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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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みんな1番!

前回のあらすじ~

リンちゃんが人化に成功。

厩舎へ3人で行くと、シロガネとハヤテも食事を終えていたようで、入ってすぐに顔を向けてきた。


「おはよ~。シロガネ、ハヤテ」

「おはようである。主」

「クア」

「見てみて~。リンちゃんも人化の術出来るようになったんだって」


と2人にお披露目。


「ほお。やったな、リン」

「シロガネ、アリガトウ」


聞けば、シロガネからやり方を教わったとか。

ご褒美に鼻面を少し撫でてやったら、


「ふむ。それほどでも」


と照れていた。シロガネは上品なツンデレなのだろうか。

隣のハヤテの所が光ったかと思うと、幼児ハヤテが柵の間から出て来た。

まあね。幼児なら柵の間なんて簡単に出てこれるよね。

そしてタタタッと私の所に駆けてきて、そのまま私に抱きついた。

うう、可愛い。幼児が足に抱きついてくるとめっさ可愛い!


「ハヤテがさきなのー! リンはあとー!」


とハヤテが怒り出した。

おやおや、リンちゃんにヤキモチ?

するとリンちゃんも私に抱きついてきた。腕にしっかりとリンちゃんの腕を絡める。

美少女が腕に!女でもドキドキしちゃうよ!


「リンの方が長イ! ハヤテ短イ!」


変身出来る時間は、リンちゃんの方が長いぞと。

聞けばリンちゃんほぼ一晩中人化してたみたいだしね。今も変身してるままだし、確かにハヤテよりも長い時間変身出来ている。

むう~と睨み合う2人。

あああ、睨み合うその顔も可愛いんだけどお。

と言っている場合じゃない。止めないと。


「これこれ、2人共。止めるのじゃ。つまらぬことで言い争うではない」


お、さすが年長者のクレナイ。2人を止めてくれるのか。


「主の一番は妾に決まっておろう! なにせ、この中で一番の攻撃力を誇るのであるからな!」


などと胸を張って言い出した。

ちょっと待て、止めるんじゃないのか。


「それを言うなら、我は一番の防御力を誇るぞ!」


何故かシロガネも人の姿になって参戦。


「ハヤテはいちばん、はやいもん!」


小さい胸を反らせるハヤテ。可愛い。


「私は癒ヤス事出来ルヨ!」


リンちゃんも負けてません。

何故か4人で睨み合う。


「ちょ、ちょっと待ってよ…」


どうやって止めるんだコレ?

今ちょっとモテすぎて困る男の人の気持ちが分かる気がする。


「お主ら。阿呆なことで言い合うな」


クロが口を挟んできた。

おお、クロ、止めてくれるか!


「八重子にとっての一番は我が輩に決まっておるだろうの。なにせ、我が輩は唯一八重子と共に向こうの世界からやって来たのであるし、共にいる時間も10年と一番長い。夜寝る時もいつも腕の中にくるまっていて、一日中ずうっと側にいるのだぞ。この中でそれに敵う者はおるのか?」


皆が黙ってクロを見つめた。

ちょっと悔しそうな顔してる。


「い、いや、クロ殿は従魔ではないので対象外じゃ! 従魔の中で一番は妾じゃ!」

「いや! 我である!」

「ハヤテなのー!」

「私ヨ!」


おいおい、収まるどころがヒートアップしてるぞい。


「妾じゃ!」

「我である!」

「ハヤテー!」

「私!」


「ちょ、ちょっと待ってって…」


「妾!」

「我!」

「ハヤテー!」

「私!」


止まらねー。


「八重子、少し外に出ておれ」

「クロ?」

「ちと、こいつら、教育をせねばならんようだの」


クロの目が据わってる。ちょっと怒ってる?

クロが腕からするりと抜けだし、柵の上に飛び乗る。

そっとリンちゃんとハヤテの腕を離し、なんとか外に出ようとする。


「あ、主!」

「アルジ!」


ハヤテとリンちゃんが追いかけようとするのを、


「待つのだ。2人共」


怖い声をしたクロの声が2人の足を止めた。

その間に外へと脱出。

ふう。なんか凄い目にあった。


一度くらいモテてみたいとは思わないこともないけど、取り合いされるのは嫌なものですね。

誰が一番とか無くて、皆大好きで大事なんだけどな。

まあ、本音を言えば、クロは別枠だけど。


少しブラブラとその辺りを歩いたりしていると、


「八重子。終わったぞ」


厩舎の中からクロの声。

そっと覗いて見ると、柵の上に座る黒猫。その前に正座させられ、何故か青い顔でガクブル状態の4人の姿。


何があった。

ヒエラルキーがおかしなことになってるよ。


特にクレナイ。ドラゴンが小さな黒猫相手にガクブルになるって、何があったらそんなになるのよ?


「ほれ、八重子に謝らぬか」

「「「「申し訳ありませんでした!」」」」


4人一斉に頭を下げた。

ハヤテだけ、「もうちわけあいましぇんでいた」になってたけど。可愛い。


「うん。皆大事な仲間なんだから。喧嘩しないで、仲良くね」

「「「「はい!」」」」


とりあえず厩舎で正座もなんなので、みんなに立ってもらって。


「クロ。何したの?」

「企業秘密だの」


話す気はないらしい。

皆にも聞こうかと思ったけど、何があったの?とこっそりクレナイに聞いてみたら、青い顔して首を横に振るだけだったので諦めた。

クロが腕の中に戻ってくる。

うん。猫が下から飛び乗ってくる姿って、なんで可愛いんだろうね。

ジャンプする前にちょっとお尻フリフリするのがまたたまらん。


猫は狩りをする時などに、お尻フリフリするのです。猫と遊んだことがある人は知ってると思うけど。

助走かなんかなんですかね?

あのフリフリのケツが可愛くて、遊んでたりするのだけど。

高い所に飛び乗る時などもやったりしますね。可愛いおけつ。

下から人に飛び乗る時、お尻フリフリして、こちらが構えると、ジャンプしてくる。

あの可愛い顔が下から急に目の前に来るのも、なんというか、たまらん。

飛び乗るとしっかりと肩に掴まるのもまた可愛い。

うん。とにかく可愛いということで。


「そういえば、八重子に1つ言いたいことがあったのだの」

「何?」

「うむ。どうやらダンジョンがある街があるそうなのだの」


なんですと?!


「後で言ったらきっと怒るだろうで今言っとくが、その街というのがだの、王都に向かう道をちょっと外れた所にあるのだそうだの。つまり、その街に寄ると王都に着くのがまた延びることになる」

「むむ!」


王都行きが延びる=ラーメンが延びる、じゃなくてラーメンが遠のく。

いえ、元の世界に行く方法を探しに行くのです。はい。

クロさん、視線が痛いよ。

まあ、戻る方法がその街にあるかもしれないしね。寄り道万歳。

クロが溜息を吐いた。


「やはり、行く気かの?」

「やっぱり、行ってみたいよね?」

「危険だの」

「上層階?低層階?くらいをうろつくだけでいいから」

「フードシックはどうしたのだ」

「やはり、異世界と言えば、ダンジョンでしょ! 王都に行って戻る方法が見つかったらダンジョンに寄れないかもしれないじゃない! そこは行っとくべきでしょう!」

「何々? ダンジョンじゃと?」


クレナイも食いついてきた。


「妾も話には聞いたことはあるが、行ったことはないのう。是非に行ってみたいものじゃ」

「ダンジョン? わざわざ地下へ潜るなど、気が知れないのであるな」

「だんじょんてなあに?」

「ダンジョン?」


皆聞きつけて寄ってきたよ。

ということで、知る限りの私のダンジョン知識を皆に振りまく。

ちょっと偏った説明だったかもしれない。

時折クロからのツッコミや、ダンジョンを見たことがあるというシロガネの話も加わる。


「本では読んだことはあるが、面白そうじゃの!」


クレナイうっきうき。


「おもしろそう!」

「オモシロソウ!」


年少組もわっくわく。目がキラキラしてます。

リンちゃんを年少に加えるのは、見た目的にはアウトな気がするけど、中身がハヤテとどっこいどっこいな感じだからいいよね?


「よし、じゃあダンジョンの街を目指そう!」

「「「「おお!」」」」


なんだかんだ言いながら、シロガネもノリノリっぽい。

クロだけがシラけた顔をしていた。





ていうか、ふと思ったけど、皆人化して人が多いように見えてるけど、実際人間は私1人なんだよね…。


ここまでお読み頂き、ありがとうございます。

徐々に徐々にpvも増えてきて、感激です。

これからも猫バカ満載で、猫の習性などもちょいちょい書きつつ、頑張ろうと思います。

ただちょっと仕事の方が忙しくなってきているので、更新が遅れることがあるかもしれません。

ご容赦ください。

頭の中ではもっと短い話のはずだったのに、書いているうちに長くなってきてしまいました。

何故だ。

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