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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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ギルドあるある

前回のあらすじ~

念願のラーメンを食した。食い過ぎた。

いや~、昨日は食べ過ぎた。

夕飯が入らないと散歩に出かけてちょっと腹ごなししたけど、その時もクレナイがそこかしこの屋台などで買って食べているのをみて、ちょっとげんなり。

さすがドラゴンですね。


起きるとやはりすぐにコハクがタライを持って来てくれる。

てか、私より早起きなんて、小さいのに偉いな。

そんでやっぱり片付けて、着替えも手伝ってくれる。

いや、小さい子に手伝われても、ちょっと複雑ですよお姉さん。


「今日は久しぶりにギルドに行って、なんか仕事をもらおうか」


たまには仕事しないと、確か期限切れがあるんだよね。まだ大分先だとは思うけど、やれる時にやっておかないとね。


「ほう、冒険者の仕事か。まだ護衛の仕事しかしておらんからのう。楽しみじゃ」


そういえばクレナイはそうだね。

私単体ならまた草むしり、じゃない薬草採取とかだけど、皆がいるから、討伐系でもいいかもしれない。

いつものようにギルドへ向かう。


やっぱり視線が集まるのは気にしない。

ギルドに着くと、やっぱり視線が…。もう慣れたよ。

クレナイもいるので、掲示板に行ってみる。

そこそこ紙が貼られている。何か面白い物はあるだろうか?


「主殿、ちと相談なのじゃが」

「何? クレナイ」


クレナイが真面目な顔で聞いてきた。


「妾も、冒険者登録をしてみて良いじゃろうか?」

「え、従魔って出来るのかな?」

「分からぬが、いちいち正体を知られぬように適当な理由を考えるのも面倒でのう」


まあ、コーヒーの街ではほぼ正体は知られてしまっているけど。

王都に来た時も検問はあった。あの、この世界?この地域?では珍しい服装なので、ちょっと色々聞かれたんだよね。なんとか誤魔化したけど。

身分証がないとちょっとお金を払わなければならない。別に今の懐事情なら問題はないけど、いちいちどこから来だのどこの出身だの聞かれるのも面倒ではある。

ただ、冒険者証持ってると、その辺りパス出来るんだよね。なんて便利。


「そうだね。正体を隠すにも、確かにあったら便利だけど、出来るのかな? 試しに聞いてみようか」

「では主、もし出来るなら、我も登録したいのである。念の為であるが」


そうね。シロガネも持ってたら便利かも。


「ついでにコハクもする? あ、年齢制限あるのかな?」


てか子供は駄目か?


「ハヤテもー!」

「えと、出来るかな…?」


さすがに幼児は駄目な気がするけど…。


「わ、私は奴隷なので、出来ないかと思うのですけど…」


奴隷だと出来ないのかな?


「よし、聞いてみよう」


さっそく空いている窓口へ。

やはり綺麗どころのお姉さんが並んでいる。

その中でも、このお姉さんは、胸の辺りがあまり騒がしくない。好感が持てる。

慌ててなにやら身嗜みを整えていたお姉さんが、こちらを見てにっこり営業スマイル。


「何かご用でしょうか?」


色素薄目の肩までの髪を揺らしながら、お姉さんが綺麗な笑みを向ける。

でも視線はシロガネの方に向いている気がする。


「あのすいません、連れ達を冒険者登録したいのですけど」

「はい。登録でございますね。どちら様が登録をされるのでしょうか?」

「こっちの女性と男性と、この子と、・・・さすがにこの子は駄目ですよね?」

「申し訳ございません。登録は10歳からと規則にございますので」


10歳か、案外小さい頃からやるのね。


「ハヤテもー!」


ハヤテがぐずりだす。


「ハヤテ、もう少し大きくなってからにしよ? ね?」

「うー」


涙目で堪えています。ごめんよ。


「幼くとも、強ければ問題ないのではないかのう?」


クレナイが口を挟む。


「いやだけど、幼児だよ? さすがに小さすぎるでしょう」

「ハヤテに関しては、あまり当てはまらぬとも思うのじゃが」


そうですね。グリフォンだもんね。だけどね~。


「どうじゃ? 強い者と勝負して、勝てたらハヤテも登録出来ると…」

「クレナイ、あまりごねてお姉さんを困らせないの!」


お姉さん困り笑顔になってるよ。


「ハヤテつよいよー」


ハヤテが復活してしまった。どうするんだよ。

と、ぶははははと、後ろから大きな笑い声が。


「が、ガキが、つよいよーて、うははははは」

「幼児に登録させるとか、バカか?」


なにやら男の人達が笑っている。うん、無視しよう。


「ほう、ならば其方ら、ハヤテの相手をしてみてはどうじゃ?」


煽らないクレナイ!


「どうじゃ? ハヤテ」

「やるー!」


ハヤテもやる気にならない!


「ちょ、ちょっと待ちなさい。余計な揉め事は…」

「主殿、ハヤテをバカにされたのじゃぞ? 悔しくは無いのか?」

「いや、そりゃ、ちょっとはそんな気もあるけど、波風立てない方が大事だから…」

「あるじ、ハヤテ、できるよ?」


可愛い顔して懇願してこない。


「ほれほれ、お兄さんが相手してあげるから、おいで~」


お兄さんというかおっさんだろ!

いや、そこ突っ込んでる場合じゃなくて。

1人が立ち上がって、ハヤテに来いとばかりに手を振っている。

あ、これ回避できないイベントだ…。

躱そうとしてもなんだかんだで絡まれて、結局大怪我させちゃうとかいうパターンだ。

なら、できるだけ被害を最小限に。


「ハヤテ、なるべく怪我させない程度に、ね?」


ハヤテにやらせた方が、被害は少ないだろう。多分。


「わかったー!」


ハヤテが嬉しそうに、自称お兄さんに向かってテコテコ走って行く。

その姿はただの幼児にしか見えない。


「ほれほれ、パンチが届くか~?」


自称お兄さんがわざとらしく頬を突き出す。

と、ハヤテが男のすぐ側まで近づくと、一歩を大きく踏み出し、そして、跳んだ。


ドゴ!


「ぎゃ!」


ハヤテの頭は見事に股間に当たり、男が後ろのテーブルにひっくり返る。

テーブルと共にひっくり返った男が、床で悶絶する。


「あるじー、やったよー」


テコテコと、ハヤテが帰って来る。


一発でしたね…。


「油断しすぎだろ! たこ!」

「何幼児にやられてんだよ!」


仲間の人達に罵声を浴びせられる自称お兄さん。


「やはりハヤテは強いのう。あんな男共など相手にならぬわ」


戻ってきたハヤテの頭を撫でるクレナイ。

いや、そういう言葉は変に反感を買うから…。


「ああ?」

「これはこいつが油断しただけだろ」

「俺達が本気になれば、そんなガキ」

「では、本気で相手してみるがよい。出来る物ならば、じゃがのう」

「いいだろう! やってやんよ!」


男その2が立ち上がり、ハヤテを睨み付ける。


ほら、こうなった…。


「ハヤテ、なるべく怪我させないように…」

「あい!」


もうこれは諦めるしかないよね。

再びテコテコと走って行くハヤテ。

先程よりは慎重に迎え撃つ態の男その2。

と、ハヤテがまだちょっと距離があるところで、跳んだ。


「えい」

「ぶぎゃ」


男その2の顔の高さまで跳んだハヤテが、男の顔にパンチング。

男その2が軽く吹っ飛び、後ろの後ろにあったテーブルに衝突。

テーブルと共に床に倒れる。

あっけにとられる一同。

再びテコテコとハヤテが帰ってくる。


「やったよー」

「よくやったのじゃ」


よしよしとクレナイが頭を撫でる。

これで終わりになると良いけど…。


「ま、待て! こいつも油断しただけだ!」


男その3が立ち上がった。

男の矜持とかいらないから、大人しくしていて欲しかったよ。


「ハヤテ、なるべく加減して…」

「あい」


三度ハヤテがテコテコと男その3に向かっていく。


「このガキ!」


今度は男の方から攻撃した。

ところが、一瞬で消えるハヤテの姿。


「え?」


男がキョロキョロと辺りを見回す。

ところが、


「えーい」

「んぎゃ!」


一瞬で男その3の背後に回り込んだハヤテが(素早く男の股下を通って行ったらしい。クロ談)、男その3の背中にドロップキック。

勢いこちらに飛んで来た男を、


「汚らわしい」


そう言ってクレナイが一薙ぎ。

バレーのボールのように男が飛んで、やっぱりテーブルに落ちた。

ハヤテがテコテコ戻ってきて、


「あるじー、やったよー」


それをクレナイがナデナデナデ。


「よくやったのじゃ、ハヤテ」

「えへへ~」


うん。よくやったと思うわよ。

でもね、あの人達とか、倒れて壊れたテーブルとか、恐ろしいものを見るような人達の視線とか、どうしてくれるんだよ…。


溜めていたアニメを一気に見ると、その世界にどっぷりと浸かってしまい、意識がなかなか現実に戻って来れなくて・・・。

というのは我が輩だけなのでしょうか?

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