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短編横丁  作者: 友野久遠
15/27

(15)アフター・ソテー

 「やだー!姉ちゃんのよ!」

 「ずるい、姉ちゃんだけ貰って。 俺にも半分!」

 ご飯を食べながら姉弟喧嘩を始めた長女と長男、この時4歳と5歳。

 お風呂を洗って食卓に戻って見ると、喧嘩の原因は青梗菜の炒めもの。


 今は日常的に売られている食材である青梗菜だが、当時はまだ珍しく、その日初めて買って来た私は本で調べて調理に挑戦したのだ。

 その食材別料理本には、「青梗菜は葉をバラバラにせず、根元から縦に2つ割りにし、洗浄して使用する」と書かれていた。

 こんなんで砂とか取れるのかな、ジャリ!なんて言ったらやだな、と思ったが、何にもわからないのでレシピに忠実に調理した。


 さて、けんかの原因を聞いたところ、

 「お姉ちゃんのお皿にだけ、エビが入ってたんだ。 俺のにないから半分こにしてくれって言ったのに」

 「だって小っちゃいんだもん、半分こは無理よ」

 ちょっと待て。 本日の食材にエビなんて入ってないぞ?

 恐る恐る娘の皿をのぞくと、確かに極小のエビとも見える、丸まった物体が一つだけ入っている。 色はくすんだ肌色だ。


 「これは異物です、食べちゃダメ!」

 慌てて没収した。 子供たちが震え上がる。

 「食べ物じゃないの? じゃあ、な、何が入ってたの?」

 「ママにもわかんないわ。 何か虫の幼虫かも。 蜂の子とかカナブンの幼虫ってこんなじゃない?」

 「げろげろげろー!」

 大騒ぎする子供たちに取りあえず食事を続けさせておいて、回収した物体を虫眼鏡で観察。

 そして、気づいた。


 その物体の丸まった背中らしき部分に、何処かで見たことのあるような灰色の斑点がかすかに残っているのを。

 「わかった! ……ナメクジだあ!」



 熱を加えるとエビそっくりになるのを、知ってましたか?


 お馴染み混入話でした。 この事件以後は、いくら「丸ごと調理」と書かれていても、青梗菜はバラバラにして洗わなければ気がすまない私です。

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