表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
41/194

盗賊が出た!

前回のあらすじ~

お風呂に入った。

その後も順調に旅は進んだ。

何故か野宿なのに食事が新鮮な肉と野草だったりするのだが…。

今後のためにと一応解体の仕方なども教えてもらったりもしたが、なかなか難しい。

ちょっと大きめのナイフも検討しよう。

調味料なども教えてもらい、買ってみようかと思案中。


ただ、ボーッと見てるのもなんだからと調理を手伝ったら、「ヤエコは見張りを頑張ってくれれば良いから!」と追い出された。

ちょっと鍋に引っかかって全部零したり、何かの弾みで塩の蓋が取れて全部突っ込んでしまったりしただけなんだけど…。


他意はない!事故である!


食後の食器洗いだけは参加させて貰えた。

金属や木で出来たものばかりで割れる心配はないからね。

割ってはないよ!落としたりはしたけど…。

シロガネとリンちゃんが水系の魔法が使えて良かった。私あまり役に立ってない?

考えないようにしよう。


宿場村もどこでもお風呂があるわけでもなく、ない所ではいつも通りタライ風呂。

ユートピアに行きたいなぁと零したら、クロに睨まれました。

いや、そこに何かヒントがあるかもしれないしね!


もう2日程でソラマメの街に着くと言う所で、事件は起こった。

旅につきもの、盗賊が現われたのである。











「八重子、どうやら盗賊のようだぞ」

「ふえ?」


歩き疲れてシロガネの背に揺られていたら、クロに起こされた。

ちょっとウトウトしていたらしい。いや、さすがにちょっと疲れが…。

警護の仕事中だろ?はい、すいません。

ハヤテはお空の散歩中。いえ、上空から警護中です。


「盗賊? でも先頭からまだ合図来てないよ?」


あ、いや、クィドさんがこっちに向かって手を振っている。

そして荷馬車が止まった。

馬車の影で見えないけれど、盗賊が立ち塞がっているらしい。


「主、少し降りて待っていて頂けるだろうか」


シロガネからそう言われたのは始めてだ。


「ん、分かった」


素直に降りて、荷馬車の後ろで待機。

もちろんだが、私は戦力に数えられていない。

私の戦力はシロガネとハヤテだ。クロは秘密なので。

男達の言い争う声が少し聞こえた後、金属がぶつかる音がし始めた。

戦いが始まったんだ。


「後ろからも来てるよ!」


メイサさんの声が飛んできた。

よくある挟み撃ちになってるらしい。


「盗賊の数が多いな。下手すると押し切られるぞ」


クロが呟いた。


「よし、我が出よう」

「シロガネ、気をつけてね」

「うむ。主を傷つけるような輩は許さぬ」


今は荷馬車の警護なんだけどね。

シロガネが前の馬車に向かって走って行った。

うん、ちょっと怖いね。

いななきと風の音が聞こえる。風の魔法を使ったのか。


「まずいぞ! 押し切られる!」


後ろか声が飛んできた。

後ろの荷馬車にはメイサさんとガルズさんが警護していたはずだ。

ハヤテはどこへ行ったのだろう。


「八重子、従魔紋を使え。ハヤテを呼ぶのだ」

「ええ?! どうやって?!」

「知らん」


それじゃ使えないでしょうが!!


「念じるのではないか?」

ということで、従魔紋に向かって念じてみました。


(ハヤテ、ハヤテ、こっち来て! 皆を助けて!)

「クアー!」


本当に来た。


後ろの方に火の弾が落ちて行き、小さな爆発音がしてくる。

ハヤテの魔法だろう。

これで前と後ろは大丈夫だ。そう安心したらば、


ガサリ


横手の森の草が動き、3人程の人相の悪い男達が飛び出して来た。


「ひいっ!」


あまり手入れされていないような剣を振りかぶり、こちらへ走ってくる。

クロを荷馬車に押し込み、やけくそでナイフを手にする。

絶対無理。敵わない。切りつけられる。死ぬ。

膝が震え出す。立っているのも辛くなる。でも動かなければ死ぬ!


「!!!」


ナイフを突き出したまま動けない私に向かって男が突進してくる。


怖い怖い怖い!来るな来るな来るなぁぁぁぁあああああああ!!!


声にならない悲鳴を上げつつ、切りつけられると覚悟して目を瞑ったその時、


「うああああ?!」


男の悲鳴。

一向に切りつけられる気配もなく、恐る恐る目を開けると、ツタに絡まり宙づりにされている男達。

訳が分からずポカンとそれを見上げ、クロを見るが、クロが顔を横に振る。

では誰が?

頭の上から緑の光をいつもより強く身に纏ったリンちゃんが降りてくる。

こちらを見てにっこり笑うと、男達を睨み付けた。

リンちゃんがやってくれたらしい。


思わず気が抜けてへたり込む。

ああ、怖かった。

しばらく暴れていた男達も、観念したのか、大人しくなった。

前後の戦闘の音もしなくなり、戦いが終わったことを知る。

シロガネとハヤテが走って来た。


「主、大丈夫であるか?」

「クア~」

「ありがと、大丈夫だよ。リンちゃんが大活躍だったんだから!」


リンちゃんがテレテレしている。可愛い。


「我も頑張ったであるぞ!」

「クア!」

「うんうん、2人共ありがとうね」


シロガネの鼻筋と、ハヤテの頭をなでこなでこ。

嬉しそうです。

事前になるべく殺さないように言い含めていたためか、死者はなかった。

なんだか気持ちが悪いほどに大人しくなった盗賊達を、リンちゃんのツタで数珠つなぎにして、荷馬車にその先をくくりつけ、出発。

街に着いたら衛兵さんに引き取ってもらえば、報償金がもらえます。


必要最低限の水と食料を盗賊達にとらせ、えっちらおっちら街まで行進。

その後は特に何事もなく、街まで辿り着いた。

衛兵さんに盗賊達を引き取ってもらい、報償金をもらい、私達はソラマメの街に入る。

報償金はほとんどを私がもらってしまった。

いや、ほとんどシロガネとハヤテが倒してくれたからだって。

なんだか良いのかなと言う気もするが、ありがたくもらっておきました。


商人さん達に大袈裟にありがとうと何度も言われ、依頼書にサインをもらい、月夜の風の面々と共にギルドへ向かう。

依頼達成したということで、依頼料をもらい、お勧めの宿屋を聞く。

そこで月夜の風の面々と別れることになりました。

最後までやんわりと勧誘されたけど、やはりやんわりとお断りしました。

いい人達ではあるけどね。


厩舎にシロガネとハヤテを入れ、部屋に入って荷物チェック。


「大きめのナイフ買った方がいいかな?」

「そうだの。この先入り用になるかもしれん。買っておいても良いかもしれんの」


というわけで、街に繰り出す。

ソラマメの街も結構大きな街のようで、かなり人で賑わっている。

道具屋へ行ってみる。

今持っているものよりも少し大きめのものが揃えてあった。

みんな解体するのだろうか?

手に馴染んだ物を選び、買うことに。これからは解体もちょっと頑張ろう。

お会計に行くと、道具屋のおばさんが、リンちゃんを見つけて驚く。


「あれま、この子は従魔かい?」

「ええ、そうですよ」

「てことは、あんたも従魔師かい? ここへは戦いに?」

「は? 戦い?」

「え? 知らないで来たのかい? 今この街では従魔同士ぶつけあう、従魔バトルが熱狂してるんだよ。強い従魔がいたら戦い合わせて、賞金をもらうんだよ。まあ、こんな小さな従魔じゃ、戦いにはならないだろうけど」


そう言っておばさんがかっかと笑う。

いや、ポ○モンじゃあるまいし、戦わせたりしませんよ?

しかし、従魔バトルって、なんだ?










「は!」

「ん? なんだ? 答える気になったのか?」


尋問室で尋問していた衛兵が、さっきまで気味が悪いほどポヤンとしていた盗賊を睨み付けた。

盗賊がなんだか、たった今目が覚めたような顔をして、周りを見渡す。


「ほら、早く答えろ!」


衛兵が先を促す。

すると、衛兵の目を見つめ、盗賊が何故か泣き始めた。


「戻って…、戻ってこれたのか…、おれ…」


おいおいと泣き始める盗賊に、衛兵が呆気に取られる。


「おい、お前、何言ってんだ…」

「衛兵さん! 俺全部喋ります! そんで罪を償って、今度こそ全うに生きます! もうあんな所(・・・・)二度と行きたくない!」


そう叫ぶと、盗賊はペラペラと自分がやったことを喋り始めた。

どうせ犯罪奴隷になってしまうのではあるが、「あそこ(・・・)よりまし!」といって、全員にこやかに罰を受けることになった。

盗賊達の言っているあそこ(・・・)というのが理解できず、衛兵は頭を掻くしかなかったのである。


前の子達は朝ごはんの時間になると、オイ起きろと起こしに来てくれましたが、今のすずんこさんは、食が細いせいか、起こしに来てくれません。

なので休日は気付くと9時になってます。

一緒に腕の中でスヤスヤ寝ている寝顔を見ると、幸せで1人布団の中で藻掻いてます。

猫の寝顔は天使です! 平和の象徴です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ