試合前
前回のあらすじ~
クロが暗躍している。ひとつ摘んでは八重子のため~♪
目を開けると、可愛い黒猫の顔。
「八重子、さっさと起きろ。今日はバトルの日だぞ」
目を閉じた。
「目を閉じても夢にはならんぞ」
夢オチでしたとかないか!
昼前の言われた頃にコロシアムにやって来た。
私を見るなり、係の人は親切に何処に行けばいいのか教えてくれた。
「頑張れよ」
ちょっと可哀相なものを見る目で言われたのだが。
「どうやらあの男が散々吹聴して回ったらしいの」
今日はシロガネもペガサスの姿で来ている。
ただでさえ目立つのに、余計に視線を集めてる気がしたんだよね。それのせいか!
[○○受付]と書かれた所へ行く。まだ○○の部分は読めないが、選手受付みたいな感じだろう。
手続きをして説明を聞いていると、
「よう! 逃げずによく来たな!」
あのしつこい男の声が聞こえてきた。
逃げる? ああそうか、逃げれば良かったんだ。
でも今からバックれるわけにはいかないよねー。さすがに本人目の前だしー。
それにクロが絶対に勝てると言っているのだし、クロを信じよう。
「見ろ、書類を作ってきたぞ! さあこれにサインしろ!」
と言って目の前に何か書かれた紙を押しつけて来る。
ヤバい、まだ良く読めないんだよね。
なんとか拾える単語を拾い、クロの手も借りて読むと、まあ、負けた者は持っている従魔を1頭差し出すと書かれているらしい。
念のため、そこにいた受付のおじさんにも、紙に書かれている内容を確認してもらう。
「俺が卑怯な手を使うと思ってるのか?!」
なにやらぷんすか。
「公正な契約だと、第三者に認めてもらえば、書類の信憑性が高まるでしょう?」
「む、そうだな。それもそうだな」
うんうんと頷くと、受付のおじさんに文章を確認してもらう。
「はいはい。いいですよ。私が証人になりましょう。書類の正当性は認めました。負けた方が勝った方に、持っている従魔を1頭差し出すのですね。この私、ターレンが認めました」
おじさんに確認してもらい、覚え立ての自分の名前を書く。
ちょっと汚くなったけど、読めなくはない。
男のサインは既にしてあったので、これで契約は成立。後には戻れない。
「ふふん。この美しいペガサスが俺の物か…」
すでに勝った気でいるらしい。
シロさん、クロさん、や(殺)っちゃいなさい!
言いたくなるわ。
男と別れ、選手の控室へと行く。
従魔と一緒に入れるという造りで、かなり広くなっていた。
部屋はいくつかあるようで、他の選手?も別室にいるようだった。
今日だけで何試合行われるのだろう。
「あの男は、今までにも新人の従魔師などに口八丁でたらし込み、上手く試合に持ち込んでいたようだの。この街の従魔師はあやつが持っている従魔がドラゴンだと皆知っている。故に誰とも戦ってもらえないようだの」
ぼっちさんでしたか。
時間が来るまで、作戦を詳細に煮詰めていく。
何度聞いても、えげつないと思える作戦だ。
有効な手かもしれないけれど、批判が殺到してもおかしくない。
ドラゴンブレスは禁止されているようだけど、ショックで吐いてしまったらどうしよう。
「その時は、我がなんとか被害が最小に収まるように努力しよう」
シロガネ様様。
できるだけ怪我しないようにと、皆をナデナデして、時間が来るのを待つ。
いくらリンちゃんが治してくれると言っても、怪我するのを見るのはやはり嫌だ。
「大丈夫だ、八重子。できるだけ短時間でケリをつける」
「そうであるぞ、主。我らを信じて欲しい」
「クア!」
リィン!
皆の方がやる気満々だ。
「うん。頑張ってね! 応援してるから!」
私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
では、一丁行きますか!
キーナもあったし、キレが良かったので、短くてすいません。
見たらPVが500超えてました。ありがとうございます!
いろんな人に読んで貰えると思うと、やる気が出ますね!
明日も・・・、頑張れたら頑張ります。
次はとうとう従魔バトル。クロの考えたえげつない作戦とはいかに?




