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短編横丁  作者: 友野久遠
25/27

(25)例の電話

 受話器を取ると、ハアハアと荒い呼吸が聞こえてくる。

 「お、お、おくさん、今、下着の色は何色ですか」

 この手の電話をしてくる男は、どういう神経をしてるんだろうか、いくら考えてもわからない。


 それよりも深刻な問題は、小さい子がいる家庭では、大抵子供が真っ先に受話器を取ってしまうことなのだ。 純真な我が子がこの淫乱魔神の囁きを聞いて、変な影響でも受けたらどうしてくれるのだ。


 

 長男、3歳。

 「ぼくもしもしするー!」

 顔をしかめている私の手から、強引に受話器をひったくる。

 「もしもしー」

 「ハア、ハア、ハア」

 怪訝な顔をして、受話器から流れてくる呼吸音を聞き、3秒ほど考え込む。

 次の瞬間、えらい勢いで受話器に息を吹き込み始めた。

 この息子のやることには、いつも一点の迷いもない。

 「フー、フー、フー!」

 「ハア、ハア、ハア」

 「フー、フー、フー!」

 「ハア、ハア、ハア」

 

 しばらく受話器を吹いたあと、長男はふらふらになって床に座り込んだ。

 「ああッ、おくさん、今度はナメてくださあい」

 息子の手から落ちた受話器の中で、何かを勘違いした電話男が恍惚になって叫んでいた。

 

 

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