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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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レオサークを通り過ぎる

前回のあらすじ~

イスタがパーティーから外れ、金に困っていると言うので、投資という理由を付けてお金を渡した。

したらば、投資目的の有象無象に囲まれた。

投資してくれくれの烏合の衆を、クレナイの覇気で下がらせて、そのままそこから逃走。

クレナイの、


「これ以上来るなら殺す…」


というドスの効いた言葉も効いたのかもしれない。

明日にはこの街を出て行くので、その準備の旅の買い物。ゆっくり見て回りたかったけど、なんだか周りの視線が怖かったので、必要最低限の物だけ買って、宿屋へ逃げ込んだ。

あ、もちろん、お風呂は行きましたよ。これで行けなかったら、「クレさん、やっておしまいなさい」と言い出す所だよ。キャスト的にはクレナイはお風呂に入る美人さん役だと思うんだけどねぇ。


「主殿、明日はとうとう、光の宮かえ?」

「そうです。やっとことうとう、光の宮様です」


いい加減行きたい所はあちこち行ったし、クロのジト目も痛いしなので、とりあえず帰る方法があるのかないのかだけでも聞きに行くことに。あるなら聞いて、出来そうなら、そのままトンズラこいて、皆の従魔紋を解く方法を探してからまた行けばいいよね。


「楽観的だの…」


ん? クロさん何か言った?

もし、もしも方法がないと言うのなら、この世界で生きていく覚悟を持たなければいけないし…。

うん。実を言うと、今まで観光気分でした。

そういうけじめをつけるためにも、とりあえず行っときますかということで。


「どんな所なんだろうね」

「大体宗教国家というものは碌でもない所と相場は決まっておるがの」


ラノベあるあるですな。


「はて、妾も然程は知りませぬのじゃ。ただ、この世の最高神の一柱の光の神の力を宿す、御子なる存在のおわす場所とは聞いておるのじゃ」


それは文献にも載ってましたね。


「行ってみないと分からないってことね。今までと同じか」

「そうだの。まともな所であれば良いがの」


それフラグですか?

その後もあれこれと話しつつ、光の宮国について夢と希望と苦悩を抱えながら、眠りに就いたのだった。



















翌朝。まだ朝よ。朝ったら朝よ。午前中であることには変わりないからね!

いつものように人気の少なくなった食堂で朝食を済ませ、チェックアウトして宿を出る。

挨拶は昨日のうちにしておいたからいいだろう。


「では、出発しますか」


まずは国境を目指す。

と言っても、他の人と同じように乗合馬車でぽっくりぽっくりという訳ではない。シロガネに乗ってす~いだ。


「うん。シロガネ、なんて便利…」

「我がお役に立てるのであれば光栄である」


いや~、本当にいい足があって良かったわ~。


「ん? 何か気が削がれる気がするような…」


シロガネ、察しがいいね!


そんなアホな会話をしつつ、国境へ。手前で降りて、変身。従魔姿で行くより、この姿の方が審査が楽なので。

無事に国境を通過。国に入る理由を聞かれ、「光の宮に行きたいので」と答えたら、「ああ、参拝に行かれるのですか」と言われた。そこで伊勢神宮を思い出したのは私だけか。

面倒なので「そうなんです」と答えておく。違っているわけでもないし、嘘ではない。

念の為、犯罪などを犯していないかのチェックをやらされた。水晶玉に手を当てるだけなんだけども。これが噂の魔道具か。

もちろん全員無事に通過。リンちゃんも冒険者証を見せたがっていたけど、リンちゃんのみ従魔扱いで通してもらいました。いや、その姿では出来ませんぜ、リンちゃん。

折角なので、街に寄って、軽く食事でもしようという話しになる。


「やはりの…」


クロさんの呟き、聞こえません。

首都までは行かずとも、その周辺の街か村でいいので、この国の特産品でも食べられたらと、国境から一番近い街まで、もちろんシロガネに乗って飛んだ。

のんびり遊覧を楽しみながら、道に沿って飛んで行くと、ありましたありました。

早速降りて、姿を人に変えて、街へと入る。


「受験生ですか?」


門番さんに聞かれた。


「いいえ」

「それは失礼いたしました。どうぞ、お通り下さい」


特に問題もなく街に入った。


「受験生?」

「面白いの。レオサークという国は、学問の国らしいの。世界中から魔導師が集まってくるようだの」

「ほお~、学園都市か」


だから小さいながらも周りの国に負けていないのかな。

クロさん探偵の調査によると、首都に一番大きな学校があり、ここはその衛星都市の1つなんだそうな。受験は誰でもでき、もちろん子供からお年寄りまで幅広く。首都で幅広く学ぶも良し、衛星都市にて専門分野に特化して学ぶも良しという作りになっているのだそう。


「勉強か~。公式とかもう忘れてるわ…」


考えないと公式なんてすっぽり消えてしまうわね…。人の記憶の儚いこと。


「兵法、戦術などを学ぶ所もあるらしいの」

「何処の世界も戦争はなくならないのね…」


悲しい事だ。

その間にも、クレナイレーダーが美味しい店を発掘している。こればかりはクレナイに任せるのが一番。

そしクレナイお勧めの食堂に入る。もちろん、大当たり。クレナイが3人前で何やら悩んでいたが、「太るよ?」と笑顔でにっこり助言をしたら、そこでお終いにしていた。

ドラゴンの女性も、体型は気にするらしい。

食事はこの国で色々品種改良された物が使われているらしく、あまり見たことのない食材があった。美味しければなんでもいいでしょう。

せっかくなので、腹ごなしついでに学園とやらも見に行ってみた。

高い柵に広~~~~~い敷地。門の所に門番さんらしき人もいて、いちいち入る人をチェックしていた。そこそこセキュリティが高そう。


「きちんと結界も張られているである」


シロガネには分かるのか、街にも結界が張られており、学園にも結界が張られているのだそうな。無理に通過することは常人には出来ないだろう。常人には。

学園も中まで見ることは出来なかったので、早々に引き上げ。その他は他の街とあまり変わらず、まあ、貴族街というのがなく、高級住宅地に変わっているくらいか。身分の差はなくとも、貧富の差は相変わらずのようです。

野宿するのもあれだということで、少し早いけど宿を見つけ、今日はそこに泊まることにした。決め手は、宿屋の中に風呂があるというところだった。

うん、この街、マメダ王国の王都よりも発展している気がするよ。長湯のシロガネはもちろん大喜びしていた。













次の日、お風呂に名残惜しさを感じつつ(これも豪勢な西欧風の風呂だった)、街を出る。それほど大きな国ではないので、国境も遠くない。


注:それでも北から南までは馬車で1週間ほどはかかります。


シロガネに乗って国境まですい~。短い滞在時間だったが、レオサークはなかなか気に入った。暇があればまた来てもいいかも。なにせ、治安はいいし、お食事も美味しいし、そして風呂も豪華! また来ない手はないでしょう。

なんなら、何かを勉強する為に来てもいいかも?


















八重子達がレオサーク国の国境を越え、国を出て行った頃。


その前日のことである。黒猫を抱いた冒険者が国に入ったと噂が流れた。もちろんのことだが、あちこちで八重子のことは有名である。

とある研究施設で、戦術、それも広範囲殲滅術式系の研究をしていた人達が色めき立った。


「もしや、ドラゴンを連れた冒険者?!」

「これは、そのドラゴンについても質問するべきでは?!」


研究職は変人が多いのは有名(?)。早速その冒険者に会いに行こうと、我先にと研究者達が部屋を飛び出す。


「ふ、愚か者め」


その中でもそこそこ地位の高い、まあそこそこ冷静に場を見極める事が出来た者は、この国で開発が進められている、飛行能力のある魔物に人を運ばせる空輸の手段を選んだ。

地上を行くよりは遙かに早いその方法ではあったが、如何せん、ワイバーンにも運べる限界重量という物がある。ワイバーンに人の乗った、つまりは車輪のない馬車の箱を運ばせるのだが、普通は4人の所を、無理矢理詰めて6人乗った。なので重すぎてワイバーンが飛ぶのを嫌がった為、出発が遅れる事となったのだった。


ちなみに、陸路を選んだ方も同じような結果に。重すぎて馬が動けなくなったので、誰が行くかで大揉めに揉める事に。使える馬車も限りがあるので、行ける者は限られる。しまいにはあちこちで乱闘騒ぎが起こる事となり、事態が収束した頃には、半数以上の者が動けなくなっていたのだった。

そして、意気揚々と八重子に会う権利をもぎ取った者達であったが、時既に遅し。八重子達が寄ったという街に着いた頃には、すでに国境を越え、遙か彼方に行ってしまっていたのだった。

八重子達の移動速度を見誤った結果である。


研究者達は血の涙を流したそうな。


ブクマ、評価ありがとうございます!


昨日のこと。

「今日は筆が乗らないな~」

こっちの設定なんだっけ、あっちの設定どうだっけと探し回り、この先の展開について頭を悩ませつつ筆を進めるも、どうも乗らない。2時間頑張ったがもう今日は駄目だと寝ることに。

「さて、保存して、終わろ」

保存ボタン押してすぐに×ボタン。

「ん?」

何やら保存しますかと聞いてくるウィンドウ。

「するってばさ」

とイエスボタンをぽちり。閉じるウィンドウ。

なんだか嫌な予感・・・。

試しにもう一度ファイルを開けてみる。

すーーーーーとスクロールを一番下に。


消えてる・・・。


この2時間、あーだこーだと考えながら書き綴ったおよそ2000文字が消えている。

がっくりきた。


私の2時間を返せ・・・。


呟きながら、よろよろと布団に入ったのだった。



ちなみに、うちは布団派です。

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