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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
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ドラゴンの里の暇

前回のあらすじ~

リバーシやろうぜ作ろうぜ。

朝起きたらば、予想通り、皆リバーシに夢中。

クレナイとシロガネも混じって、皆朝まで対戦し続けたらしい。これだから体力のある人達って…。

ハヤテはコハクが面倒みていてくれた。なんて良い子…。

おはようと声を掛けると、


「おお! ヤエコ殿、どうじゃ、こいつをもう一つ作ってくれんか!」


と白爺。

それなら作り方はシロガネが知ってますと教えると、シロガネが連行されていった。頑張れ。


「あらあら、もうこんな時間なのですね」


と奥さん。

朝食は煮炊き係の人が忘れずに作ってくれていたようで、無事に食べる事が出来た。でも結構量が作ってあるから、これを昼にも食べろということかしら。

そして連行されていくコハク。

ハヤテもお友達達に連れられて行ってしまった。


「ちょっとまて。私はどうすればいいのよ」

「暇になったの」


リリン


リンちゃんも心配そうにテーブルの上に降りて、私を見上げる。

することねーわー。


「しゃーない。対戦でも見に行ってみようか」


長老様宅へ。

おや、誰もいない。

リバーシの卓も消えている。何処かに持って行ったらしい。


「仕方ない。仕事見物にでも行こう」


まずはコハクの所へ。


「あ、ご主人様」


10人くらいの里人達が、一心に薪に何かの図形を描いている。

こういうのって技術もだけど、絵心もないと出来ないのよね…。黙っておこう。


「どう? コハク」

「はい。ええと、皆さん一生懸命です」


褒め言葉がない。つまり見込みのある生徒がいないということか…。


「頑張れ…」

「はい」


そこを離れた。

次はシロガネの所。

こちらは6人程がシロガネの作業を見ていた。


「おお、主」

「順調?」

「まあ、そこまで難しい作業ではないであるからな」


だよね。四角い板作ってマス目書いてコマを作るだけだし。

少し見学して、その場から離れた。

次は多分クレナイ。

昨日の様子だと今日も同じ所で部分変化の練習をしているはずだ。

昨日の場所に行くと、やはり里の人達が集まってうんうん唸っていた。

白爺と奥さん、クレナイのご両親もいる。昨日だけでは習得出来なかったようだ。


「おお、主殿」

「どう? 誰か出来た?」

「まだまだじゃ。コツを掴むまではなかなか難しいじゃろう」


クレナイ苦笑い。


「早く、早く習得してリバーシを…」


白爺の呟きが聞こえた。

なんだ?何か枷でも付けられたのか?


「いっぱい作って遊ぶのじゃ!」


心配する事じゃなかった。

まあでも、部分変化は習得年数が低い者程習得しやすいというからね。もしかしたら白爺は最後かも。

大の大人達がうんうん唸っている光景を見ていてもつまらないので、早々にそこを離れた。













長老宅に到着。


「よし、明日にはここを発とう」

「することがなくて暇だから、かの?」

「イエス! イティズ!」


まだお昼にも時間がある。少ししか動いてないからお腹も空かない。


「せめてリバーシがあれば、リンちゃんとクロに相手して貰って遊べるのに」

「馬の所に見本が置いてあったぞ」

「よし、行こう」


再びシロガネの元へ。


「シロガネ~。最初に作ったリバーシある?」

「主、そこにあるであるよ」


上手い具合に切り株があったので、移動も面倒だしここでやることに。

パチパチとコマを並べ、まずはリンちゃんと対戦。

リンちゃんも人型になって、対面に座ってコマを裏返していく。

気付けば、シロガネの作業を見学していた人達がこちらに集まって対戦を見ている。気が散るんだけど。


「もし、今のそれを置いたのは、何故に?」


だんだん質問も飛んできた。

簡単にルールを説明し、こう置くとここがひっくり返ると教える。

そのまま対戦し続け、最後は私が勝った。ふ、まだ勝てるぜ。


「なるほど。ちょっとやらせて貰ってもいいだろか?」

「はあ、いいですけど」


ドラゴンの人達に席を譲って、緑髪の人と赤髪の人が対戦。

途中私がルールを説明しながら訂正する事しばし。しばらくやったら飲み込めたのか、殆ど口出しする事はなくなった。

そして、緑髪の人が勝った。


「なるほど! 確かにこれは、負けるとなんだか悔しいものがあるな!」

「わはは、勝てると面白いものだ」


赤髪の人が緑髪の人を睨んでるんだけど…。喧嘩しないでね。


「お、俺もやらしてくれ!」

「私もやってみたい!」


ジャンケンで順番を決め、それぞれに対戦し始める。

先に対戦した緑髪の人と赤髪の人は、シロガネの元へと戻って行った。


「長老様が面白いと言っていた事が分かった」

「確かにあれは面白い。数を作った方が良いな」


どうやら作業に専念するようだ。

板はすでに何枚か作られていて、シロガネがマス目を彫っている最中だった。


「どれ、細かい作業は難しいが、直線をただ書くだけならなんとかなろう」

「私もこのコマとやらならば、なんとか量産出来るだろう」


そう言って、赤髪の人が盤面に線を、緑髪の人がコマを作るようだ。

そこからは見ていて面白かった。

赤髪の人の爪の先が赤く染まり、触れた盤面が黒く変色する。そのまま横に縦に指を動かすと、見事に黒い線が引かれた。若干曲がっている気がするけど…。

緑髪の人が薪を持つと、それが掌の上でクルクルと回り、ポンポンとポップコーンのようにコマが回りに飛び散った。若干大きさなんかが不揃いに見えるけど…。


「待つである!」


シロガネからストップがかかった。


「なんであるかこれは! 線が曲がっておるではないか! そしてこちら、大きさなどが不揃いではないか!」


シロガネ、凝り性だったか。


「いや、別にいいだろう。対戦出来れば」

「うむ。盤面に乗れば大差はなかろう」


ドラゴンは大雑把だった。

そして、シロガネが大きな大きな溜息を吐いた。


「貴方方は、ドラゴンであるな?」

「いかにも」

「そうだが」

「我はペガサス。地の力にも秀でている種族ではある。しかし、ドラゴンには叶わぬと今日までは思っていた。だがしかし、このクオリティ。ドラゴン属とは、ペガサスに負ける程の魔法の使い手だったであるか?」


その言葉に、ドラゴンの2人がぐっとなる。


「我が作った物を見たはずである。それは、こんな作りの物であったであるか?」

「…分かった。やり直す」

「…そうだな。ペガサスが出来るなら、我らも出来ぬとな。長老に叱られてしまう」


素直に2人はやり直し始めた。

シロガネが、真っ直ぐ線を引くならばと、お手製の定規らしきものを手渡した。

一方、コマを作る方にも、見本を手渡し、厚さや大きさについて語り始めた。

職人だな。

私もどうせ暇だしと、コマを黒くするのを手伝った。












1日が終わり、長老宅へと戻ると、再びリバーシに走ろうとする長老達を捕まえて、


「明日、ここを出ようと思ってます」


と宣言。


「何故じゃ?!」


いや、することないし。

リバーシ制作は、あの2人が率先して作ってくれたおかげで、基本も大丈夫そうだし、数も3つほど仕上がった。コマを焼くのに時間がかかるんだよね。

コハクの方も、まだまだ基礎が出来ていないから、当分基礎の練習をしなければいけないらしいし。

クレナイの所は言わずもがな。大人組で出来た人はまだ誰もいないそうだ。年若い、まだ成人前の者達には、ちらほら出来る者が出て来たそうだが。

そして、私は何もない。今日もリバーシ制作がなかったら、1日寝ている事くらいしか出来なかった。暇すぎはいけない。

それを説明すると、白爺の顔が青ざめた。


「い、行かんでくれと言うても…」

「無理です」


必殺、にっこり殺法。何を言われても意見は変えぬ。


「貴方が悪いんですわ。ピピ」

「儂はムクじゃ!」

「お客様を放っておいた貴方が悪いんです。諦めなさい」


奥さんも私の事忘れてなかった?

そのツッコミは飲み込んで、残念がる白爺に一応礼を言って、幼少組と共に早々に寝付くのだった。

大人組は再びリバーシ大会。


「なんで卓が1つしかないのじゃ!」


出来た卓は赤髪さんと緑髪さんと、あとはジャンケンで勝った人が持ち帰っていたよ。

今頃里中でリバーシ大会してるんだろうね。


温かくなって、猫が膝から逃げるように・・・。寂しい。

あたちはもっとちゅんちゅんとベッタベタちたいのよーーーー!!

猫を飼ってから、冬の方が好きになりました。

夏は毛が飛ぶしひっつくしね。やはり冬が良い!

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