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短編横丁  作者: 友野久遠
10/27

(10)侵入者

 「しまった、寝過ごした!!」

 その朝、30分近くも寝坊をしてしまった。 朝日が差し込むキッチンに駆け込み、大慌てで料理を作る。


 洗って切っただけの野菜サラダと果物を、ザカザカ皿に盛り付ける。

 ああよかった、手間のかからないスライスハムと切れてるチーズがあったぞ。

 「パパ、朝よ。 蘭も司も起きなさい」

 亭主と子供の朝ごはんが辛うじて間に合い、食べさせている間に弁当もなんとかデッチ上げて、無事に家族を送り出す。 奇跡の15分技、過去最短記録だった。


 台風一過の後、思い切り脱力して椅子に座り込む。

 ひとりきりになった途端、猛烈に空腹を感じた。

 亭主と子供が食べ残したサラダを何もつけてない食パンに無造作に挟んでかぶりつく。


 その時、ボトッと何か赤い物が皿の上に落ちた気がした。

 かぶりついたパンの反対側の端から、赤くて長い物が勢い良く出て来て落ちたのである。

 次の瞬間、私は悲鳴を上げた。

 それは長さ15センチはあろうかという、ミミズに似た赤い虫だった。


 いや、確かに大慌てで野菜を洗った。 洗い方が足りなかったのかも知れない。

 しかしそれにしたって、これまで野菜をゆっくり洗っていた時にだって、こんな大物を見かけたことはなかったではないか。


 まさかの踊り食い。 家族には言わないでおこう。

 

 当分サラダが食べられなかった。

 そのエキスを気づかず食べた亭主と子供に合掌。

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