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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
134/194

悪者役は苦手

前回のあらすじ~

「やっとポージングが出来るのじゃ~」「格好良く行きましょう!」「であるな!」「あい~」リン!

ドッゴオオオ

「「「「あ! 主(殿)(ご主人様)がいた! わーい」」」」リリリン!

忘れた。

マメダ王国にドラゴンを従魔にした者が現われたと、周辺諸国に噂が駆け巡った。


そしてそれを見越したかのように、マメダ王国から正式に発表があった。

研究者がドラゴンの卵を入手。運良くドラゴンが卵から孵り、その生態研究の為に従魔にしたと。マメダ王国はこのドラゴンは生態研究の為であり、兵器に活用するものではないと、周辺諸国に約束した。


そうは言ってもドラゴンだ。周辺諸国は戦々恐々とした。


しかし、マメダ王国は建国のその時より、侵略行為はしないと公言しており、またその言葉を今日まで守っている。

懐疑心は消えないまでも、ドラゴンのいる国に攻め入る事も出来ず、周辺諸国は見守るしかなかったのである。


そんな中でも、マメダ王国の西にある山脈を越えた向こうにある、レカーテン帝国は、是非共にそのドラゴンを欲しがった。もちろん戦力として。

従魔にされてしまっているドラゴンならば、その持ち主がいなくなっても従魔のままだ。

帝国はどうにかドラゴンを物に出来ないかと、マメダ王国に工作員を送り込み、画策した。


しかし、初代、2代目共に、ドラゴンの研究の為にほとんど閉じ籠もり、王国の警護も厳重で届かず。

3代目に至っては、コロシアムにドラゴンを引き連れて、放蕩三昧。

3代目を始末しても、コロシアムに幽閉されている形になっているドラゴンに近づけず、何気に3代目にも王国から影の警護が付いており、結局手が出せなかった。


そんな中、ドラゴンが4代目の持ち主の手に渡る事となった。

今までとは違う自由な冒険者。この者ならば隙もあるやもしれぬと、工作員達は日々彼らを観察した。


ところが、これがまたなかなか、監視の目から逃げてしまうのが上手い。

こちらに気付いているのかと考えるも、そんな素振りも見せず。しかも、多数の従魔を連れているはずなのに、何故か近くに従魔の姿が見えない。

どこに従魔を隠しているのかと工作員達は調べるも、隠すのが難しいはずのドラゴンの姿さえ確認出来なかった。

何度も姿を見失い、捜索し、従魔を探し、そしてある時、王都にて活動していた工作員は、夕暮れに街を出て行った一行を、完全に見失ってしまうのだった。


それに引き替え、ナットーの街に潜伏していた工作員は、つい先日王都へ向かったという一行を街中で見つけ、驚く事となる。

何度か、何処に隠しているのか分からないペガサスに乗って移動しているのは確認されている。しかし、そのペガサスでさえも、王都からナットーの街まで1日で踏破出来るものではないと、計算によって導き出されていた。


それが、つい先日王都に着いたと報告を貰っていたのに、目の前を歩いていた。

報告が間違っているはずもないしと、首を傾げることとなった。

とにかく、なんらかの方法で、監視の目をすり抜け、王都ではなくナットーに戻って来ていたのだと結論づけ、周りに警護もいない事を確認し、これはチャンスではないかという結論に至る。

ただ、耳にした情報で、黒猫を抱いた従魔達の主はEランクではあるものの、その取り巻き達はAランクに至る冒険者だという事を知った。

工作員の数も限られており、戦闘になれば失敗の可能性が高くなる。


そこで、なんとかして穏便に誘拐出来ないかと考えられたのだった。

その誘拐の方法について模索していたら、連中が街を出ると言う。

慌ててその後を追い、街道ならば人目も少なく、突拍子もない方法ならばなんとかなるのではないかという、付け焼き刃の作戦となってしまった。

そこで、不自然すぎる馬車の中からの道を尋ねる形になったのだった。

誘拐した本人達も、まさかこんなに上手く行くとはと、警戒心のなさ過ぎる従魔達の主にちょっと呆れたのだった。


そして、彼らにとっての一番大事な問題。この従魔師の、従魔達は何処にいるのか。


妖精については頭に張り付いているのが分かっている。ペガサスは時折どこからか現われる。グリフォンも同様だ。しかるにして、ペガサスとグリフォンについては、街の近くの森の中にでも隠しているのではないかと推測していた。そして入り用になると従魔紋で呼んで使うのだ。


ところが、ドラゴンに関しては森の中でも隠しきれないはずなのに、その姿は何処にも見られない。従魔紋には離れすぎる事が出来ないという縛りがある。この女性の近くに、絶対ドラゴンはいるはず。なのに、街の周りの森にもどこにもその姿は発見出来なかった。

何か特別な魔法か何かで、ドラゴンを隠しているのではないかという結論になった。


とにかくこの女性を急いでレカーテン帝国のモッヒーノ伯爵領に運んだ。この女性がいるということは、必ず近くにドラゴンがいるということだ。

一応交渉はしてみようという伯の判断により、ベッドに女性を寝かせた。

もし失敗したとしても、薬で自我を奪い、ドラゴンを我が物にしようという作戦だった。

そして、見事に失敗する事となったのだった。















瓦礫も何もかも焼き尽くされ、その敷地内は綺麗な更地になっていた。

ちょっとやり過ぎたかもしれないとも思うが、今更だ。


「ほっほっほ。あ~、久々に暴れたのじゃ~」


地面に降り立ったクレナイが、良い笑顔でやって来た。


「クロ殿の言う通り。日頃の鬱憤もスカッとじゃ!」

「すかっと~」


スカッと2人組がわははと笑い合う。あ~、良かったね。


「うむ。偶にはこういうのも悪くはないであるな」


結界を解いたシロガネも、うんうん頷いている。


「皆さんの気分がスカッとしたのは良いですけど、これ、絶対話題になりますよ?」


コハクがぼそりと呟く。私に聞かせる為の呟きだったのか、独り言だったのか。

私の耳にその呟きは届き、一瞬ビクリとなってしまう。うん、これ、話題に上るよね~。


「目立たないで生きていくって、こんなに大変だったかなぁ…」


思わず呟いていた。

後ろに視線をやれば、固まってしまっているお方々。これどうしろってのよ。


「クロ。この後どうすればいいのよ」


ボソボソと腕の中の黒猫に相談。


「まあ、こんな風に言ってみろ。ドラゴン持ちの私に手を出せばこうなるのだと。もしこれ以降も手を出すならば、これ以上の報復を覚悟するが良いと。そして、帝国は私に喧嘩を売ったようだから、その喧嘩を買ってやろう。準備が出来次第、やられた分だけ、この国に報復してやろう。との」


なんか物騒な台詞なんだがね。

まあしかし、このまんまというわけにもいかないので、


「コホン」


1つ咳払いをして落ち着いて。


「ええと、ドラゴン持ちの私に手を出したから、こんな事になったんです! もしまた私達に手を出すようならば、これ以上の報復を覚悟して下さい! そして、帝国はどうやら私に喧嘩を売ったようなので、買わせて頂こうと思います! こちらも色々準備があるので、準備が整い次第、やられた分だけ、この国に報復しようと思います!」


以上!と言わなかっただけでも褒めて。

これを聞いたお屋敷の人達の顔が真っ青になった。青を通り越して白くなってる人もいるよ。

一番前にいたおでこさんが、慌てて土下座し始めた。


「も、申し訳ないのである! 全部わしが手引きした事であるから、どうか許して下さいいいい! 帝国は無関係なんですうううう!!」


めちゃくちゃ必死に謝っている。一言言おう。遅い。


すでに屋敷は跡形もなくなっちゃっている。もっと早く、せめてクレナイ達が来た時にでも土下座してくれれば、壁を破壊するくらいで終わってたかもしれないのに。それに、クロさんもこんなこと言わなかったかもしれないのに。

多分クロ、私に手を出した事に酷く怒ってるんじゃないかと思う。何故って?ずっと尻尾がフリンフリンしているからよ。ちょっと不機嫌ぽいんだよね。


「で、この後の台詞は?」


こっそりクロに相談。


「貴族のお主が関わっておいて、国が関与していないなどの道理は認めん。せいぜい首を洗って待っておれ、との」


私、酷い人になってない?


「貴族である貴方が関わっていておいて、国が関与していないなどと道理は認められません! せいぜい、首を洗って待ってて下さい」


なるべく冷たく言い放つ。


「申し訳ありませんんんん! 財産でもなんでも差し上げますうううう! どうかご勘弁をおおおおお!!」

「わ、私からも…!」

「わ、私からも…!」


次々に後ろの使用人さん達も頭を下げ始める。土下座するにはちょっと面積が足りないせいだ。

うう、こんなに頭を下げられると、もういいっすって言いたくなっちゃう。


「八重子、もう良い。黙って立ち去るのだの」


もういいっすと言いかけたところで、クロからストップ。はい。そうですね。

謝る皆さんに、心を鬼にして背を向けて、私達は歩き出した。


「あああ! お願いです! どうか、どうか帝国は、この国には手を出さないで下さいいいいい!!」


おでこさんが慌てて追いかけてくるも、


「無礼者! 主殿に危害を加えようとしたゴミが! 主殿に近寄るでないわ!」


クレナイに蹴られてひっくり返った。

あれ、大分手加減してるね。


「モッヒーノ様!」

「お願いします! お許しを!」


幾人かの人達が駆け寄ってくる。

どうしようと思ったら、クレナイが腕を振るった。すると、炎の壁が出来上がった。


「近づけば、燃やす」


その冷たい声に、再び皆固まった。

なんだか申し訳ないと思いつつ、私達はそこから去って行った。


気付くとポイントが入っておりました。ブクマ、評価ありがとうございます!


行く所もなく、することもなく、本も読み込んでしまい、ゲームするかなろう小説を読むしかなくなってしまった・・・。

無料で読めるなろう小説に感謝。

しかし、ここ数日で視力が落ちた気がする・・・。

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