第23話 魔導師ギルド
翌朝、恒例のキョウコさんはスルーして朝食を摂り、
優雅に紅茶を飲んだ後にふと思い出した。
「そう言えば、魔導師ギルドに顔を出してないよね」
「そうでございますね。でもあの二匹のメス猫はラフィー
様に色目を使って居ましたので、わざわざ行く必要も
無いかと思いますが?」
キョウコが不穏な事を言い出す。
「いやいや、臨時税も即金で払って貰ったんだからさ」
「かしこまりました。」
魔導師ギルドは領都の西の外れにあった。
他のギルドは比較的に領都の中央部にあったが、
魔導師ギルドは防壁の近くに、こじんまりした
建物を構えていた。
看板には魔女っ娘の帽子と杖が描かれている。
ちりんちりんっ
今日はキョウコが攻撃的なので、俺が先頭に立って
扉を押し開き内部に入って行った。
「こんにちは~」
誰も居ないのかな?
内部は正面にカウンターがあり、両側面には棚が備え
付けられ、左の棚には薬瓶が、右の棚には本が並んでいる。
カウンターには人影が無く、潰れかけの薬屋にしか
見えない。
「誰も居ませんか~?」
再度声を掛けて帰ろうとすると。。。
「だぁ~待って待って!待って~や!」
どたどた足音がしたと思うとラシールとリシールの
2人組がカウンター奥の扉を開いて飛び込んで来た。
「お、お久しぶりです。ラフィー様」
「お久しぶりですね。以前のお約束のとおり覗ってみた
んですけど、ご都合悪いようでしたら出直しますよ?」
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
ラシールが丁寧な口調で応対してくれる。
「ここでは何ですので、奥に応接がございますので、
そちらへご案内します。」
リシールもやけに丁寧だ。
「わかりました。ありがとうございます。」
応接室はごく普通の応接だった。特に華美でも無く
質素だったり、散らかってる訳でもない。
リシールがお茶を入れようとしたが、キョウコが止めて
交代した。しかも袂から茶葉を出している。
四〇元ポケット?
いや、袂をマジックバッグにするのは有りだな。。。
帰ったらやってみよう。
「ラシールとリシールだったよね。今日はどうしたの?
えらい丁寧な口調だけど?」
「「い、いえ。これが地でございます。」」
「嘘つきは泥棒の始まりですよ?」
キョウコさんがお茶を置きながら殺気を出す。
「い、いえ、ラフィー様の最近のご活躍をお聞きしまして
尊敬の念を抱いただけの事です。」
ラシールが言い張る。
「正直に言っちゃいますと、お姉ちゃんはラフィー君と
ラフィー君の配下に怯えているんやで。」
「ち、ちょっとリシール!」
「そー言う事ですか、構いませんよ?
そんな口調くらいでは怒りませんよ。
以前の会合の刺激が強すぎたみたいですね。
タキールは心底、領主と私を馬鹿にしてましたから
口調の問題では無かったんですよ?
ねえ、キョウコ?」
「おっしゃる通りにございます。
我らはラファエル様に心酔しておりますが、
口調が無礼程度で切り捨てるほど狂っておりません。」
「そ、そうか。。。ちょっと安心しましたわ」
ラシールが胸を撫で下ろしている。
「でも、相変わらず皆さん年齢の割に強大な魔力ですね」
リシールが話題を変える。
「そうですかね?」
久しぶりに。。。「ステータス オープン」
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ラファエル ロンドベル
種族 人族 性別 男
年齢 5歳 Lv 31
HP 610 / 610
MP 3751 / 3751
筋力 124
耐久 122
敏捷 119
知力 120
魔力 121
【スキル】
wiki Lv 4 / 5 UP ※
経験値増加 Lv 5 / 5 UP ※
血族 Lv ∞ ※
ネットワークLv ∞ NEW
鑑定 Lv 5 / 5 UP
刀術 Lv 4 / 5 UP
盾術 Lv 3 / 5
体術 Lv 3 / 5
指揮 Lv 3 / 5
読書 Lv 5 / 5
算術 Lv 5 / 5
礼節 Lv 4 / 5
並列思考 Lv 2 / 5 UP
【加 護】
主神アルテイシアの加護 ※
火精霊の加護
水精霊の加護
風精霊の加護
土精霊の加護
光精霊の加護
闇精霊の加護
時空神の加護
【魔 術】
火魔術 Lv 4 / 5 UP
氷魔術 Lv 3 / 5
水魔術 Lv 3 / 5
風魔術 Lv 4 / 5
土魔術 Lv 3 / 5
雷魔術 Lv 3 / 5
光魔術 Lv 4 / 5
闇魔術 Lv 3 / 5
時空魔術 Lv 4 / 5
生活魔法
【称 号】
転生者 ※
アルテイシアの使徒 ※
性豪
辺境伯家 次男
覇王の卵
SSランク冒険者 NEW
SSランク冒険者クランマスター NEW
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うん。なんかよく判んないスキルが生えているけど、
魔力は121しか無いよ?
スキル「ネットワーク」ってなんだ?
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スキル ネットワーク
効 果 スキルを所持している人間は自分が一度でも
会った事のある人間に念話を送る事が出来る。
同時に複数人にも可能。ただし、一方通行で
送るだけ。
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また、チートなスキルだな。
しかも、組織拡大中のベストなタイミングで。。。
アルテイシア様ありがとうございます。
今度教会にお礼に行きます。
「ラフィー君ステータス見て固まってどないしたん?」
「いえ、何でもないですよ?
でも俺、そんなに魔力高く無いですよ?」
「ああ、そりゃ大人と比べればやね。
本来の5歳は魔力20位だよ?」
ラシールが言う。
「一般的には、ステータスは年齢×レベルに
比例するからなあ、仮にラフィー君がそのまま20歳に
なると魔力は500位になるんとちゃうか?
ちなみに、一流と言われる宮廷魔導師でもその半分やで。」
リシールが教えてくれる。
「なるほど。勉強になりました。
ついでに聞くんですが、魔術師と魔導師の違いって
何ですか?」
「ああ、大した事やあらへんよ?上級魔法が一つでも
使えれば魔導師やで。一般庶民は単純に高位の魔術師
って感覚やけどな。」
「もう一つ、以前臨時税を即金で持って来られましたが、
魔導師ギルドは何を生業にしているんですか?実は
良く知らなくて。。。。」
「あははは!こんな掘立小屋やからな。
魔導師ギルドは魔術師及び魔導師の指導と保護、処罰の
ためにあるんや、ちょっと他のギルドとは違うやろ?
別に仕事の斡旋もしていないしな。
魔導師なんて放っておいても冒険者や傭兵に引っ張り
ダコやからな。必要も無いんや。
それからギルドの生業やな。
そんなんだから基本的にギルド員からの収入は無い。
何故って、登録してないから。
なんで登録しないかって言うと、
すべからず魔術師と魔導師すべてを業務の対象
にしているから登録する意味が無いんや。
んで、しゃーないから内職やね。魔導師ギルド全体で
内職しとる。ラフィー君も魔石を売った事あるやろ?
魔石の99%の買い取り先が魔導師ギルドなんやで。
魔石には魔力を溜める性質があるんやけど、もちろん
大きさや品質によって、可能な魔力量は変わって来る。
その辺は企業秘密やな。
私たちはストア(魔力貯槽)を使って魔石に魔力を
込めて売ってるんや、だから魔導ギルドの幹部は時空
魔術を使える事が条件になっているんや。」
ラシールが詳しく教えてくれた。
「ちなみに買い取っているのは国や冒険者、傭兵が多いかな?
MP回復薬だとそんなに量も飲めないでしょ?業務用MP
タンクって感じかな?」
リシールが付け加えてくれる。
ん?ギビングの付与魔法で付与しないのかな?
「ちなみに時空魔術ならギビング(付与魔法)で付与は
しないんですか?」
「付与魔法なんてよく知っとるな?
時空魔術持ち自体がかなりレアな上に、時空魔術は
他の魔術に比べて成長が遅いんや、他の魔術の100倍
くらい経験が必要らしいで?知らんけど。
実際、初級魔術とは言えこんだけ毎日使ってるのに
私ら時空魔術はレベル2のままやもん。
昔は使える人間も居たんやろうけどな。
マジックバッグとか魔道具が残っとるし。」
魔術のレベルを上げるのは、ステータスの魔力、知力と
全体レベルの3つが必要だからな。時空魔術は引き篭りに
なりやすいから、上がらないんじゃないか?
「こないだの税金はちょうど良かったんや、誰かさん達が
大量に魔石を冒険者ギルドに売ってくれたから、稼ぎま
くっておったからな。今言われたらちょい厳しいわ。」
「なるほど。よく判りました。ありがとうございます。」
「ちなみに、魔石に自分で付与して売る事は拙いんで
すか?」
「別に問題無いで?
魔導師ギルドの副業でしかないからな。
実際、こんなシステムでギルドの維持は無理やし、魔導師
ギルドの役割はもう終わっているんや。
魔術、魔導師の処罰や保護は、ほとんど冒険者ギルド
がその役割を果たしておる。登録業務をしてないから
冒険者ギルドの冒険者登録の方が管理しやすいし、魔術、
魔導師は単体よりもパーティで活動しているからな。
実際、魔導師ギルドが既に無い領や国もあるで?」
ラシールが皮肉気に答える。
「そこで、ラフィー君。いや、ラファエル様にお願いが
あります。リシールだけでも、あなた様の配下にお加え
頂けませんか?この子はこんな所で燻って終わるような
子じゃないんです。」
ラシールが態度を改めて深々と頭を下げる。
「ちょっとお姉ちゃん!
いつまでも一緒って言ったやん!一緒じゃなきゃ嫌やで!」
リシールが怒り始める。
「そんな簡単に辞められるんですか?」
「簡単やで?領主と王国ギルドに解散届送って終わりや」
「退職金も出ないけどな」
ラシールとリシールが少しだけ悲しそうに言う。
「我には配下と部下が居る。
配下はこのキョウコを筆頭に39名の臣下で、
我の名代も務めている。
部下はその下に連なる者達でシェルム商会やオオワシ
工房の従業員、キースクの住民も含まれる。
臣下は我の使命に共に挑む者達、
そのためのすべての行動と結果を我が赦す。
なれど、その代価は己そのもの、死ねと言えば死に
生きろと言えば生き抜いて貰う。
君らはどちらを望む?」
2人は跪き相談もせずに声を揃えて言った。
「我らの忠誠を捧げます。どうか我ら姉妹を配下に!」
「うぬらの忠誠は受け取った。今この時より我が配下とする。
ラシールは配下表のⅩⅩⅠ、リシールは裏のⅩⅩⅠを与える。
詳しい事は総司令のキョウコに聞け。」
「「Yes your Majesty!」」
「やっぱり、こうなりましたね。。。
競争相手が増えるから皆でスルーしておりましたのに。。」
「まあ、意地悪しないで装備から揃えて上げてくれ」
「御意!」
「あ、そうそう、これ返すね!」
チャリン
白金貨を1枚ラシールに与える。
「内職代なんてもらえないよ。自前の退職金だね。」
「「ラフィー様大好き!」」
双子が両側から飛び付いてきた。
うわっ。。この子達ノーブラだ。。。
あ、何でもないです。。キョウコさん。。。
「キョウコ、この二人は一旦工業大学に放り込んで
少し勉強して貰おう。きっと俺の命題の工業と魔術の
融合の力になってくれると思う。」
「ああ、給金はみんなと一緒だから年間金貨14枚と大銀
貨4枚ね。はい、二人で金貨28枚と大銀貨8枚と
メイド服代4着で金貨10枚」
「御意!」
さて、帰ってお昼寝でもしよう。。。。
お昼寝から目を覚ますとキョウコも一緒に昼寝していた。
そうだ。。。
スキル(ネットワーク)を試してみよう。
心の中で「ネットワーク キョウコ」と念じて
・・・キョウコ、大好き!・・・
と念じてみる。
結構難しい。口に出した方が楽かもしれないな。
キョウコの寝顔が頬を染めて嬉しそうな笑顔に変わる。
良かった。。。5歳児で。。。あぶないあぶない。。
・・・キョウコ、起きて・・・
「う。う~ん。。。ラフィー様」
ぶっ!?いや、艶まかしくなっただけで効果無いな。。
「キョウコ、起きて!」
肉声で起こしてみると直ぐに反応して
「おはようございます。ラフィー様」
「うん。ごめんね。起こしちゃって」
「いえ、大丈夫です。」
キョウコ。。。キリッとしようとしていて可愛いな。。。
「魔導師ギルドで気づいたんだが、新しいスキルを
手に入れた。」
・・・キョウコ、聞こえる?・・・
キョウコは赤面しながら。。。
「は、はい。。。」
どうやら自分の醜態に思い至ったみたいだ。
どうしよう?めちゃ可愛いんですけど?
「このスキルは(ネットワーク)で、俺の逢った事の
ある人間に念話を送ることが出来る。但し一方通行
で送るだけのスキルだよ。」
「なるほど、では有効利用が難しいのでは?」
「いや?俺のスキル(血族)があるじゃないか」
「なるほど、ネットワークを持っている同士なら離れて
いても会話ができますね。確か。。。通信とか?」
キョウコが夜な夜なwiki見て、遅くまで勉強していた
成果だね。
「そう!通信ができる!」
「早速キョウコにスキルを与えるよ?」
そう言ってスキル「血脈」を使ってキョウコに
(ネットワーク)を与える。
「どうだろう?」
・・・ラフィー様・・・
・・・子種はまだ頂けませんでしょうか?・・・
・・・キョウコ。。。それを言う?・・・
・・・俺まだ5歳・・・
「これは使えるね!」
「はい!恥ずかしい事も念話なら言えますね!」
そんな使い方じゃないから。。。
「よし、ニムルとマナミを除いた配下全員にこのスキルは
与えよう。あの二人は既に2つ与えているからね。
誰か推薦して貰おうかな?」
「カトリナ様はもうじき学園に入学ですから、これで
いつでも会話が出来て喜ばれるでしょう。」
結論から言って、ニムルとマナミにも与えられた。。。
どうやら俺のスキルが新たに発現すると枠が増えるようだ。
スキルを確認したら4つまでに変わっていた。。。
ご都合主義チート過ぎる。。。
(白金貨176大金貨8金貨7大銀貨9銀貨3大銅貨2銅貨2)
当方、初めて物書きに挑戦いたします。
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