(14)ホルスタイン
本人は大変苦しんでいるのに、人に話すと自慢話にしか思ってもらえないのが「乳房ネタ」。
同じ思いをしておられる女性は多いと思う。
私は特に巨乳なわけではないが、バストで失敗したことが何度かある。
特に出産してから、母乳の分泌量が半端じゃなかったので、いろいろ面白い目に会った。
(1)
授乳用のブラジャーを買いにマタニティショップに行ったら、普段Bカップの胸がGカップになっていた。
当時は珍しかったのだろう、「そのサイズはありません」と言われ、ガッカリして帰る時に店の奥に目をやると、従業員が奥からドアの隙間に全員集合して、押し合いながらこっちを見ていた。
(2)
どこに行ってもないので、外国製の物を取り寄せてGカップの授乳用ブラを購入した。
このブラは要するに、ワイヤーの付いた枠組みに、ボタンでカップ部分が取り付けてあり、片方ずつ外して授乳できるタイプの物だった。
しかし、実際に授乳が始まると、このブラは何の役にも立たなかった。
膨張して堅くなった乳房はこのボタンを吹っ飛ばし、乳の根元にワイヤー付きの紐部分が食い込んで外れなくなり、乳房が紫に変色する事件が起き、やむなく裁縫バサミで切断した。
(3)
水着もかなり苦労した。
授乳前と授乳後でサイズが違い過ぎるのだ。
下の子の授乳期に、ファミリープールに行って上の二人を流れるプールで遊ばせていた時の事。
乳が張って来ると入る水着がないという事で、胸の下でくくるタイプの水着を着ていたのだが、遊んでいる途中で下の子に授乳して、戻って来てまたプールに入ったら、スカスカになった胸が水着から漂い出して水面に浮いて来た。
以後数時間、何度収め直しても水着の中に収納できず浮いて来るので、水に入るのを断念した。
(4)
胸元がV字カットになっているTシャツを着て、赤ちゃんを抱っこひもで抱っこしてバスに乗っていたら、お腹がすいたと言って激しく泣かれ、急遽、最寄りの公園に降りてベンチで授乳。
抱っこひもをほどき、よっこらしょとベンチにうつむいて子供を下ろしたら、がちがちに張った乳房が、ブラジャーもTシャツも押し破って胸元から「ごろん」と外に出て、子供の顔を強打。
隣りのベンチで弁当を食べていた男子高校生が「おわあっ」と声を上げた。
「そんな声ださんでも」と思わず言ったら、
「そんな乳出さんでも」と言い返された。
授乳期が終わると、そんな乳房も一気にパワーダウンした。
現在は蛇腹に畳んでCカップブラの中に収納してある。
馬鹿話で申し訳ない。