表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
22/194

名前を付けよう

前回までのあらすじ~

妖精と仲良くなれたっぽい。

ギルドにやって来る。ペガサスは中には入れないので(物理的に)、グリフォンと一緒に外で待っててもらう。

道中視線が痛かった。早く手続き済ませて街の外に行こう。

いつものエリーさんの所へ。


「おはようございます。これ、お願いします」

「おはようございます。はい。お預かりします」


チラリと私の頭の上を見ながらも、手早く処理をしてくれるエリーさん。


「これで、依頼達成件数が20件に達しましたので、おめでとうございます。ヤエコさん、Fランク昇格ですよ」


おお、ありがたや。

冒険者証を渡して、更新してもらう。


「では、改めて冒険者ギルドへようそこ。これからの活動に期待しております。

そして、改めて説明させて頂きますと、これからは依頼達成件数ではなく、貢献ポイントを貯めてもらうことになります。貢献ポイントは依頼によって異なります。緊急性の高いものや指名依頼などはポイントも高く、常時依頼などはポイントは低くなります。依頼を失敗されますと、大きくポイントも削られてしまいますので、ご注意下さい。

そして、ポイントを貯めますと、昇格試験が受けられます。ポイントを貯めても、昇格試験に合格できなければ昇格できません。Bランクに上がる際には、先に申しました通り、筆記試験もございますので、ご了承下さい。

それとご注意頂きたいのですが、3ヶ月間何も活動をされないと、冒険者資格剥奪となりますので、資格を剥奪されたくなければ、3ヶ月に1回は何か依頼をこなして頂きますようお願い致します。ここまで何か質問はございますか?」

「大丈夫です」


よくある設定ですね。


「それではヤエコさん、頑張って下さいね」


新しくなった冒険者証を受け取る。

おお、Fって書いてある。


「早速何か依頼を探しますか?」

「いえ、今日はさすがにお休みします。ペガサス達を散歩に連れてってあげたいし」

「ああ、そうですよね。ペガサスとか従魔にしてましたっけ。本当に先が読めないというかなんというか…」


あれ、エリーさんの顔が暗くなってますよ。


「お気を付けていってらっしゃいませ。まあ、一番警戒しなきゃならない人も、なんだかどうにかなってしまったらしいですしね」


一番警戒しなきゃならない人?誰だ?


「え、誰かいましたっけ?」

「・・・。ヤエコさん、危機意識低くないですか?! この街の領主代行のぶた…、じゃなくてアブーラ様ですよ!」


はっきり豚って言っちゃいましたね。


「なんだか眠れない病気になってしまったらしくて、ここのところ凄い静かなんですって。何があったのかみんな噂してますよ」


そういえば、眠る度に悪夢にうなされてるってペガサス達連れてきた人が言ってたっけ。

まあ、私にはどうにも出来ないし、今までやって来たことが返って来たということで、きっちり制裁は受けてもらおう。


「ヤエコさんに何もなくて本当に良かったですよ」

「エリーさん、心配してくれてたんですね。やだ嬉しい」

「私の担当している方なんですから、当然ですよ。それに、これからもいろいろ驚かせて楽しませてくれそうですしね」

「何か驚かせてましたっけ?」

「いろいろと」


まあ、猪獲って来たり、虹彩雉獲って来たり、草むしりを想定以上に早く終わらせたりしたっけ。虹彩雉またクロ獲ってくれないかな?


「それより、外、人だかり出来てますよ?」

「ええ?!」


振り向けば奴が、いるわけじゃなくて。

ギルドの外、めっさ人が群れてた。












慌ててギルドを出て、ペガサスとグリフォンに群がっていた人達をどうにかこうにか追い払い、急いで街の外へ。疲れた。

と言ってもどこへと行く当てもないので、いつもの薬草を採りに来ていた広場へ。


「ごめんね~。あんな目立つ所に置きっ放しにして」

「まったくだ。せめて追い払う人間を付けて欲しいものだ」

「ゴメンゴメン」


幾人か無断で触ろうと試みている人達もいたようで、その度にペガサス達は威嚇したりしていたらしい。

さすがにグリフォンに睨まれて、みんな萎縮していたようだけど。

グリフォンはやはり顔が暗い。

目に生気がないって言うのかな?とにかく暗い。


「さて、んじゃ、これからは自由時間です。自由にしてください」


と宣言する。

と、ペガサスが目をパチクリさせた。


「自由? 自由とは?」

「自由です。言葉の意味そのものです。草を食べたり空を飛んだり狩りをしたり花の蜜を飲んだり、好きにして下さい」


ペガサスの顔がぽかんとなってる。


「妖精さんも、花の蜜好きなんでしょ? どこかに咲いてるかもしれないし、飲んでおいでよ。そう遠くまで行かなければどこに行ってきてもいいからさ」

上向いても見えないけれど、頭の上でもぞもぞと動く感触。

リィン


「良いんだよ。行っといで」


もう一度、頭の上でリィンと鳴ると、緑の光がフワフワと飛び始めた。

なんだか嬉しそうだ。


「飛ぶ? 狩る? 我らに自由にしていいだと?」

「狭い所にいたから、文字通り羽伸ばしたいでしょ。そこら辺飛んで来たら?」

「いや、だが、いいのか?」

「何か悪いことでも?」

「いや、まあ、ないが…」

「ちょっぴりだけど、空の散歩を楽しんでおいでよ。私はここでクロとのんびりしてるから。あまり遠くに行っちゃダメだよ」


従魔紋の縛りの範囲ってものもあるらしいし。

戸惑っていたペガサスも、やっと理解したのか、グリフォンに話しかけ始めた。

馬語なので私には分からない。

暗い表情をしていたグリフォンが顔を上げた。そして空を見上げている。

何か話している感じでもぞもぞとしていたが、そのうちに話し終えたのか、ペガサスが飛び立ってから、グリフォンもちょっと辿々しい感じで、大空へと羽ばたいて行った。












どれくらい経ったのか、クロと一緒に草むらでうたた寝を満喫していた時、風と羽の羽ばたく音で目覚めた。


「帰ったぞ」


2頭共帰って来たようだ。

おや、気づけば妖精さんも私のお腹の上で寝ていたよ。起きたら転げ落ちちゃったよ。

しかし、妖精さんとかペガサスとかグリフォンとか、味気ない呼び方だよね。


「よし。名前を付けよう」

「魔獣に名を付けていいのか?」


クロが問いかける。

そういえばそうですね。名前が付くとなんかレベルが上がったりするんですかね?


「人の付けた呼び名など、我らに影響を及ぼすことも少ないだろう」


ペガサスさん博識。

ということで、名前を付けましょう。


「妖精さんは、リンちゃん。でどうかしら?」

「安直ではないかの?」

「クロって名前も安直でしょ」

「そうだの」


クロ納得。

リィン!

リンちゃん嬉しそう。

なのでリンちゃんに決まりです。


「ペガサスさんはね、やはり白と来たら、白銀シロガネでしょう!」


これ以上に相応しい言葉は私は思い浮かびません!


「シロガネ? 何か意味はあるのか?」

「え~と、銀と見まごうばかりの美しい白って意味じゃなかったっけ?」


違うかもしれない。


「銀と見まごうばかりの美しい(・・・)白…。ふん、なかなか良い名ではないか」


どうやら気に入ったようです。


「グリフォンさんはね、う~んと、パッと頭に浮かんだので、疾風ハヤテでどうかしら?」

「ハヤテ? また何か意味があるのか?」


白銀が聞いてきた。


「とてつもなく早いって意味だったと思う」


多分合ってるんじゃないかな?


「なるほど。グリフォンも本気を出せば我よりも早く飛ぶ事が出来るしな。良いではないか」


白銀は納得したらしいけど、本人は?

う~ん、よく分からないって顔をしている。


「じゃあ疾風で決まり!」


どうせ私が主なのだし、いいでしょ!


「2人(?)共もういいの? 疾風は狩りとかしなくてもいいの?」


猛禽類に猛獣の体なのだし、狩りは本能的にしたいのではないかと思うのだけど。


「我はもう良い。疾風、お前はどうする?」


クルル…


おお!初めて疾風の声を聞いたぞ!

そしてまた獣語で語り合い、


「疾風は狩りの仕方が分からんということらしい」


なんと?!


「疾風は卵から孵った時から、あの屋敷にいたらしい。今までこんなに自由に外に出たこともなく、餌も生き餌ではあったが、狭い檻の中、すぐに捕まえられるので狩りという狩りをしたことがないと。ちなみに疾風は多分、まだ産まれて3年といったところだな」


3歳?!疾風さんじゃなくて、疾風ちゃんだった!


「あららら。それじゃ狩りしてこいって言っても出来ないねぇ」


グリフォンが狩りできないって、まずくないか?


「なるほどの。では、我が輩が少し違うかもしれぬが、狩りの仕方を教えてやろうか」


クロがのそりと立ち上がった。


「教えられる?」

「そうだの。獲物の見つけ方から追いかけ方に捕らえ方まで、一通り教えて、それからは1人で練習してもらうしかないの」

「まあ、基本を知ってればなんとかなる…のかな?」

「狩りの出来ぬグリフォンなど、呆れて笑い話にしかならんぞ」

「そうね」


ということで、クロ先生から疾風に狩りのお勉強です。


「おい馬」

「馬ではない! ペガサスだ!」

「どっちでもよい。我が輩がいない間、八重子を守れよ」

「ふん! 言われずとも守ってやるさ。一応主なのだからな」

「我が輩は八重子を無傷で守り通すことができるが…、馬にできるか心配だの」

「馬と言うな! そんな簡単なことできぬわけがなかろう!」

「ほお、ではお手並み拝見といこうか」

「いいだろう!」


うまく乗せてますね。さすがクロです。

クロと疾風が森の中に消えていき、白銀とリンちゃんが残った。

ううむ。ちょっと心配だけど、大丈夫だよね?

白銀はちょっとむっとしながらも、適当に草を食べ始める。

私は特にすることもないし、また惰眠を貪ることにした。

まだ仕事の疲れが取れないのよね。


白銀、調べました所、銀の古語だそうです。違うね。

疾風、ハヤテまたはシップウと読む。早く激しく吹く風のことらしいです。ちょっと合ってる?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ