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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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ドラゴンとの闘い

前回のあらすじ~

一丁やったるかー!

コロシアムの中を歓声が埋め尽くしている。

久々にドラゴンの勇姿が見られると、皆興奮していた。

賭博も大いに盛り上がっているが、今回の賭けはどちらが勝つか、ではなく、ペガサス達がどれくらい保つかを賭けるものになっていた。

ドラゴンの試合の場合、ドラゴンが強すぎるので、最初の鐘、2番目の鐘、3番目の鐘が鳴らされるようになっている。そのどの鐘まで保つかを賭けるものになっていた。

試合が始まる前、そこにふらりと黒い男が現われ、金貨がふんだんに入った革袋をジャラリと受付に置くと言った。


「黒猫を連れた冒険者が勝つ方に賭ける」


受付の男は首を傾げた。そういえばペガサスを連れた冒険者が、いつも黒猫を抱いていると噂になっていたことを思い出す。


「あんた、やめときなよ。ドラゴンに勝てるわけないだろ」


男が親切心で男に忠言するも、男は表情一つ変えずもう一度言った。


「黒猫を連れた冒険者が勝つ方に賭ける」


これは聞かないなと、受付の男は溜息を吐き、札を取って少し書き直すと男に手渡した。


「ペガサスの冒険者が負けたら、この金は戻らないよ? いいのかい?」


薄い笑みを浮かべたその黒い男は、なんでもないように言った。


「大丈夫だ。それより、きちんと賭け金は支払われるのだろうの?」

「勝てばな」


受付の男も笑い返す。

黒い男は笑みを浮かべたまま、人ごみの中へと消えて行った。

受付の男が革袋の中を確認すると、金貨が30枚入っていた。

もしペガサスの冒険者が万が一にでも勝つことになったら…。

男は身震いした。











歓声の中、南の入り口からペガサスを連れた冒険者が現われる。

歓声が一際大きくなった。

美しい白いペガサスと、まだ幼体なのか、小さなグリフォンが客席からも認められた。

他にも妖精がいると掲示板には書かれていたが、遠くてさすがに見えない。


北の入り口からも、ずしんずしんと地響きがして、その赤い巨体が現われた。

陽に照らされ、赤い鱗が輝く。


「グオオオオオオ!!」


ドラゴンが吠える。

さらに歓声が大きくなった。


ペガサスの冒険者はしばし唖然とドラゴンを見上げていた。

無理もないだろう。

ドラゴンはそれこそ女冒険者の3倍を超えるくらいの高さがある。コロシアムの通路がやっとギリギリ通れるくらいと言っても、過言ではない。もちろん体を小さくして、だ。

あれ以上大きくなったら、通路は通れなくなり、コロシアムの外から飛んで来て、中に入るしかない。


それと、もしかしたらあの女冒険者は、対戦相手がドラゴンだと知らされていなかったのかもしれない。

ドラゴンに敵う従魔などそうそういるわけもなく、事情を知る者はあの男と対戦することを避けた。

なので、街にやってくる新顔の従魔師を見つけては、うまく誤魔化して対戦しているのが専らであった。

街の者達もその辺りは面白がってわざわざ注進せず、闘技場に出て来て初めて目にするドラゴンに驚く者達を見て騒いでいた。

闘技場まで出てくれば、後戻りは出来ない。


久々のドラゴンの登場に、否が応でもコロシアムは沸き立った。

しかも相手は幻の聖獣とも言われるペガサスと、獰猛で知られるグリフォンである(妖精は戦力として数えられなかった)。

皆賭け札を握りしめ、ペガサス達を応援していた。一部はさっさとくたばれとヤジを飛ばしている。最初の鐘に賭けた者達だろうか。


そして、今回は男がさんざん周りに吹聴していたのだが、負けた方が勝った方に従魔を1体譲るという約束が交わされたそうだ。

男はペガサスを怪我させないように手に入れるのは大変だと、散々自慢していたのであった。


従魔師達は後ろにある物見櫓へと上る事になっている。

男はさっさと上ってしまい、勝利は確実とばかりに、腕を組んで偉そうに闘技場を見下ろしている。

女の方は、何故か抱いていた黒猫を下ろし、ペガサス、グリフォン、多分妖精と黒猫を順繰りに撫で、何か一言二言言葉をかけ、櫓へと上って行った。


両者が対峙し、大きな鐘が一度鳴らされ、試合が始まった。


「グオオオオオオ!!」


ドラゴンが吠えると、その顔の横にバスケットボールくらいの火の玉2つが現われた。

それはペガサス達の方へと発射され、盛大に爆発する。

観客達が騒ぐ。落胆する者、狂喜する者、ヤジを飛ばす者、嘆く者。

様々な反応を示すが、皆一様にペガサス達がやられてしまったと思っているようだ。


その時、爆発の煙の中から、グリフォンが飛び出して来た。

観客達がざわめく。

あの初撃をくらい、無事な者がいるとは。

歓声が沸き起こる。

残念がる者、喜ぶ者、皆声を上げ、視線はグリフォンを追いかける。


「グアー!」


グリフォンも声を上げ、ドラゴンに比べると小さな火の玉を出し、ドラゴンへぶつけだした。

しかし、魔法耐性、物理耐性が生物の中でもダントツのドラゴンである。

しかも火に対しては、体の色が赤いことからも、完全耐性を持っていることが窺える。

そんな攻撃へでもないとばかりに、避けるどころか微動だにしない。

だがグリフォンはしつこく火の玉をドラゴンに向かって放ち続ける。


煙の中から、ペガサスも飛び出して来て、コロシアムの大分上の方で空中停止した。

何かを狙っていることが分かる。

ドラゴンはそちらに目を向け、ペガサスに攻撃しようとするが、グリフォンが良い感じに邪魔してきて、それもままならない。

ならば先にグリフォンをと、口を開けてグリフォンを追い回すが、小さいと言えどもさすがグリフォン。すばしっこく逃げ回り、隙を見つけてドラゴンに攻撃した。


イライラとグリフォンを追い回すドラゴン。

逃げるグリフォン。


しばしその攻防が続いていたが、突然、ドラゴンがビクリと体を震わせた。


1回目の鐘が鳴った。

嘆く者、称賛する者、皆戦いを食い入るように見つめる。


ドラゴンが、何やら後ろを気にする態を見せ、グリフォンに集中出来なくなる。

グリフォンはここぞとばかりにドラゴンに攻撃する。

少しして、闘技場の端で、紫の炎が一瞬立ち上ったのだったが、ほとんどの観客はそれを見ていなかった。見ていた客も、目の錯覚かと目をこするのだった。


ペガサスが嘶いた。


それが合図だったのか、グリフォンがドラゴンと距離を取った。

逃がすものかとドラゴンが首を伸ばしてくるが、それより早く、天から光が落ちてきた。



ドンガラガラビシャン!!



耳をつんざくような大音響に、観客達が耳を塞ぐ。

稲妻の光が一瞬辺りを白く染め、ドラゴンを貫いた。

しかし、ドラゴンの鱗はそんな稲妻をも滑ってしまい、まったくダメージを与えられない。


与えられないはずだった。


ドラゴンが突然飛び上がった。


ずしんと大地が揺れる。

ドラゴンが何やら、後ろを向いたり前を向いたり、忙しい。上を向いたり下を向いたり、横を向いたり後ろを向いたり。

観客達が、何かあったのかと首を傾げる。

しかし、特に外傷らしき外傷も見えなかった。


ペガサスは力を使い果たしたのか、地面に降りて羽を畳んでいる。

グリフォンはまだ元気があるらしく、ドラゴンの顔に向かっていく。

目の良い者が見れば、その背に妖精が乗っているのが見えたであろう。


グリフォンがドラゴンの揺れる頭に近づくと、妖精が何やら手に持って、それをドラゴンに投げつけた。

上手い具合にそれが目に当たる。

すると、ドラゴンが余計になにか悶えるようになった。

短い前足で、必死に目の辺りをこすっている。

なんだかとても辛そうである。


その隙に、反対の目の辺りまでグリフォンが来ると、また妖精がドラゴンに向かって何かを投げた。

それが目に当たり、何か赤い粉を撒き散らす。

ドラゴンが余計に身悶えし始める。


妖精が投げた何かによって、目が利かなくなり、しかもなにやら苦しんでいる様子。

観客達がざわめきながら見守る中、グリフォンが地面すれすれまで降り、そこから風を纏って、思い切りドラゴンの顎に体当たりした。

油断している所にクリーンヒット。

ドラゴンはあっさりと意識を手放し、体をぐらつかせると、ゆっくりと地面に倒れていった。



ズズゥン・・・



地響きが鳴り響いた。

コロシアムは、恐ろしい程静かになった。


しばらくすると観客達が一斉に歓声を上げた。

喜びの声なのか、悔しさの声なのか、驚きの声なのか。

悲喜こもごもの歓声の中、女冒険者が櫓から駆け下り、下で待っていたペガサス達に駆け寄る。

ペガサス、グリフォン、(見えにくいけど)妖精、と黒猫。

嬉しそうに駆け寄り、また始まりの時のように順々に頭を撫でていく。



一方、男の方は、櫓の上で膝を付き、放心していた。


自分の文章力の低さに幻滅。

何故もっと迫力のあるシーンが書けないのだろう・・・。

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