朝の声
まだ辺りは薄暗い早朝、住宅街にまたいつもの鳴き声が聞こえてきた。
「ホーホーホッホー。ホーホーホッホー…」
早い朝のお決まりのBGMである鳴き声を聞き慣れた新聞配達員は、鳴き声を特に気にする様子もなく、朝刊をポストに投函すると、バイクに乗って走り去っていった。
「ホーホーホッホー。ホーホーホッホー…」
鳴き声は依然として聞こえるが、新聞配達員だけでなく、ジョギングを日課とする中年男性も、犬を散歩させている婦人も、誰一人鳴き声に気を留める者はいない。
「ホーホーホッホー。ホーホーホッホー…」
うまく周囲に擬態した、キジバトではない本当の鳴き声の主は、陽が昇り、人間に見つかる前に自身の巣へと帰っていった。