第1話 女神
「知らない天井だ・・・」
言ってみたかった。天井無いけど。
俺は木本和人46歳、独身、魔法使いでも賢者でもない。
身長182cm体重100kgの絶賛メタボ街道爆進中の現代日本ではごく普通の社畜リーマンだ。
昨夜もいつものようにストレスから胃を抑えながら寝ついたような気がする。
なんでここでお約束の言葉を口にしたかと言うと・・・
青空なんですよ!
蒼天!
気持ちの良い空!
な・の・に! 壁はあると言う。
シミ一つない乳白色のレンガ造りの壁で窓はガラスどころか枠も無いんだよね。まあ壁が崩落したり、苔でも生えていれば古代遺跡って感じかな?実際には天井と窓だけ付け忘れた教会みたいな感じだけど。
身体はちょっと重いような気がするけど、中年メタボにはいつもの事だから気にしない。
『この空間に馴染んだみたいですね。木本和人さん』
誰か呼んだかな?
『呼びましたよ。木本和人さん』
へ?頭に直接響く声?テレパシーとか?誰も居ないし
『あ、失礼しました。今現界しますね。』
何処から現れたのか、空中に極わずかな光の粒が発光したかと思うと、徐々に大きさを増しながら光が眩しく輝いて。
眩しくて目を逸らそうかと思ったその瞬間!
光の中に女性の裸体!?間違いない!女性の裸体だ!
灼けそうになる目を必死に見開いてガン見する。
180cmを超える長身
巨乳と言うよりも、ほど良いふくらみの美乳。折れそうなほど細く、くびれのある腰。キュッと持ち上がった、小ぶりなお尻。美脚と言うに相応しい、長くて細いおみ足、そして・・・
『ちょっと見過ぎです!』
光がフラッシュのように瞬いたかと思うと、そこにはギリシャ神話にでも登場しそうな、純白のドレスを
身にまとった金髪美女が立っていた。
『はじめまして木本和人さん。私は女神アルテイシア。異界の地のアルテッツァの主神にして、地球銀河の庇護者です』
不思議とすんなりと受け入られてしまう。これが神々しさって言うのかな?
「は、はじめまして。あ、跪いたりとか土下座とかした方が良いですか?」
「な、なんせ神様なんてはじめてなので・・・」
『ふふっ、構いませんよ。楽にしてください。先程は舐めるように私の身体を凝視してたんですから』
「あ、いや。あまりにも綺麗だったので。つい・・・」
童貞の言い訳みたいだな。我ながら。素人童貞だったけど・・・
『ふふふっ、神界は美男美女ばかりなので、容姿を褒められるような事は無いので新鮮ですね。悪くないです。ええ、悪くはないです・・・』
桜色に染まった頬を陶磁器のような白い手を当てて、うっとりとしてる。意外と気さくな女神さんなのかな?綺麗だな~微笑み顔がなんだかゾクゾクしちゃう。真っ白な首筋に綺麗に浮き出た鎖骨。デコルテは正義です!そしてレースっぽいフワフワしたドレスには2つの小山が・・・あ、横から見えそう。白い肌に桜色の・・・
『こほんっ。。。』
「あ、申し訳ありません・・・ご尊顔があまりにもお綺麗でして、そのままつい・・・」
土下座である。
五体投地とかわかんないし、とにかく土下座である。
『まあ、いいでしょう。少しサービスという事にしときます。』
「ありがとうござます。ありがとうございます。」
「それで、あのぅ、ここはたぶん神様のおられる神界か何かと思うのですが、何故私はここにいるのでしょう?」
『こほん。そうですね少し説明が必要ですよね。』
『別にあなたはトラックに轢かれそうな女子高生を助けて、身代わりとなって此処に来たと言う訳ではありません。いつも通りにガ〇ター飲んで胸灼けを押さえて就寝していました。ここに来たのは私が呼び寄せたからです。異世界発展の勇者として!』
「ほほぅ、で?本当は?」
『メンタルの強さから異世界の勇者候補として目を付けていて、日々監視していたんですけど・・・なんか毎日する妄想行為があまりにも哀れで・・・もう良い年なのにアニメとか、異世界チート大好きとか。収入はそこそこだから、たまに行く風俗も40歳過ぎると女の子の見え見えの愛想ね~?先月の娘は病気持ってたから触らなくて正解でしたよ?』
うっ、監視ってあんな事やこんな事も全部見られてたのか。だって小金は有ったんだもん・・・犯罪行為はしてない・・・たぶん。
って、綺麗な足だな~長すぎでしょう。ドレスのスリットがエロいっす。
ゲシッ・・・
ついに土下座したままの頭を美脚で踏まれてしまった。
『サービスは終わりです。あなたMでは無いでしょう?真面目に話を聞いてくださいね。EDにしますよ?』
おおぅ。。それだけはノーサンキュー!
「イエス!マム!」
『よろしい。』
「では、その・・・チート頂いて勇者になって、異世界で無双すれば良いんですか?んでもって、魔王だか邪神を倒せば帰って来れる。億万長者に・・・みたいな感じで。」
『そこまで単純ではありません。私があなたにお願いしたいのは、異世界と言っても並行世界では無くて、この銀河の中の一つの惑星に転生して頂き、文明を進めて戦力を整えてもらいたいのです。』
「異世界では無く、異星ですか?」
これはチートは期待できそうに無いな・・・
『そうですね。異星であってますが、魔物も居れば魔法もある剣と魔法の世界ですよ。エルフやドワーフ、獣人なんかも居ますし・・・』
「えっ!?地球世界って魔法使えたんですか?」
『地球は進化の過程で魔法が定着しなかったんです。昔は獣人や亜人も居ましたし魔法も使えました。亜人たちや魔法使いは中世の宗教による弾圧で滅亡してしまったのです。日本は陰陽師とか残ってましたけど科学技術が発展した過程で淘汰されましたね。』
「そっか。陰陽師や魔法使いって実在していたんだな。」
『ちなみにゴブリンやオークなんかの魔物も実在してましたよ。』
『ちなみに転生して頂く予定のアルテッツァは、まだ2000年程度の歴史しかありません。ですので、人口も産業革命前の地球のように全世界で数千万人しか居ません。せめて地球史に近づくように誘導しては居るんですが、神託だけではなかなか思うように行かないんです。』
「それで、転生や転移者を送り込んでいるんですね。先輩が居るなら協力すればよさそうですね。」
『いえ。その。言いにくいんですが・・・』
『その・・・この1000年間で100人以上送り込んでるんですが、上手く定着しなくて・・・もう2~3人しか生き残って居ないんです・・・いったい何がいけないのか・・・』
「そもそも、なんでそんなに急に繁栄させる必要があるんですか?銀河の戦力って事は、宇宙に飛び出すレベルですよね。地球レベルくらいですか?」
『いえ。。地球レベルでは戦いになりません。そう、あなたの居た日本のアニメの宇宙艦隊を数十艦隊とかそういったレベルです。』
「神様が戦力を欲するって、違和感しかないですよ?」
『きれい事では無いんですよ。神と言っても創造神様を除けば、銀河ごとに神々の勢力があります。神々は人間たちと同じように外交や戦争を行って、信仰してくれる生命を保護する事により、より加護を集める事によって神格を上げて、上位神へと至るのです。地球やアルテッツァを含めた銀河はまだ若いので、協定により保護されていたんですが、保護期限は残り500年を切ってしまっています。』
「なんでそんな事を?神々が争う必要性があるんですか?」
『神々の寿命は永遠です。悠久の時の流れの中で無関心になったり、自己を喪失したりといった事が頻繁に起きたために、創造神様が考え出したシステムです。』
『極端な神々は、直接現界して色仕掛けをして国や世界を傾けたり、文明を進めたりもしていました。』
「おー傾国の美女は女神だったのかー」
『まあ、1000年くらい前に創造神様に直接干渉は禁止されてしまいましたが。』
「神って思っていたより俗っぽいんですね~」
『ちゃんと世界を愛していますよ!あまねくすべての生命と感情とその時も・・・負けるとすべてを失ってしまいますから必死なんです。』
「ちなみになんで私なんですか?」
『自覚は無いと思いますが、まず魂が強いのです。神力を抑えていると言っても私は主神ですよ?セクハラどころか、普通の人間は神気の圧だけで口も聞けませんよ?』
「なるほど、やはり日本の訓練された社畜が最強ですか。」
ちらりっ・・・
美女だよね~西欧より東洋よりの目鼻立ちに陶磁器のような肌、金髪ショートって、エロいっす!指名したいっす!ドキドキっす!
『ふう。またそのような目で私を見て・・・』
「も、申し訳ありません」
『まあ良いです。それも選定の理由の一つです。一人では出来る事は知れています。当面、信用できる仲間としてお嫁さんを見つけて血族を増やすと良いでしょう。人の絆はやはり血族が一番強いですから。そうですね、スキル「血族」もサービスしておきます。』
『あとは柔軟な思考ですね。民主主義が最善とか凝り固まった考えが無いですよね。視野が広いですし、広く浅い知識と外部知識の利用が上手ですよね。』
まあ一応、中間管理職歴が長いから視野の広さは自信がある。浅く知識を付けておいて、深い知識は必要な時にすぐ調べて応用できるようにしておくのは基本です。現代社会はWikiやネットに莫大な情報が転がっているからね。人間の役割はインデックスで応用力と適応力こそがキモなんよ。
『それで?転生して頂けますか?』
「きゅ、急にそう言われても・・・」
「チートとか貰えるんですかね?もう少し詳細の説明をお願いしても良いですか?」
『わかりました。転生する先はある程度高位の貴族家になりますが、長男では無いので自分の好きな道を歩んでいただいて結構です。発展の為なら人を殺めようが、生命を創造しようが、覇王になろうが何をしようが構いません。』
女神様・・・ぶっちゃけたな~まあ、民主議会制じゃ人口は増えんからな~
『あなたの言うチートですが、文明を進めるための固有スキルとして、現地と地球の情報をある程度参照
できる能力を付与します。それから時間を有効に使うために経験値増加スキルも付与します。あとはアルテッツァの理解を早めるために鑑定スキル。と言った所です。』
「ふむ、地球の情報って事は地球の物を取り寄せるとかもできますか?」
『それは禁止事項ですね。より進んだ文明の物品の直接的な導入は神の直接干渉と同様とみなされますので。』
「戦闘力に不安がありますよ。早々に死んでしまいそうです」
『一応、魔法属性を万能にしておくつもりますが、そうですね。いくつかの加護を与えておきましょう。あと、成長に伴ってスキルを追加で授かるんですが、状況にあったスキルを考えておきます。』
「ありがとうございます。」
『では、その条件で転生者となっていただけますね?』
「あ、いや、その、言いにくいんですが・・・私、死んだわけじゃ無いんですよね?そもそも異世界に行く理由が・・・」
『そうでした「性豪スキル」でハーレムとかどうです?』
「もう一声!・・・たぶん、自分片道切符ですよね?」
ちらりっ
だいたいこの手の神様は嘘は付かないけど、知られたくない情報を自分からは喋らないんだよね。
『うっ・・・勘が良いですね。そうです。無事生き残ってレベルを上げられれば高位種族となって長い寿命の末、地球と邂逅出来るかもしれませんが、基本的には死に戻りや地球に戻る手段はありません。』
『でも、ハーレム良くないですか?もちろん美男で転生しますし、貞操観念ユルユルの世界ですよ?人口増加と濃い血を残すために一夫多妻制の上に、異母姉妹までは婚姻可ですよ?ちなみに近親でも子孫に問題が起きないように調整してあります。』
うわぉ。素晴らしき人生になりそう。でもここは・・・
「わかりました。ではクリア報酬だけお願いします!アルテイル様と一晩!」
調子に乗りすぎた・・・かな?
『そうきましたか・・・わかりました。良いでしょう。一晩と言わずに嫁ぎましょう! 私の愛する地球銀河を救えますし、それだけの実績を積めば、神格を備えて最低でも亜神になれるでしょうから。』
「ありがとうございます!思い残すことは何もありません!ぜひ転生させてください。」
『わかりました。3歳の誕生日までは肉体と精神が情報量に耐えられないので記憶は封印しておきます。』
『良い転生を・・・』
チュッ
はわっ!女神様。次はオデコではなくて唇にお願いします・・・・
当方、初めて物書きに挑戦いたします。
誤字脱字、読みにくい等のご指導をお願いいたします。
豆腐メンタルなので過激な指摘はご容赦くださいますようにお願いいたします。
(2026/6/28修正)




