隊編成して、王都に4隊、
北都、南都、東都に各2隊、国外貿易に3隊が常時
動いているので、王都は4日起き、各都市にも8日置きに
商隊が往復している。
また、領内は4隊が時計回りと反時計回りに各2隊づつ
常時巡回している。
このため、他商会の輸送依頼品を高値で引き受ける事も
多い。なお、領内資源輸送は別に10輸送隊が専属稼働して
いる。
そのまんま運送業者ですな。。。
気苦労を掛けている父上に、白金貨50枚ほど上納して
おきました。
さて、そろそろ我が領唯一の港湾都市の視察に行こう。
まだまだ先だけど、海軍戦力は必須だからね。
「キョウコ、タイールに視察に行くよ。アルス兄さんは引
越しで忙しいだろうから、サスケとミズキ、ツクヨミと
ネイト姉さんを連れて行こう。
キョウコは俺とオーサで行くよ。」
「かしこまりました!」
ワイバーン2頭とオーサの3頭で港湾都市タイールを
目指す。のんびり飛んでも直線距離で1時間掛からない。
途中、タイールとリンドの間でシェルム商会の商隊を
見かける。あれは反時計回りだからB2商隊かな?
タイールはミルス大河の河口北側に位置する漁村を拡張
した人口18,000人ほどの都市だ。領都の半分弱位の人口
規模である。但し、港湾都市とは名ばかりで河口の肥沃な
扇状地を利用しての麦作が主な産業だ。
漁業従事者は1000人200世帯ほど、実際に漁を行うの
は250人100隻ほどの漁船だけだ。
この都市は扇状地の砂浜に沿って陸地側に円弧を描くよ
うに形成されている。
これは、この世界では海の魔獣はそれほど頻繁に出現せず。
出現しても強い魔獣は極わずかなために、海側に防壁を
設置する必要が無いためだ。
砂浜の丸太の上には漁船が引き上げられている。
俺たちは東側の防壁門の前に着陸して、東門に歩いて
向かう。飛竜たちは海で餌でも取るのだろう。間を置かず
に飛び立っていった。
東門の衛兵の前まで行くと、10人残後の人間が順番待ち
をしていた。特に連絡もしていないのでのんびりと順番を
待つ事にする。
防壁は石積みではある物の高さが3m程で、厚みも50cm
位しかない。前世のちょっと立派なお宅のブロック塀だな。
しかも老朽化して馬車からの振動だけでガタガタ動く。
防壁の中は住居がメインらしく、農地は防壁の外に広
がっていた。海に近すぎて潮風がきついせいか、目に見え
る農地の麦の生育は芳しくない。
等々考えていると順番が回ってきた。
「タイールには何をしに来た?」
衛兵の責任者らしき者が質問してくる。
「視察です。この都市の現状を確認して大規模な投資を
行って拡張するべきなのかどうか。する場合には、どう
いった計画で行うのかを視察しに来ました。」
「ごほんっ失礼しました。まずはお名前からお聞きする
べきでした。私はタイールの衛兵分隊長のブロンと言い
ます。」
「いえいえ、こちらこそ。私はロンドベル辺境伯家次男の
ラファエルと申します。あちらは姉上のネイトベル、
従者兼護衛のキョウコ、サスケ、ミズキです。」
「なっ!はっ。。。
そう言えば従者様の紋章はシェルム商会の馬車に
施されている紋章と同一でした。
大変失礼しました。お許しを。。。」
ブロンは跪いて精いっぱい頭を下げる。
部下の衛兵も同様に頭を下げた。
「気にしなくて良いですよ。特に連絡もせずに
来ましたので。でも、紋章は覚えてくださいね。
私個人の紋章で私の配下、工房、商会にも
使用させていますから。」
「「「はっ!承知しました。」」」
うん。。。練度は低そうだけど職務には忠実な人っぽいね。
「出来れば誰か町長の所に案内して欲しいんだけど
頼めるかな?」
ブロンはほんの一瞬考えて部下を見たあと、
「では、私がご案内します。」
「お前達はそのまま業務を続けろ、問題があったら小隊長
の指示を仰げ、良いな。」
「「はっ!」」
ブロンは部下に簡単な指示をした後こちらに向き直った。
「では、こちらから参りましょう。」
東門から町に入って中央部に向かって歩く、この辺りは
宿屋や道具屋などが立ち並んでいる。 街路は街道よりも
極端に狭く、幅3mほどで馬車が通ると接触しそうだ。
南北との十字路付近には冒険者ギルドと教会、シェルム商会
の支店があった。
町長宅はそのまま西に向かった海沿いに建っていた。
潮風に備えてか、防風林のような松に囲まれるように、少し
大きめの平屋の建物だ。屋根は瓦屋根のようだ。
これも風に備えての事なのかもしれない。
ブロンが町長に来客を告げに行っている間に皆と念話をする。
・・・キョウコ、サスケ、この街をどう思う?・・・
・・・寂れていますね。・・・とサスケ
・・・活気が無い・・・とキョウコ
なかなか、熾烈なコメントだ。。。
・・・ネイト姉、ミズキ、この町はどう?・・・
・・・潮臭い・・・とネイト
・・・魚市場が無いです・・・とミズキ
ああ、途中魚市場が無かったな。。
串肉の屋台は有ったけど、あれはどこでも食べれるしね。
「お待たせしました。私がタイールの町長で代官に任命
されておりますモリスです。よろしくお見知りおきを。」
慌てたようにやって来て跪いた町長が挨拶する。
「ああ、そんなに気を遣わなくても大丈夫ですよ?
連絡も無しに急に来ましたから。その方が視察になる
かな?と思いましてね。」
「ここでは何ですので、屋敷の応接室へどうぞ。」
「私が案内します。」
ん?ブロンさんが中まで案内するの?
まあ、いいか。。。
応接室に入るとメイドがお茶を入れようとしたが、
例のごとくキョウコが変わってお茶を入れてくれている。
「えー、本日はどのようなご用向きでしょうか?」
モリスが聞いてくる。
「先ほどブロンさんにも簡単に話したのですが、この町の
現状を視察して、現在どのような問題があるのか?
今後、拡張が可能なのかについて、判断するために
来ました。」
「なるほど、では臨時徴税や罪人の告発とかでは無いんで
しょうか?」
重ねてモリスが確認してくる。
「そんな話が有るのですか?
臨時徴税は一時より税収が改善してきていますので、
現時点では必要ありません。
罪人は。。。居るなら教えて貰えれば対処しますよ?」
「ほら、ブロン。大丈夫だよ。業務に戻りなさい。」
「わかりました。失礼します。」
「??どうしたんですか?」
「申し訳ございません。ブロンはラファエル様の色々な
噂を聞いていて、私に危害が及ぶのでは無いかと心配
してくれていたのです。本当に申し訳ありません。」
モリスは机に額が付くほど頭を下げて話した。
「あ~、身に覚えがあり過ぎるので仕方ないですね。
でも、切ったのは商業ギルドと冒険者ギルドと傭兵
ギルドのギルドマスターだけ。。。。」
「ラフィー、それ逆効果だから。。。。」
ネイトが指摘する。
「あ、いや、まあ2年も前の話ですよ。。。」
「坊ちゃま、それも逆効果でございます。5歳児が。。。」
キョウコが重ねて指摘する。
えーと。えーと。。。
「モリス、この港町で現在の何か問題は起きている?
あまり活気が感じられなかったんだけど。」
・・・話題を変えた・・・(ネイト)
・・・話題を変えましたね・・・(キョウコ)
・・・ラフィー様力業ですね!・・・(サスケ)
・・・。。。。。。・・・(ミズキ)
・・・いや、ミズキ無理に念話しなくても良いんだよ?・・・
「そうですね。近頃は定期的にシャルム商会の商隊が
来てくださっているので、不足している品はございま
せん。問題は皆お金が無い事ですかね。」
「買いたくても買えない状態に陥ってるんですか?」
「そうですね。潮風にさらされた麦では買い叩かれて
しまいますので。。。」
「漁業は?」
「漁はしておりますが、日持ちがしないので交易には
向きませんので必然的に町の需要分しか取らない。
取らないから漁師も稼ぎが足りず、土いじりを初めて
しまう。と言った感じです。
まあ、その麦も数年に一度は大河の氾濫ですべて
流されて借金まみれになってしまうのですが。。」
ああ、そうね。そもそもこんな大河の河口で農業を
しなくとも、支流と湖に挟まれたもっとリンド寄りの方
が氾濫も無いだろうしね。
「ああ、大体理解しました。そもそも農業するならここ
ではない。もっと湖と支流沿いの方が塩分の心配も無く
氾濫も少ないと。
そもそも、何故漁村のタイールを拡張したんだって話
ですよね。傷む前に魚を売れるとしたらラジアッド位
までですもんね。」
「あ、いや、そこまではっきりと言ってしまうと
当時のご領主様のご判断にケチを付けているようになって
しまいますので。。。」
「気にしなくていいですよ。困っているのは住民であり、
町長でしょう?」
「私がキースクで行った、村の拡張を知っていますか?」
「話には聞いております。見に行った事はございませんが」
う~ん。そっか。。この時代の移動は命懸けだもんな。
「私は、領主の嫡男としても個人的にも辺境領内に貿易港
と漁港、軍港を併せ持った港湾都市を一カ所開発したい
し今後の発展のために必要だと考えています。
ですが、生活が一変しますし、住民の皆さんが本気で
現状を何とかしたい。と思わないと成功しないでしょう。」
うーん、どうしようかね~
「そうですね。私も暇では無いので、モリスを含めて町の
代表を12人直ぐに集めてください。その内、漁民1名、
女性2名を必ず入れてください。」
「キョウコ、12人すぐ呼んでくれ、探索組も何組か戻って
居ただろう?30分後だ。」
「御意!」
「サスケは東門外に場所を確保して15頭着陸させてくれ」
「御意!」
「モリス、30分後に東門前に集合で良いな。先に行って
待っているぞ」
「しょ、承知しました。」
町長宅を出ると、急いで準備を指示している、モリスの
怒声が響いてきた。
東門に戻る途中にシャルム商会の支店に寄って、モリス
の言っていた事の裏付けをとる。概ねみんなそんな認識
のようだ。俺への評価もね。。。。。
東門に着いてしばらくすると、オーサと2頭のワイ
バーンが満足そうな顔をして着陸して来た。
オーサは念話を使いお腹がいっぱいだと伝えて来る。
オーサの頭を撫でていると次々とワイバーンロードが
着陸して来た。
領都に居たヤマト、セイヤ、ミナミ、ユウタ、
ちょうど帰って来て、キースクに居た探索組のアツコ、
マサキ、ケンタ、アケミ、チエコ、マユミ、
キースク駐留組のユウコとキミカが降りて来る。
東門の衛兵は揃って腰を抜かしてしまい。死を覚悟
した顔で一様に天を仰いでいる。
そこに真っ青な顔をしたモリス以下10名の町民が姿を
現した。リアクションが一緒で困る。
「モリス、もう一人はブロンだな?」
モリスは無言で首をうんうんと縦に振る。
「よし、時間がもったいない。みんなそれぞれ一人づつ
乗せてキースクだ。ああ、ユウタはそこの衛兵分隊長
を連れて行ってくれ。」
「御意!」
皆がどうやって飛竜に住民を乗せようかと考え始めたが、
ユウタが飛竜とコミュニケーションを取ると、飛竜は
ブロンの革鎧の首筋を咥えて引っ張り上げ、背中に放り
投げてユウタがキャッチして騎乗させた。
残りの11人が絶望を感じると同時に次々と飛竜の背中
に放り投げられて行く。失禁しないようにね。。。
驚いた事に女性が3人居て、彼女らはきゃっきゃっと
楽しんでいた。
やっぱりいざとなると女性は強いな。。。。
俺たちもオーサと飛竜に乗ると一路キースクに向かう。
皆に念話で指示をして、キースクの上空をゆっくりと周回
させて、キースクの惨状を見せつけてから飛竜の放牧場に
着陸した。
どこからともなく、メイド部隊が現れてタイールの住民
に冷たいお茶を振る舞う。続いてザンザが現れて皆に挨拶
をした。どうやらモリスとは顔なじみの様だ。
キョウコの手配だな。。。相変わらずできる女である。
再拡張中のキースクだが、新工場も含めて学校や公衆浴場、
新・旧宿舎を見学して貰い、出荷場の凄まじい量の商品や
畜舎の家畜も見学して貰う。
その後は新築移転したザンザの村長亭に移動して、
会議室で食事をしながら感想を聞き、打合せを行う。
「寿命が50年ほど縮まりました。。。」
とモリスが言う。
そろそろ寿命らしいな。
「まさか、ここまでとは。私は5年ほど前にキースクに
来た事がありましたが、掘立小屋が200軒位建っていた
だけだったのに。。。」
ブロンは来た事が有ったみたいでしみじみと語った。
「無料で勉強ができる町があるってホントの事だったんだ
ねえ。シェルム商隊の人に嘘つき呼ばわりして悪い事
しちゃったねえ。」
肝っ玉母さん風のふくよかな女性が言う。
やっぱり実物を見ないとだめだな。
「一応補足しておくと、今の二重の防壁の更に内側に一回
目の防壁を作って拡張したんだが、2年で土地が足らな
くなったので、現在の防壁を半年前から作って、この2
か月ほどで新しい建物を作っている。」
「そんなスピードであんな頑丈で背の高い建物が作れる
のか。。。」
商人ぽい住民が驚いている。
まあ、鉄筋コンクリート造の4階建て集合住宅だからね。
「製材所を除いてみたが、見事な木材が山のようにあった。
うちの町の船大工に教えてやりてえもんだ。」
ああ、そっか、船は木造か。木造船に耐水コートでも
するか。。。本命は金属船だけど。。。
あ、その前に動力船だったな。外輪船とスクリュー船
どうしようかな?外輪船は蒸気機関と一緒にスキップ?
でも、大規模発電に蒸気は絶対必要だからな。。。
「さて、そろそろ本題に入ろうか。
今回、キースクを見て貰ったのは、もう判ったと思うが
タイールを根本的に近代化しないか?
近代化した町の実例はここにあるぞ?って事だ。
まあ、本当の近代化はこれからなんだけどね。
そして、女性陣においで頂いたのは、女性は現実的だ。
夢のような話にただ流される男性とは違った見方ができる。
そして、人類の半分は女性だからね。女性の賛同と協力が
無ければ立ち行かない。
漁師を入れて貰ったのは、私はタイールの魚を1年以内
に領都や領内の他の都市に販売したいと考えている。
また、新たな船の建造と外国との交易も視野に入れている
ので、意見を聞きたかったからだ。」
「まず、タイールを拡張する前提として、疑問や意見、
場合によっては条件を言ってみてくれ。
大丈夫、ここで誰がどんな口調でどんな意見を言って
も処罰は一切しない事を約束する。証人はザンザだ。」
「じゃあ、私から聞くよ?御曹司がそうする事によって
領内が潤って領主様が儲かるのは何となく判る。
では、私らにはどんな利益がある?」
さすが、肝っ玉母さん。それ町長が真っ先に聞く内容だよ?
「いくつかある。まず、現状の農業は上手く行っていない
だろう?世帯収入は年間で金貨1~2枚?川の氾濫に
よっては0枚って年もあるだろう?
この町のように新たな産業を興す。もう飢える事も
無くなるだろう。
それから、この町には孤児院が有って満員だが、孤児
は一人も居ない。あれは保育だ。幼児を集めて預かって
いるんだ。この町の今年の出生数は、簡単言うと夫婦1.5
組に1人だ。
職が有り余って常に労働者が足りないから給金が高い
んだよ。みんな身ぎれいでやせ細った人なんて居ない
だろ?
キースクの一人当たりの給金は年間金貨4枚だ
世帯じゃないぞ?1人だ。夫婦なら8枚、2世帯が働いて
いれば16枚だな。」
ごくりっ。。。肝っ玉母さんの喉が鳴る。
「で、でもあんな住宅や宿舎に幾ら払えば良いんだい?
私らはそんなお金は持っていないよ?」
「ああ、不公平で済まないが私が拡張する。って、決めた
タイミングにおいてのみ無料だ。宿舎は多少の家賃は
貰っているかな?
簡単に言って17mx20mの大きさで月銀貨2枚だそうだ。
ただ、基本的に元の住民は単独の住居を建てているな。」
「町を改造する間の住処は?働けない間の税金は?」
「今回は隣接に新しい都市を建設して、移住して貰って
から今の町を取り壊す。取り壊しは必須条件だ。後々の
拡張の邪魔になるからな。
税金は1年間は免除する。新規都市への移住だから
減収は最低限で済むだろう。尚、引っ越し準備金として
世帯当たり金貨1枚を支給する。」
「まあ、手厚い保護を出すから皆も一丸となって、自分の
事くらいは自分でやって欲しいって感じだな。」
肝っ玉母さんはホルスに向き直ると
「あんた!最初で最後のチャンスだよ!
幸運の女神には前髪しか無いからね!」
おお、彼女はホルスの女房だったみたいだ。
男性陣は彼女に押し切られて終わりかな?
「俺も聞きたい。
俺たちの獲った魚を領都にって言ってたが、
そんな事できるのか?
今までだって出来なかったんだぞ?」
漁師が聞いて来た。
「あ~、あらゆる中で一番ハードルが低い問題ですよ、
まず、やらないけど簡単な手段はみんなが乗った飛竜
なら領都まで2時間掛からないですよ?上空は気温が
低いからそのままでもたぶん腐らない。
心配なら私の配下の7割は氷魔法が使えます。
私が1年以内と言ったのはもう少し現実的で、
まずすぐにやれるのが干物ですね。取った魚を腹で
開いて内臓を出した後、塩水に30分付けて、天日に
1時間、日陰で3~5時間潮風に充てて干す。
これで、常温でも1~2週間では腐らないです。
しっかり水分を抜いてくださいね。
ちなみに昆布などの海藻類や貝類でも乾燥させるのは
有効です。生とは違いますが、これはこれで焼くと
おいしいですよ?
で、1年以内の方ですが、馬車に据え付ける冷蔵庫
(氷室)を作ります。街道の整備と荷馬車の改良で今ま
での半分の時間で運搬が可能になりつつあるので、
24時間以内に輸送するか、凍らせれば生の魚も食べる
事が出来ます。製造開発はオオワシ工房、輸送はシェ
ルム商会ですね。」
「ぬう。御曹司にはもうその未来が見えているようだな。
儂もこの話には乗るべきだと思う。」
「で、では、私も。。。農業をやめる場合の新たな産業とは
どのような物でしょうか?我々でも出来ますか?」
農家の人なのだろう。転職前提で聞いてくる。
「基本的に私の配下は工房、商会、冒険者ギルドから
輸送隊に大工集団と多彩な職種があり、いずれにしろ
タイールにもそれぞれの支部なり分隊が出来ると思うの
で職業は選べます。
新たな産業として考えているのは、
・大型船による遠洋漁業、
・大型船による他国との交易、
・大型船による海上領軍の設立
・造船所
・鉄鋼精製所
・原油精製所
・これらの港の管理業務
・交易拠点としての倉庫、物流業務
と言った所ですかね。今のところは。。。
また、ここキースクに倣って学校も建設して、子供や
皆さんの将来に備えられるようにしますよ?」
「ちなみに、了承した場合いつ頃から新しい街を作るの
ですか?」
ブロンは最初から乗り気だったようだな?
「最短で、2カ月後からですね。ここの防壁を完成させて
職人と資材をタイールに回すので。」
「わかりました。今決めました。
是非とも実施をお願いいたします。
住民は我々が今日見た事を話して説得します。
反対する者には町を出て貰う覚悟で説得しますので
お任せください。」
「わかった。頼むよ、今のところタイールの人間から
私の配下は居ないけれど、当面はアドバイザーとして
誰かを派遣する事は了承してくださいね。」
「「「かしこまりました。」」」
「もう。。。。これだからラファエル様ったら。。。。
皆、聞け!ラファエル様の臣下で№2ツクヨミである。
ラファエル様、総司令№1キョウコ様の前で僭越では
あるが、一言だけ言わせて貰おう。
我らが東方イースト国の国主一族がラファエル様に
臣従している意味を考えなさい。
ラファエル様は主神アルテイシア様の使徒である。
既に教会も臣下に下った。
ラファエル様の信頼を裏切るなよ。
その時、我らは最後の一人まで刈り尽くす。
これは脅しではないぞ?
厳然たる事実で、忠告だ。努々忘れぬように。。。」
うわー、ツキヨミの目が「ラフィー様は優しすぎます」
って言ってるのが見える。。。黙っとこ。。。
俺も天邪鬼なのでその後の臣下の申し出はスルーした。
食事をして送らせようとすると、食事にアジの開きが
出て来た。美味い。。。御飯が欲しいな。。。
そっか、利用可能な農地でコメを作らせよう。確か
東方イースト国で栽培していたとか言ったな。
干物と一緒なら間違いなく売れるな。
しかし、さすがキョウコ、さっきの説明でもう天日干し
の干物が出て来るとは。炭火なのも良いな。
今晩もキョウコを甘やかしそうだ。。。
(白金貨289大金貨3金貨9大銀貨0銀貨3大銅貨2銅貨2)
当方、初めて物書きに挑戦いたします。
誤字脱字、読みにくい等のご指導をお願いいたします。
豆腐メンタルなので過激な指摘はご容赦くださいますようにお願いいたします。
ブックマーク、感想、レビュー、評価、大変励みになります。
ありがとうございます。




