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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
21/194

わわわわ私

前回までのあらすじ~

八重子が寝ている間に、クロと妖精がコミュニケーション。

眼を覚ますと、首元に何やらひんやりとしたものが。

見たいのだけど、首を動かすわけにもいかず、顔だけ動かすにも顎が当たってしまうかもしれない。

なんとか視線だけを動かすと、ギリギリ緑色の仄かな光が見えた。

こ、これは…、妖精さん?

寝ている間に何があったのだろう?

動くに動けず視線だけを彷徨わせていると、気付いたのか起きたのか、首元からひんやり感がなくなった。

緑色のものが慌てたように鳥籠へと入って行った。


「妖精さん?」


入り口の所から、座敷童のように顔をちょっと出し、妖精がこちらを見てくる。

おおおお…、妖精さんが顔を覗かせてくれてるぞ。

嬉しくて涙がチョチョ切れそうになる。じ~ん…。


「ぬ、起きたか八重子」


定位置の左脇から、可愛い黒い顔が覗いた。


「く、クロ…。妖精さんが…」

「うむ。少し慣れたようだの」

「うあああああ、嬉しいにゃあ」


怯えて丸くなっていた子猫が、顔を見せて手の臭いを嗅いでくれたくらいに嬉しい。


「んふんふ。首元にいたぁ」

「気持ち悪いぞ八重子」


デレデレしてたらクロからツッコミ。酷くない?

上体を起こし、


「おはよう、妖精さん」


と語りかけると、


リィン…


と鈴が鳴るような音がした。


「お? 今の? お? 妖精さんの言葉?」

「のようだの」


つまり、おはようと返してくれた?

やべ、嬉し過ぎっす…。

嬉しさのあまり、口元を押さえながら小さく身悶え。

クロの冷たい視線にも萌え。

妖精さんがちょっと入り口から体を出し、こちらの様子を見ている。

おおお、興味津々ですね!

急いては事をし損じる、急いではダメです。

何気なさを装い(バレバレかもしれないけど)朝の身支度。

朝食摂ったらまずはタライ風呂です。近頃遅かったので朝風呂にしてましたので。


「朝ご飯食べてくるね」


そう言って部屋を出ようとすると、


リィン


おや、籠から出て来てくれましたよ。

フラフラと宙を飛んでいる。なんとなく何か迷っているよう。


「お主のしたいようにすればよい」


クロが腕の中からなにやらアドバイス。

いつの間に仲良くなったの?

おずおずと近づいて来る。うん、これ近寄ってみたいけど怖いなぁって感じだね。

なんとなく反射的に手を伸ばしてしまう。

猫さんへの挨拶は、まずは自分の手の匂いを嗅いでもらうことから始めるので、つい。

伸ばされた手にビクッとなり、またちょっと距離が離れる。

あ、手はやばかったかな?怖かったかな?

どどどどうしたらいいのかしらと、伸ばした腕を引っ込めることも出来ず、オロオロしていると、妖精さんが恐る恐る近づいて来る。


私は棒だ!そこら辺に生えてる木だ!


トンボじゃないって。

とにかく動かないようにじっとしていると、指先にちょん、と触れる感触。

見れば、指先に手を乗せ、こちらを怖々見つめている妖精さん。


わわわわ私はぼぼぼ棒だだだだだ。


可愛すぎて頭がパニックだよ。

するとフワリと飛んで、私の頭の上にちょこんと乗っかる感触。

おっふ。可愛いけどそこじゃ姿見れません。


「そこで大丈夫? これから人がちょっと多い所に行くけど?」


語りかけたけど、動く様子はない。


「まあ、いざとなったら、我が輩がどうにかしよう」


クロ様から有り難いお言葉を頂き、なんとかなるかと、部屋を出て下へと降りていった。

いつもの通り、食堂は大分人が引けた後のようで。

やっぱり起きるの遅いのかしら?

空いている席に座ると、ウララちゃんが私に気付いてくれた。


「おはようございますヤエコさん…。!!!」


ウララちゃんの顔が赤く染まる。

興奮からか?怒ってるわけじゃないよね。


「や、や、や、ヤエコさん…、そ、そ、そ、その、頭の子は…」

「やっと少し慣れてくれたようでね。でもまだお触りは禁止よ」

「ううう…。だ、大丈夫です。その辺りはしっかりと…」


苦しそうですが。

可哀相なのでクロをちょっぴり貸し出しました。

クロ、そんな嫌そうな顔しないで。

クロでちょっぴりモフ欲を満足させたのか、妖精さんをチラチラ見ながらも、テキパキ仕事をこなしていく。さすが看板娘。ここは看板娘1人です。

他のお客さんとかにもいろいろ言われそうだなと思ったけど、どうやらクロが気を利かせてくれたようで、他の人には妖精さんは見えないようになっているようだった。

クロさん万能。

お食事終えて、タライを借りて、部屋で簡単に湯浴み。

ここでクロのチート技を実は使わせてもらってます。

足元のお湯を宙に浮かべ、簡易シャワー。しかも周りに飛び散らない。

マジクロさん万能。

タライを返した後は、頼んであったお昼をもらって(今日から賄い飯がない。残念)、厩舎へ。


「おはよう、ペガサスさん、グリフォンさん」


朝の挨拶。


「ん? ほう、妖精を手懐けたか」


ペガサス、第一声がそれ。おはようくらい返してよ。

グリフォンはそっぽ向いたままだ。まあ、ずっとこの中だったしね。


「窮屈だったでしょ。だから街の外まで文字通り羽を伸ばしに行こう。今日は仕事も休みにしたし」


こういう時冒険者は休みを適当に決められて楽だわ。まあ、金銭的に余裕があればの話だけどね。

柵を外して、2頭に出て来てもらう。

ペガサスはまあ元気そうな足音。

でもグリフォンは、足を引きずるような重い足音。

う~ん、元気ないなぁ。

外に出られるというのに、嬉しさが欠片も感じられないのだなんでだろう?

不思議に思いながらも、皆で連れ立ってギルドへ向かった。

ギルドに行ってから思った。


ペガサス達は目立つのだから、ギルドに先に行って、あとで迎えに来たら良かったのではないかと…。


PVが増えてきており、ちょっと嬉しいです。

評価ポイントも頂けたらもっとやる気が出るかもしれません。

心の栄養プリーズ。

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