表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河戦争?こちとら中世剣と魔法の世界ですが何か?  作者: 窓際の憂鬱
第二章 幼少期
21/71

第19話 内政チートの残滓

「アルス兄様、ネイト姉様、サスケ周辺警戒を頼む!」

「「「御意!」」」


「残りの直属配下はこっちへ。」


「誰か気付いたか?」

「いえ、何をでしょうか?」

 キョウコが代表で答える。


「ここは、俺の元居た世界の都市だ。正確には廃墟だな。」


「地球の?ですか?」

「そうだ。。。かなり古い。。。コンクリートの原型が無い。」


「見てみろ。この下の石を。」


 アヤメが腐葉土を掘り返すと平らで固い層にあたる。

「?何ですか?これは。御影石?

 ですが、こんなに平滑なのは技術的にあり得ません。」


「うん。よくよく見渡すと樹木の根があんなに露出して

 いたり、全く根が出ていなかったりとかおかしいだろ?

 まるで、何かの上に生えて根を垂らしたような。

  あれは、倒れたコンクリートの建物の上に大木が

 育って いるんだ。」


 ようやく強烈な違和感の正体が分かった。



「・・・・アーティファクト・・・?」

 ツクヨミが呟く。


「アーティファクト?」


「はい。カトウ家の文献に出てきます。

 カトウ家の初代、使徒様が転生で現れた時代。

 それよりも遥かに古い異世界の技術製品があったと。

 眉唾だと思っていました。」


「ああ、そうか。。思い出した。アルテイシア様が言って

 いた。1000年以上前は使徒の世界の物品を直接、取り

 寄せる事が出来た。と」


「1000年前の遺物。。。。」


「ひょっとすると世界には幾つかのアーティファクトで

 できた遺跡があるのかもしれないな。」



「だが、あの岩山の岩壁にまだ違和感を感じるんだ。

 自然に見せかけて、異世界の技術が使われているような。」


「少し調査してみよう。」


「「「御意!」」」



 やはり人の手が入っている。

 岩壁自体が一旦洞窟を開けて蓋をし直したような。

 面倒になって来たな。穴を開けてみるか。


「ちょっと退いて居てくれ。」

「我は望む。岩壁を穿て。グローフレア」


 ビンゴ!溶解して正解だったな。。。

両開きの扉のサイズで穴が開いた。

一瞬、空気が吸い込まれる音がして切断した壁が

内側に倒れる。

陰圧?完全に密閉されていたようだな。


「キョウコ、入るぞ。」

 生活魔法のファイアを唱えて中に入る。


驚いた事に中は塵一つ堆積していない。

密閉した上で時空魔法でも掛けていたのだろうか?


岩壁の裏側は鉄骨で補強されている。

(川〇建材?JIS G 0000)ステンシルまで読める。


これは、転移者が秘密軍事基地として作ったのか?

エリ〇88のようだ。地上基地だけど。。。


 これだけ古いの基地の電源は死んでいるだろうな~

しばらく入って行った場所の壁面に配管が集中して

分電盤のようなボックスがある。


 無造作にカットオフスイッチを入れる。

驚いたことに。10m近くあろうかと言う天井の照明が

灯った。全体の1/4程度だが十分だな。

 密閉空間で火を使うのはぞっとしない。


「キョウコ、入口にサスケと兄さまを歩哨として

 配置。残りは全員中に入れろ。」


「御意!」



 特に工房の連中がガヤガヤ興味深めに入って来た。


「皆!我らが使徒の世界にようこそ!」




「とりあえず、この明りがいつまで持つのか全く

 分からない。まずは全員で5人程度のグループを

 作って、概要を探索する。

  工房の連中は絶対に!施設の物に手を触れない

 事!間違いなく申し渡したぞ!


  この遺跡は少なくとも100年以上は昔の物で

 奇跡的にこの状態で発見する事が出来た。

  もう世界中で二度と無い幸運だろう。

 何度も言うが、100年~1000年前のだ!

 破損した場合は取り返しがつかない。

  この遺跡の存在で君達の学習は20年進展する。

 この事実を噛み締めて探索に加わるように。

  

  なお、万が一、億が一、君らがこの警告を

 例えわずかでも無視した場合は、アヤメを含めた

 全員を私は躊躇無く処分する。

 絶対にだ!忘れるなよ!」


「オオワシ!返事をしろ!」


「完全に!毛ほどの疑問無く!理解しました!」


「うむ。探索して全容を把握、明りの稼働状態を確認

 でき次第、私がオオワシとアヤメ、シノブを伴って

 すべてを確認する。それさえ終われば君らの出番だ。

 場合によっては、工房と大学校の極秘部署をここに

 構える場合もあるかも知れん。

  それまで、目だけを動かし手を出さずに探索しろ

 以上だ。」


「その他の人間も同様に扉を開ける。締める以外の行動は

 慎むように。ここのように明りのスイッチを探して

 触れることも禁止する。生活魔法のファイアで明りを

 取ってくれ。」


「「「かしこまりました」」」




 俺はキョウコ、ツクヨミ、両姉さまのいつもの

メンバーで探索を開始する。

 ここは格納庫の出入口ホールのようだ。かなり広い

スペースで幅奥行共に50m近くある。右手と左手には

いくつかの鋼鉄とコンクリートで出来た扉が並ぶ。


 先ほども思ったが明らかにおかしい。いくら何でも

1000年前の遺跡ではありえないし、時系列的にも地球の

1000年前にはこんな技術は無い。

 あり得るとしたら、地球時間とこの世界の時間の流れが

違うのか、ポンコツなどっかの女神が現代社会の技術を

1000年前に飛ばしたか。


 そもそも、神の直接関与は1000年前に禁止されたと

言っていたが、地球からの物の取り寄せが1000年前とは

言っていないからな。

 一番可能性が高いのは、100年位前に地球の物を取り

寄せるチートでも与えて、調子に乗って未来の製品まで

与えてしまったってところかな?

 たぶん100年以上の時代差があると使い熟せないしね。


 皆は左右の扉に向かったので、真正面に向かって進む。

フロアの素材はコンクリートでほとんど風化していない。

突き当りらしき先まで進むと、およそ左半分はそのまま

続いており、右半分は上層に進めるようにスロープが

設けられていた。

まずは左側を進んで広大な格納庫に出る。


 幅100m奥行が50m高さ5mほどの空間にはさながら

展示場のように兵器が並んでいる。

 戦車は74式戦車、90式戦車、10式戦車に米軍のM60A1、

M1A2がほんの数台づつ並んでいた。

 装甲車はキャタピラ式の89式装甲戦闘車、AAV7が、

タイヤ式は96式装輪装甲車、16式機動先頭車と軽装甲

機動車が並ぶ。

 他にも99式自走155mmりゅう弾砲や87式自走高射砲、

90式戦車回収車や11式装機車回収車があり、03式中距離

地対空誘導弾とパトリオットも並んでいた。


 技術取得のためのサンプルとしてなのか、小隊や中隊を

編成するような数は無い。


 興味本位で10式戦車を弄りたかったが、さすがに何を

どうすれば良いのかわからないので、軽装甲機動車のドア

を開けて乗り込む。

 さすがにエンジンは掛からなかったので、みんなに

車両を押して貰うと簡単にエンジンがかかった。

 まだ、シートすら劣化が進んでいないので、今後の

リバースエンジニアリングに期待が持てる。


 一通り、危険等が無いか見て回ったのち、ホール右側の

スロープを上って2Fに上がってみる。

 上がった先は1F同様の広さの格納庫が広がっていた。

ここには、普通自動車やトラック、トレーラー、変わった

処では、汽車と電車などが並んでいた。

 そして奥の一角にはそれぞれ1機づつの零戦、F4、F14、

F15、SR-71の戦闘機、OH-1、AH-64E、UH-60のヘリが

鎮座していた。さすがにステルスや爆撃機は無いようだ。

航空燃料なんてあるのかね?


 ちなみに格納庫の右側の扉を開けると工作室らしき部屋

があり、旋盤やボール盤などの工作機械、及び拳銃、小銃

狙撃銃、機関銃に迫撃砲までが並んでいた。

 工作室を抜けた場所は各種の部品やよくわからない資材

と開けてみるのが怖いコンバットレーションの段ボール箱

が積み重なっていた。

 大きめの搬入用エレベータが2基設置されていたが危険

なので放置して、最初の侵入口方面に戻った。



 最初のホールに戻っていくと、シノブとオオワシが

手招きをしていた。最初のホールを入って左手の探索に

言っていたはずだが。。。


「お疲れ様です。我が君。

 この左手扉のすぐ脇に大きめの機械室がありました。

 浅学のため、どのように表現したら良いのかわかり

 ませんが、低い動作音と甲高い擦過音のような音がして

 おりますので、何がしか動作していると思われます。

 お手数ですがご確認をお願いしてもよろしいでしょうか?」


「嬢ちゃんの言うとおりだが、教科書で見たエンジンに

 似た物もあった。それと壁面を走っている管が集中して

 集まっている部屋のようだった。」


 シノブとオオワシの報告を聞くと、配電室かな?

コジェネか何かのバックアップ電源装置も備えている

かもしれないな。


「わかった。皆で確認に行こう。」



 2人の案内に従って向かった部屋は、まさに機械室と

言ったおもむきの部屋だった。


「結論から言うとここは発電室だな。

 良く教えてくれた。

  真ん中の2台はガスタービン発電機だな。

 その横がディーゼル発電機で300KWが4台あるな。

 壁際には太陽光発電の大型パワコンがあるが、どれも

 動いていないな。

  あの配管は何だろ?ああ、こいつが動いているな

 マイクロ水力発電機か。この岩山の上からそれなりの

 流量の水量があるのか。その水流をこの配管に流して

 いるんだな。耐用年数的にとっくに寿命が過ぎている

 だろうが、やはり枯れた技術の安定性はすごいな。」

 

「オオワシ、この機械はここの明りや動力のための

 重要な設備だ。自然に壊れるまでは絶対に手を

 触れるなよ?」


「了解した。俺とて暗闇の中では何もできんしな。」


 そうすると、ここを利用するための最優先事項は電力の

確保だが、早急に手当てできる安定的な方法はなんだ?

ディーゼル発電機やガスタービン発電機のアワーメーターが

数十時間で止まっているから、ある程度の期間は保つな。。。

出来れば4台あるディーゼル発電機を利用したいな。

 予備機があれば安心できる。バラシて歯車使って水車や

風車を作ったとしても、精度よく毎分1000~2000回転は

無理か。。。急がば回れか。。。


「様子は判った。ここを出て他のスペースを把握しよう。」


 1Fはプロジェクターを備えたブリーフィングルームや

医務室があった。医務室は雑多な薬品が多く見受けられたが、

さほどの利用価値はなさそうだった。


 2Fは居住室が主で大食堂もあった。指令室らしきもの

もあったが、あまりブリーフィングルームと変わりが

無かった。 しいて言えば開いたままではあったが、

自動ドアが設置されていた。

 2Fで最大の発見はレイコ達が見つけた。

食堂横の大きなスペースが暗証キー付きの自動ドアで閉鎖

されていた。ここは俺の立会いの下、レイコ達にドアを

破壊させて侵入を行った。


 ここはどうやらパーソナルスペース。

たぶん、ここの持ち主の使徒の部屋だろう。

 内部はリビング、寝室、浴室、研究室、資料庫があり、

資料庫には大量の他分野のハウトゥー本が並んでいた。

また、兵器や設備の保守マニュアルも相当数見つかった。

 研究室には、理科室等でよく見るフラスコやビーカー

メスシリンダーや秤、顕微鏡までもがあった。

室内はきちんと整頓されており、研究机の上に数枚の

便箋(中性紙)が置いてあった。

 便箋は手記であり、ある意味俺に向けた手紙だった。




「拝啓。。。君は誰かな?使徒殿とでも書こうか。

 

私は聖歴1328年に召喚された使徒だ。

失敗した使徒とでも言おうか?


 私は1944年に太平洋戦争で戦死した後、40歳ほど

若返ってこの世界にに降り立った。

 

 女神に与えられた使命は、この世界に前世の技術を

広めることだった。


 そのために女神に与えられたスキルは「等価交換」

原油や宝石、金や銀の鉱石、魔獣の魔石等を捧げると

カラー写真の付いた一覧表の中から欲しい物を

取り寄せられるスキルだった。

 

 特に魔獣の素材や魔石は地球に無かったせいか、

評価が高く、ドラゴンの魔石1つで戦艦霧島も交換が

可能だった。

最初は順調に品物を取り寄せて模倣した品物を

販売して莫大な富を得る事が出来て、ハーレムも

作ってみた。

魔獣だって銃や大砲を取り寄せれば瞬殺だった。


 だが、私にも女神にも誤算があった。

「等価交換」は100年までの未来の品物も取り寄せ

られたのだ。

 正直、取り寄せた物の原理が分からない。

コンピュータなど聞いた事も無く意味も分からない。

だが、私も技術将校の端くれだったようだ。


 ハーレムを解散して引きこもって研究に打ち込み、

この基地を作る所までは来れた。電子部品はまだまだ

だが、前世より進んだエンジン、電気の活用方法。

ジェットエンジンやガスタービン。

だが。。。私も年を取った。


 これから技術を広める事などはできないだろう。

技術屋としての人生に悔いは無いが、この世界に

何の貢献もできないのは心苦しい。

 せめて続く者の先兵として、この基地の兵器や

機械、資料をなるべく万全の形で残す。


 いつ訪れるのか、訪れるのかどうかもわからない

未だ見ぬ君のために。

最後には入口を石材で閉鎖、埋没させる事によって

密閉してここに眠らせる。


願わくば、君の一助とならん事を祈る。

                     敬具

聖歴1378年4月10日

大日本帝国海軍 特務技術中尉 田中 壮一郎 」



 なんともはや。思ったよりも最近だ。70年位前かな?

女神さまも罪深いよな。。。

 田中さん、これは無駄にしません。

リバースエンジニアリグによって、20年は時代を進め

られる。ありがとうございます。

そして、女神さまは必ず嫁にして苛めておきます!


・・・・・・・・・・・ 性的な意味で。。。


 安らかに眠ってください。

 俺は静かに合掌する。


「よし、キョウコ皆をここに集合させてくれ。」

「御意!」


遺跡の概要は以下のとおり

挿絵(By みてみん) 


「皆、聞いてくれ。この施設は先代の使徒が異世界の

 技術の粋を集めた兵器と設備、資料を集めたのちに、

 次代に生かすために閉鎖して保存した施設だった。

  我は先達の意思を無駄にしないように、有効利用

 させてもらうつもりだ。」


「アヤメ、オオワシ、シノブ、最終的にこの施設を我が

 技術集団の本拠地とする。だが、現状の我らの技術力で

 は施設を維持できない。

  残念だがマジックバッグですべての資料と研究器材を

 運び出せ。領都に戻り次第、器具については私が名前を

 教えてやる。

  そうすればwikiを使って調査できるだろう。」


「「「御意」」」


「それから工房の中で最優秀な頭脳の者を5名選抜して

 軽油の開発を最優先で進めろ。原油はすでに探索済み

 だから、軽油の精製が出来ればこの施設を利用する事が

 出来る。わかったか?オオワシ。」


「わかりました!軽油さえ開発できれば良いんですね?」


「そうだ、1年以内には可能だと見ている。

 とりあえずの原油の分離は蒸留温度が管理できれば

 可能なはずだからな。期待しているぞ。」


「はい。」


「それから、いずれにしろこの施設を隠蔽するために

 キースクを現在の倍に拡張する。

 大村クラスにして、石灰石と石炭の採掘都市とする。

 工房の連中はコンクリートと言った方が早いか。

 石灰石を粉末状に焼成できれば作れるはずだ。

  それと植物紙と繊維工場を建設する。すでにマイル

 の所では布地迄は手が回らないだろう。

 いずれにしろキースク近辺の土壌は農地に不向きだ。

 領主家としても産業を興して援助しなくてはな。」


「ニムル、建設集団の募集はどうなっている?」


「はっ。すでに西部諸侯の領地と獣王国にて募集を

 行っており、近日中に第一陣の30名程が領都に

 終結する予定になっております。」


「わかった。領都に帰ったらマイルとも調整をするが、

 工場勤務の人員も引き続き募集する事になると思う。」


「ああ、工房の方も農機具や土木建築工具の開発を

 指示するから金属加工部門は準備しておいてくれ。」


「サナエ、冒険者ギルドと傭兵ギルドの引退者も

 積極的に受け入れるのでそっちも考慮するように。」



「では、2時間以内に撤収後、私が内部を確認して

 入口を土魔法で閉鎖。キースクに帰還する。」


「「「はっ!」」」 

 

  すべてを終わらせて、キースクに帰還する頃には

 もう日が暮れかけていた。



***帰路討伐***

SS ブラッドウルフ 10頭

S シルバーウルフ 36頭

S ミノタウルス  11頭

A シルバーベア  14頭

B レッドベア   22頭


(白金貨145 大金貨0 金貨0 大銀貨8 銀貨12 大銅貨12 銅貨2枚)


当方、初めて物書きに挑戦いたします。

誤字脱字、読みにくい等のご指導をお願いいたします。

豆腐メンタルなので過激な指摘はご容赦くださいますようにお願いいたします。

ブックマーク、感想、レビュー大変励みになります。

ありがとうございます。  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ