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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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スタスタスタ

前回のあらすじ~

皆さんの証言をいただきました。

この街の名物でもあり観光地でもあるしと、コロシアムを紹介されたので行ってみることに。

でも物騒だし、1人で行くのも寂しかったので、シロガネとハヤテを迎えに行きました。

いや、クロは猫で、腕に抱いてるし、リンちゃんは頭の上だしね。


シロガネ人形態で隣を歩いて貰えれば、そこそこ不用心では無くなる気がするのだけど…。

違う意味で視線は集めてしまうが。

ハヤテはグリフォンの姿で。この姿でも可愛いと思う。

人の姿になってみたいと言っていたけど、まだ不安定だから止めるようにと、シロガネとクロに諭されていました。可愛いな。


シロガネが人形態だと荷物を持って貰えるので助かる。荷物多くなってきてるからちょっと重いのよね。クロは別です。

シロガネとハヤテを引き連れて、街の真ん中よりやや北にある、ででんと構えたコロシアムにやって来る。コロシアムというだけあってでかい。

実は街に入ってきた時から目に付いてました。

1つだけ不自然にでかいからね。


街は従魔を引き連れた人をよく見かけた。おかげでハヤテを引き連れていても然程目立たない。いや、珍しい従魔だと注目は集めてましたが。結局目立ってたか。


入り口で入場料を払う。1人鉄貨5枚。シロガネと2人で銅貨1枚。かなり安い。従魔は無料だった。シロガネも従魔の姿の方が良かったか?

そう言ったら渋い顔してました。


中に入って、しばらくでかい通路を歩く。その脇にはいろいろな店があり、それを見ているだけでもかなり楽しい。

ここで軽食などを買って、席で座って食べながら見るのだろう。

ちらりと料金を見ると、やはり少し高めだった。

お腹は空いていないのでその辺りは無視。階段を上って、上部に出る。座席はほぼ埋め尽くされており、座れる所が見つからない。


真ん中の闘技場では、オークとオーガと見られる魔獣が対戦していた。

双方剣と盾を持ち、ガッツンガッツンやり合っている。

皆手に何か札を持っている。あれ、賭け札だよね?賭け事もどこかでやっているらしい。


とりあえず邪魔にならない、一番後ろにでも行こうと、階段を上って一番上の通路で立って観戦。

勝負は良い感じに拮抗しているようだ。

でも私はあまりこういうのは好きじゃないなぁ。

プロレスとか、ボクシングとかもあまり好きな方では無いし。

しかもあの従魔達、つまる所、命賭けてるんだよね?見てるのが怖いな。


え?ゴブリンとかオークとかいろいろ見ているだろって?

それとは違うのよ。

あれは命を守るために必要な事だったとある意味割り切れるけど、今戦ってる子達は、戦う意味もなく戦ってるのが嫌なのよ。

多分命令されたから否が応でもって感じでしょ。それは見ていて胸くそ悪い。


プロレスとかボクシングの人達は戦いたくて、自分の名誉とか名声とか、そういうのを勝ち取るために戦ってるから凄いなと思えるけど、彼らは勝っても、それは彼らの勝利ではなく、彼らの主の勝利になるから。

ポ○モン状態だよね。

良い主ならいいけどな。話聞くと結構従魔って道具扱いなのよね。


オーガの剣が勢いよく振り下ろされ、オークがそれを捌ききれず、盾を落としてしまった。

そこにすかさずオーガの剣が横薙ぎに振られ、深々と空いている胴に突き刺さった。

目を背ける。

歓声が上がる。


「いいぞ! そのまま挽肉にしろ!」

「殺せ! 殺せ!」


聞いていてあまり気持ちよくない言葉が飛び交う。

そのまま、オーガがオークを倒したようで、あちらこちらで嬉しそうな歓声や、悔しそうな悲鳴が聞こえてきた。


「主、苦手なのであったら、早々にここを出た方が良いであろう。顔色が悪いぞ」

「そうだね、シロガネ。ありがと」

「大丈夫か八重子」

「うん。クロ、やっぱり私には合わないみたいだよ」


混まないうちにさっさと出ようと言うことになり、また階段を降りて行く。

入り口への通路へ向かう階段を降りながら、クロが説明してくれた。


「元々は罪人を戦わせていた所らしいの。罪人同士、または罪人と捕まえて来た魔獣とかの。それがいつの頃からか、魔獣同士を戦い合わせるようになり、そこに従魔師が連れてきた魔獣同士を戦わせるようになりと、いつの間にか従魔師同士の戦いになって来たようだの。従魔師にとっても、良い稼ぎ所というところかの」


強い魔獣を捕まえて、ここに来て戦わせて、勝てば一攫千金も夢じゃないらしい。

何処の世界でも、賭け事は人気なのだね。

階段を降りきって通路に出る。


あ、よく見れば奥の方で「はったはった!」と叫んでいるおじさんが。

あそこが賭け事の受付みたいだね。

まあ私は用がないしと、来た道を戻っていく。


いろいろなお店をちょいちょい見て、面白そうなものがあったら買ってみようかと考えながらも、結局外で買っても同じ事かと考えてやめた。

そんなふうにしてたら、


「おい、お前」


お前さんなんて知らないので素通り。スタスタスタ。


「おい! そこの! お前だよお前!」


誰のことだか知らないけど、早く返事してあげないと可哀相ですよ。


「お前! そこのグリフォン連れてる女! お前だよ!」


グリフォン連れてる女?はて、私以外にもいたのか。


「探すな! お前だ!」


周りを見渡していたのを止めて、後ろを振り向いて、相手の顔を見る。20歳はとうに越えてるだろうおっさ…じゃなくてお兄さんがこちらを見ている。

私?と自分を指さすと、


「そうだよ。お前だよ」


またお前と言われた。


「私に何かご用でも?」


私は用がないけど、あまり無視してもうるさそうなので一応聞いてみる。


「おう。お前、ペガサスを連れた噂の冒険者だろう?」

「人違いです。では」


スタスタスタ。


面倒くさいから人違いを装って歩き去ろうとしたが、


「嘘を吐くな! ペガサスとグリフォンを連れた弱っちい女冒険者なんて他にいやしねえぞ!」


弱っちい…。まあ、私弱いけど…。


「ペガサスは宿にでも置いてきたのか知らんが、そのグリフォンが証拠だ。お前が噂の冒険者だろう?」


う~ん、ハヤテも人化させるべきだったか?

どうやらシロガネには気付いていなさそうだ。


「主、りますか?」


シロガネが囁いてきた。

「やり」が「殺」になってます。シロガネ、どうどう。

私もついつい、


っておしまいなさい」

と何処かの黄門様みたく言いそうになっちゃうよ。

その時は助さん角さんじゃなくて、シロさん、クロさん、かな?ゴロ的に。

シロガネを落ち着かせながら、ていうかハヤテも相手を睨み付けている。ハヤテもどうどう。


「そうだったらどうだと言うんですか?」


一応聞いてみる。本心は無視して立ち去りたい。


「やはりそうか。どうだ。俺とバトルをしないか?」

「私は戦えませんので。では」


スタスタスタ。


「バトルと言っても従魔バトルだ!」


男が追いかけてくる。ああ、面倒。


「お前も従魔を連れてるなら、バトルしたいだろう? だから俺様直々に…」

「いえ、私はバトルなどしたいなどと一欠片も思いませんので。では」


スタスタスタ。


「なんでだ! 従魔がいるならバトルしたいと思うだろう!」


追いかけてくる。ああ、面倒。


「何故バトルしたいと思うんですか?」

「そりゃあ、金のため、名声、名誉のためだろう」

「興味ありません。では」


スタスタスタ。


「ま、待て! そんなはずはないだろう! 大金が手に入るんだぞ! 冒険なんか出なくても大金を掴めるんだぞ?!」

「お金はそこそこ持ってるので。では」


スタスタスタ。


「いや、だがしかし、有名にもなれるんだぞ?! そうすれば良い所から声がかかって、そのまま安定の就職が…」

「今はまだどこかに落ち着く気はないので。では」


スタスタスタ。


「みんなから尊敬されるぞ?!」

「されたくありません。では」


スタスタスタ。

いつまで続くんだこれ。

払っても払っても男が追いかけてくる。

いい加減うんざりして、「シロさん、殺っておしまいなさい」と口に出かかった時。


「八重子、面白そうだ。あの男の申し出、受けてみろ」


クロが顔を耳に近づけて来て、そう呟いた。

左肩にぺたりとくっつく感触が温可愛い。猫が湯たんぽ代わりって納得できるわ。


「どういうこと? 皆を怪我させるなんてやだよ?」

「多少は仕方あるまい。このままではあの男、宿にまで着いてくるかもしれんぞ」

「それはやだわ」

「我が輩に考えがある。こう言うのだ」


クロがボソボソと作戦を呟いた。


「バトルをした方が、従魔の価値も上がって売る時に値が上がるぞ?!」


ピタリと足を止め、まだ着いてくる男に向き直る。


「分かりました。そのバトル、受けましょう」

「おお、本当か?!」

「ただし! 条件があります! この条件が飲めなければ受けません!」

「ほう、どんな条件だ?」

「まず一つ目、私が連れている子ら全員一緒に戦わせること。この条件を飲めますか?」

「全員一緒? へ、まあ良いだろう」


ハヤテとリンちゃんを交互に見る男。シロガネには気付いていないようだ。

全員一緒で良いというなら、クロが言ったことは間違っていないようだ。


「二つ目勝ったた方が、負けた方の従魔を1体もらい受けることが出来る。この条件を飲めますか?」

「勝った方が相手のを貰える? そんな面白いルール使って良いのか? お前がいいなら俺も良いぞ」


男がニタリと笑う。

やはり絶対に負けないという自信があるのだろう。


「以上の2つで構いません。道具は自由に使っても良いのでしょう?」

「ああ、道具は自由だ。ま、道具が役に立つか分からねぇがな」


くっくっくと男がこちらを馬鹿にするように笑う。


「よし。じゃあ明日の試合に組み込んでもらっておくぜ。時間は昼以降で頼んでおく。その頃にまたここに来い。せいぜい頑張れよ」


そう言って、やっと男が去って行った。

ああやっと離れてくれた。ほっと息を吐く。


「あ、主、その、そんな約束を…」


シロガネがオロオロしている。

勝った方が相手のをってのを気にしているのだろう。


「大丈夫よ。クロが大丈夫って言ったんだもん。ね? クロ、大丈夫だよね?」

「もちろんだぞ。どんな相手でも勝つ自身がある」

「クア~」


ハヤテもちょっと不安そう。


リィン…


あらら、リンちゃんまでも。


「しかし、あの男の従魔がどんなものかも分からないのに…」

「それがね、クロが言うには、あの男の従魔…」

「あの男の従魔は?」



「ドラゴンらしいの」


なかなか画が浮かばなかったので書けませんでした。

やっと良い感じに浮かんできました。

きっとスランプだと思います。多分。


とあるカメムシがうるさいので、ミント経の匂いがよいと聞き、ベランダに撒いてみました。

効果は、あるっぽいです。

今日は珍しく洗濯物に付いてなかった。

ちょっとミント臭くなって猫が微妙な顔してますが。

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