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短編横丁  作者: 友野久遠
12/27

(12)狂乱ジャム

 春なので、野イチゴの話を書こうと思う。

 中学1年の4月のことだ。


 通学路の途中に、ツルのある野イチゴが群生して真っ赤なカーテンのように実る、素敵な土手があった。

 甘酸っぱくて美味しい野イチゴなのだが、近所の人は食用にする気がないらしく、毎年グズグズに腐ってしまう。

 「もったいないもったいない」

 育ちざかりの中学生たちが、下校途中に群がって食べていた。

 

 ある日、「土手に取り付いて食べ続けると疲れるから、家に持って帰ろう」と言う話になり、友人Aと友人Bと3人で、ビニール袋を持って来て取り放題に取り、親が共働きでいつも留守だったAの家に集まって食べまくった。

 もう口が酸っぱくなって食べられない、と弱音が出るまで食べてもまだビニール袋1個分のイチゴが余ったので、いっそジャムでも作るかと、鍋にぶち込んで砂糖と一緒に煮詰めたら、なんとなくジャムに似た物が出来上がった。


 このジャムを食パンにモリモリに塗りたくってひと口齧ったが、ここで全員が首をひねる。

 「お酒っぽい味がしない?」

 疑問は残ったが、醸造も発酵もさせない物がアルコール化するわけはないと思い、イマイチ変な味だなあと言いながら、全員食パン一枚ずつ食べてしまった。


 異変は5分後に起こった。

 まずAが突然顔を真っ赤にして、

 「部屋が回る」

 と喚いて昏倒。 そのままベッドで2時間ほど高イビキをかく。

 Bは大声で笑い出し、小学校6年の運動会で踊った「ソーラン節」をやりだした。 その後もゲラゲラ笑って、やはりベッドに沈没。


 何故か私はほとんどなんともなかったが、2時間後に猛烈な頭痛と吐き気に襲われた。 思えば二日酔いに似た症状だった。

 


 あれはなんだったのか、今でもさっぱりわからない。

 毒素のあるキノコや昆虫が混入したのでないことを祈るばかりである。

 混入疑惑。 

 実話なので結論はありません。 謎を解く知識をお持ちの方はご一報ください。

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