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異世界は黒猫と共に  作者: 小笠原慎二
129/194

キラーサーペントを倒すぞ

前回のあらすじ~

なかなかくっつかない2人をくっつけよう!で、その作戦とは・・・?

次の日、早速キラーサーペントを狩りに行く。

ところが、中々遭遇出来ない。

クロが気配があるとそちらに向かうと、何故か気配が遠ざかる。

こいつはおかしいと皆で話し合うも、原因は分からない。

クレナイはきちんと気配を消して歩いていると言うし、その証拠にちまちました獣なんかは遭遇した。

仕方ないのでビッグフロッグを先に狩ろうと沼地へ向かうと、いるわいるわ。

大量発生のという言葉にふさわしく、あっちを向いてもこっちを向いても蛙蛙蛙蛙…。


「なんか昨日から大量ものに縁があるね」

「そうじゃのう」


シロガネの結界のおかげで私達はなんともないのだけど、蛙に囲まれた。

しきりに舌を使って攻撃をしてくるのだけど、そこはシロガネの結界。全く問題なし。

再びクレナイとハヤテの攻撃合戦が繰り広げられ、結界に近い者はコハクが倒そうとして、柔らかすぎて倒せないと泣きそうになったり。

そんなコハクを慰めて、皆が終わるのを待つ。


ほどなく、クレナイ達に叶わないと悟った何匹かが逃げ出し、数も減ったしこれで良いかと打ち切りにする。状態の良さそうな1匹だけをシロガネに持って貰って、再びギルドへ。

受付のあのお姉さんが再び興奮し、私達は再び奥へと通された。

ああ、エリーさんが遠くなっていく…。


「そんなに懐いておったのかの」

「あの巨乳が揺れるのを見るのは楽しかったんだけど」

「・・・・・・」


無言にならないで欲しい。


「だって私は…。揺れないし…」


言ってて悲しくなるよ。


「いや、主、女性にとっての魅力とはそこだけではないものであって…」


なんでシロガネがフォローしてくるのだろう。


「大きいのも良いが、小さいものが好きという殿方も居ろう」


クレナイ、フォローになってない。

そんなアホな会話をしていると、コウジさんがやって来た。

今日の成果と再びビッグフロッグ回収の件で、顔が固まった。

なんかごめんなさい。


「キラーサーペントは?」


と聞かれ、


「それが、遭遇出来なかったんですけど。何でですかね?」


と聞き返す。

コウジさんがチラリとハヤテを見た。


「確か、この子供が、グリフォンだったっけ?」

「そうです」

「キラーサーペントの天敵がグリフォンなんだけど、知ってた?」


うん、知りませんでした。

きっとハヤテの気配を感知して逃げていたのではないかと。

もうちょっと魔獣について知ろうねと、ちょっと怖い笑顔で言われました。


はい、すんません。


蟻はともかく、蛙は沼地だから、素材が痛むのも早かろうと、早めにキラーサーペントを討伐するように強く依頼された。

しかし、そうなると…。


ギルドを出て、相談タイム。


「ハヤテを連れて行くとキラーサーペントに遭遇出来ない。遭遇出来ないと依頼が達成出来ない。さて、どうしましょう」


一番簡単なのは、ハヤテにお留守番していて貰うことなんだけど。

従魔紋の範囲ギリギリの所で待機して貰って、その間にキラーサーペントを狩る。

だがしかし、ハヤテの泣きそうな顔を見たら、そんな案出せない。


「ハヤテ、じゃま?」

「そんなことないよおおおおおお!」


ハヤテに抱きつき頬ずり頬ずり。こんな可愛い子置いて行くなんて!どんな酷い人ですか!


「しかし主殿、ハヤテがおってはキラーサーペントに会えぬぞ?」

「う~ん…」


そうなんだよねぇ。


「ハヤテもクレナイ殿のように、気配を殺すことは出来ぬのであるか?」


シロガネの疑問。


「確かに、それが出来れば一番いいんだけど」

「さて、ハヤテに出来るかのう?」


一番の問題は、ハヤテが幼すぎて気配というものが分かっていないだろうこと。


「けはい?」


首を捻る。


「ハヤテ、隠れんぼの時のようにするのです。分かりますか?」


コハクが何やらアドバイス。隠れんぼか。村の子供達とかとやってたな。


「かくれんぼ? こう?」


途端に、何故かハヤテが目の前に居るのに、どこか遠い所に行ってしまったような感じになる。


「な…。ハヤテ、天才か…? それとも、本能のなせる業か…?」


クレナイが驚いているよ。

ハヤテは天才なのだね。そうなのだね。さすがうちの子!


「ハヤテ~! 偉い偉~い」


と撫でくり撫でくり。

嬉しそうなハヤテ。でも気を抜くとすぐ元に戻っちゃいます。


この後クレナイ先生の講義を受けて、ハヤテも気配を殺す術を身に付けた。

まあ、長くても1時間くらいという制限はまだつくが。

キラーサーペントを狩りに行くくらいなら問題なかろう。
















次の日。

今日こそはキラーサーペントを狩るぞと森の中へ。

クロ探知機による場所の特定。早めのハヤテの気配殺し。その甲斐もあって、なんとかキラーサーペントと遭遇。こいつが中々すばしっこかった。


集中を切らしてハヤテの気配がダダ漏れになると一目散に逃げようとし、それをクレナイが尻尾を踏んづけて阻止。身動きが取れなくなった所をコハクとハヤテの連撃。最後はクレナイが脳天チョップでトドメを刺した。

あれ?なんか蟻より蛙より楽だった気がする…。

蟻と蛙は数が多かったからね。そうだね。


キラーサーペントはでかすぎてシロガネの背に乗せてもはみ出過ぎるので、仕方がないので皆でわっしょい担いで行くことに。


「いやでも、こんなもの担いで持って行くのも、なんかまずいんじゃ…」


何か忘れている気もするんだけどな…。

そこでクレナイが言い出した。


「そうじゃ、主殿、このままちんたら歩いて行ったら陽が暮れる。じゃからほれ、この前開発した、部分変化で飛んで行ってはどうじゃろう?」


く…。あんなもの考えるんじゃなかった。


しかし、確かにこのまま歩いて行ったら街を目前にして陽が暮れてしまうかもしれない。

野宿出来ないわけじゃないけど、街を目の前にして野宿というのもなんだか悔しい。

仕方がないので、人に見られないように気をつけながら、街の近くまで飛んで行く事にした。

探知はクロさんにお任せ。


シロガネはペガサスの姿に戻り、私とコハクを乗せる。クレナイは部分変化、ハヤテは元の姿の方が運びやすいということで、グリフォンの姿になってクレナイと一緒に蛇を運んだ。

街の近くで変化を解いて、いや、きちんと変化して、かな?皆でわっしょい担ぎながら街に近づくと、門番の人達が驚いた顔をして迎えてくれた。


うん、なんかやっちまったか?


シロガネが頭、クレナイが尻尾の方を持ち、ハヤテとコハクが腹の辺りを…、って蛇の腹ってどこだ。まあ真ん中辺りを持って運んで行く。

唖然としたままの門番さんに、一応頭を下げて通り抜ける。

街に入っても注目の的だった。なんでじゃ。


ギルドに着いたが、さすがに入る大きさじゃないので、皆に外で待って貰い、買い取りカウンターの所へ。またあの魔獣好きのお姉さんがいたので、外にキラーサーペントを持って来たと言ったら、目をギラギラ光らせて、外に飛び出していった。

直後、歓喜の雄叫びを聞いたような気がするけど、きっと気のせいに違いない。

エリーさんがすっとやって来て、


「また何をしたんですか。ヤエコさん」


諦め半分、怒り半分みたいな笑顔を向けられ、ちょっとびびってしまう。


「いやあの、ギルドマスターにも、早くキラーサーペントを退治してくれって言われてたから…」


エリーさんが何故か頭を抱える。


「それで、この短期間に、キラーサーペントまで討伐してきたと。はははは。さすがヤエコさんですね。ははははは」


どうしてそんな乾いた笑いをするのでしょう。

エリーさんが静かにカウンターの中から出て来て、外へと向かった。私もその後に続く。

キラーサーペントにへばりついて訳の分からないことを言っているお姉さんの脳天に鉄拳を食らわせ、「落ち着きましたか?」と怖い笑顔。

さすがに痛かったのか、目に涙を溜めながらも、お姉さんは首を縦に高速で振った。


表からでは入らないからと裏手に回るように指示され、買い取りカウンターのお姉さんがそれを先導していく。

私は先に奥へと通され、しばし待つように言われる。大人しく待っていると皆が荷物を置いたと言いながら部屋に入ってきて、そのすぐ後にギルドマスターのコウジさんも入って来た。


「さて、早速だけど有り難う。まさかこんなに早く依頼が片付くとは思わなかったよ」


コウジさん、笑顔が引き攣ってる気がするのですけど。

すでに素材回収のための人員は募集して、もう少しで集まるので、早ければ明日にでも出立というところまで準備出来ていたらしい。念の為、キラーサーペントに出会っても良いようにそれなりの実力者にも声を掛けていたそうなのだけど。


「これで、いらなくなったから、気軽に出かけられるよ」


いやいや、キラーサーペント以外の魔獣もいるからね?気軽に行けるものじゃないからね?

ちょっと虚ろ気味の目つきなんだけど、大丈夫だろうか?


「で、次はどんな依頼を片付けてくれるのかな?」


コウジさんがにっこり、書類の束を持ち上げた。

え?まだやるの?


「いえいえいえいえ! すいません! ちょっと、ギルドは通してないんですけど、ちょっと個別に依頼を受けておりまして、そっちに行きたいんですけど!」


と慌てて断る。

このまま受け続けたら、依頼がなくなるまで働かせ続けられるかもしれない。ちょっと背筋が寒くなる。


「そうなのか。残念だ。で、その依頼、ギルドを通してないって、いいのかい?」

「大丈夫です。以前お世話になってた所からの依頼ですから。信用はおけます」

「個別の依頼は何かあってもギルドは関与出来ないよ? それは分かってるよね?」

「はい。もちろん」

「ならいいけど。くれぐれも気をつけてね。君達はすでに十分目立つ存在だから」

「…はい」


だよね。目立ってるよね…。












「クロ様…。相変わらず美しい毛並み…」

「帰って来たのかな? だったらまた何か話とか集めておいた方が?」

「と言っても、この街にいたんじゃ、これ以上珍しい話も聞けないぞ?」

「やっぱり、どこか別の街とかにも行ってみたいわね」

「でもなぁ。Dランクに上がらないと、護衛の依頼受けられないしなぁ」

「街を移動するなら、やっぱり護衛の依頼受けながらじゃないとなぁ」

「しばらくは地道にランク上げね。あの方も接触してくる様子はないし」

「はあ…。もっと魔法を教えて欲しかったなぁ」

「それを言うならあたしも」

「俺も」

「俺もだ」


ギルドの隅でヤエコ達が通り過ぎて行くのを見ていた1つのパーティが、小さく溜息を吐いていた。


門番さん達の会話

「おいおい、あれ、なんだ?」

「キラーサーペントがこっちに来る・・・?」

「いやまて、あれ、誰かが担いでないか?」

「誰かって、あんなにでかいもの誰が・・・。って、男?」

「その後ろに子供と女がいるぞ」

「あれって、重さ・・・、どれくらあるんだ・・・? 見た目よりも軽いのか?」

「そんなはずはないはずだがな・・・」

呆然。

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